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JUGEMテーマ:時代小説 松田優作が出ていたくらいだから随分前だが、向田邦子脚本で「春が来た」というドラマがあった。(今度リメイクされるらしい) 行き遅れ気味の娘に恋人が出来る。その恋人が家を訪れるようになって、娘だけでなく両親や妹まで変わっていくが…という話。本作中の「小鶴」を読んで、あのドラマを思い出した。続くと思っていた関係が続かなかった時の悲哀。これ以上に悲哀の度合の高いのが「夜の雷雨」か。「疫病神」は無気味のひと言。自分の父親の顔を思い浮かべゾーッとした。(笑) 「神隠し...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:48
JUGEMテーマ:時代小説 収録されている5作品、どれもいいんだけどねぇ、どれかひとつ選べと言われたら、どれかなぁ…。一番印象に残るのは宮本武蔵を取り上げた「二天の窟」かな。老いと衰えを自覚しながら、自分の名声を守るために手段を問わず向かってくる者を叩き潰そうとする執着。いいねぇ。タイトルにある剣客を直接の主人公としていない「師弟剣(諸岡一羽斎)」と「飛ぶ猿(愛洲移香斎)」も捻りが効いていて素晴らしい。特に「師弟剣」の小熊の最後は、その様子を泥之助に語らせることで、より印象的にな...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:46
JUGEMテーマ:時代小説 シリーズ最終作であると同時に完成品だという印象。犯人らしいと思われた人物が中盤で殺されてしまう意外性。犯人目線で語られる章をひとつだけ置く構成の巧みさ。同心とベテラン岡っ引きの万才のようなやり取りや聞き込み相手の団子の喰いっぷりの描写に見せるユーモア。どこを取っても作者の熟練ぶりを堪能できる。用心棒シリーズのように期間を空けて4作目が作られるようなことがなかったのも理解できる密度の濃い作品。シリーズとして良い終わり方をしたと思う。(2017.5.28読書メーターにUP)...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 13:10
JUGEMテーマ:時代小説 「消えた女」と同様、以前読んだ時と違い、スピード感はあるが、ハードボイルドとはちょっと違うという気がした。ハードボイルド小説の主人公は社会生活から一歩引いた所に身をおいて生活していることが多いが、伊之助の場合、職場の居心地も悪くなく、女性との関係も上手くいっている。そうした状態に本人も満足している。文体に限って言えば、短い文章を積み重ねて話を進めているのでハードボイルドといえないこともないが、だからといってこれをハードボイルドの傑作と言う気にはならんな。一作...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 13:09
JUGEMテーマ:時代小説 久しぶりの再読だったが、記憶にあるより明るい話だと感じた。前に読んだ時は、全体にもっと暗いトーンだったように思ったが、おまさとの関係がハッピーエンドなだけでも受ける印象が違う。多くの人が言うように、これぞハードボイルドだと言える作品なんだけど、おまさとの関係の推移だけはちょっとハードボイルドから外れていくかな。その点を別にしても、終盤の収束具合が急すぎるように思った。バタバタした感じ。でもミステリーとして見ても間違いなく一級品だと思う。(2017.5.23読書メータ...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 13:08
JUGEMテーマ:時代小説 2、3年の間隔で書かれていた1〜3作に比べ、これは3作目から8年経って書かれており、内容も前回のエピソードから16年が経っている。第一、もう用心棒ではないし、今回の江戸行きは藩命であって脱藩ではない。細谷源太夫の妻の亡くなった経緯が心に刺さる。主人公を中年にして、過去の名場面を振り返りながら進むストーリーは、作者にとってひとつの区切りだったのかもしれない。仏門に入りもう会えなくなると思っていた佐知が、将来国元の寺の庵主となると聞き大笑いする主人公。シリーズが...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 13:04
JUGEMテーマ:時代小説 久しぶりの再読。元許婚との話は全編通してだと思っていたが、二人の関係が急展開するきっかけとなった直接言葉を交わす場面が全24話中20話目という終盤だったのは意外な気がした。どうやら勘違いしていたようだ。全体の感想は上巻と同じ。一点だけ、元許婚の早苗と結ばれた時のことを「二度目に抱かれたとき、早苗は狂ったのだ」と書いている。同様の表現はこの前読んだ「暗殺の年輪」の中の「ただ一撃」にもあった。(「三緒の躰は不意に取り乱して歓びに奔ったのである」) 一文だけで伝わ...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:58
JUGEMテーマ:時代小説 同じ様な作りながら「用心棒日月抄」シリーズの頃よりさらに明るくなっている。そのせいか、それぞれの話に膨らみを感じる。全編を貫く筋もあるが、それを意識しなくても各話が楽しめる。最後には手癖の悪い子供と一緒に暮らすことになる「盗む子供」の隠居や、幸せを目前にしながら最後に遁走してしまう「逃げる浪人」の侍、惚れた相手に対する気持ちがスーッと醒めていく「娘ごころ」の煮豆屋の娘など、登場人物の行動とその心理に向けた作者の目は温かくも冷静である。全編を貫く筋の方は下巻に...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:56
JUGEMテーマ:時代小説 優れた作家には冷徹な観察力がある。もっとはっきり言えば底意地の悪さ。それがあるから登場人物を一歩引いた所から描くことができる。 さて、同心を主人公にしたこの一話完結の連作短編集、それぞれの話とは別に、母と妹が惨殺された理由を明らかにしたいという主人公の思いが全編に貫かれている。が、これが、例えば用心棒シリーズに流れていたそれと比べると弱いように感じる。 ただ、冷徹な観察力は健在。第5話「青い卵」に出てくる少年に対する視線などは恐れ入るしかない。(2017.5.16読書...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:54
JUGEMテーマ:時代小説 「鬼気」と「一夢の敗北」は相手の様子だけから剣で敵わないと悟る話。「夜の橋」は愛想をつかして出て行った別れた女房が再婚の相談に来たが、その相手が博奕好きだとわかって…という話。初期の藤沢作品なら主人公は親分の命令を断ったところで殺されていたかもしれない。「暗い鏡」は女中奉公をしているはずの姪が殺され、しかも身体を売る商売をしていた。姪がそんな生活をするようになった理由を知ろうと姪の過去を辿る主人公。収録されている9編の中でこの話が一番響いた。姪や甥との...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:53
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