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時代小説
このテーマについて
史実を題材として扱う歴史小説とは一味違った、完全なフィクションの「時代小説」。歴史小説とは違うジャンルとして考えたいと思います。江戸時代が主で、剣豪小説、捕物帳、伝奇小説、など内容も多岐に渡ります。作家としては、藤沢周平、池波正太郎、宮部みゆき、柴田錬三郎、栗本薫、山本周五郎など多数。町人から侍まで、江戸から地方まで、人々の悲喜こもごもを通して、昔の生活ぶり、社会構造なども浮き彫りにしていくそのジャンルは、歴史を身近なものに感じる格好の入口でもあります。
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暗殺の年輪(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  収録5作品の中で「ただ一撃」が一番印象に残った。かっては剣の遣い手だったが、今は耄碌し始めた隠居武士に仕官希望者との立ち合いの依頼が来る。その依頼を受けた武士は三日後姿を消し、試合の前日に面変わりして戻ってきた…。後年の「三屋清左衛門残日録」のような舅と嫁とのほのぼのした心のふれあいを描いた作品かと思いきや、そういう予定調和を越えた展開が待っていて、読後の私にも「ただ一撃」の衝撃が走った作品。 「囮」は後の彫師伊之助シリーズの芽のような作品。これを温め...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:18

又蔵の火(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  「又蔵の火」は何度読んでも、万次郎と又蔵の気持ちがわからんなぁ。こうこうこういうことだろうと見当はつくものの、それはあくまで推測であって、文章から確たるものを掴みきれない。読解力の無さなんだろうね。それでも決闘シーンは、後年の「用心棒」シリーズや「下級武士だけど剣は出来るぜ」シリーズ(?)のような華麗さとは違うドキュメンタリータッチの描写で逆に迫力を感じた。「帰郷」の「二」冒頭から約2ページ、宿場の地理から始まって町並みへと続く描写にも唸ってしまった。一度声...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:17

時雨のあと(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  計7つの武家物と市井物を収めた短編集。「闇の顔」は争った挙句に相討ちで死んだように見えた二人の武士のうち、ひとりはどうも第三の人物に斬られたらしいと明らかになったことから、凄まじい太刀筋を持つ真の殺人者は誰かを追うという、後年の「秘太刀馬の骨」に通じる物語。十分長編になる内容を過不足なく短編に収めた著者の力量に改めて感心する。表題作の「時雨のあと」は人情話の極み。良い人に見守られている幸せを感じさせてくれる。武家物好きの私には「果し合い」と「鱗雲」もなかなか...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:16

橋ものがたり(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  川の向こうとこちらは別の世界で、その異なる二つの世界を結んでいるのが「橋」というモチーフを根底にした作品を集めた短編集。特に「思い違い」は井上ひさしがエッセイで絶賛したので有名だが、文庫本ではその井上ひさしのエッセイが解説として全文再録されている。個人的にはどの作品も捻りがなく素直な印象。今の年齢で読むには少し物足りないような気もするが、気持ちが弱っている時には良いかもしれない。希望だけは湧いてくるような気がする。(2017.5.11読書メーターにUP)   ...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:14

無用の隠密(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  藤沢周平の初期、というより、修練時代の作品を集めたといったほうがいいか。文章が固いし、話も膨らみがなく直線的で唐突過ぎる。例えば、同じ主人公の「暗闘風の陣」と「如月伊十郎」は、長編伝奇小説になる可能性が高いのに2編合わせて約60ページとはもったいない。その他にも、種の状態で発表されているような作品が多い。もっと実らせてから発表すればよかったのに、と思うが、それが修練時代なのかもしれない。後年の藤沢周平になる前の蕾ぐらいは味わえる。ファンなら読んでおくべし。(...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:01

早春(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  武家物2編の他、藤沢周平には珍しい現代物1編、それに4つの随想を収録した、掻き集め感ハンパない1冊。武家物はどちらも、剣の腕のある主人公が藩内の派閥抗争に関わるようになって…という藤沢周平十八番のお話。「野菊守り」の最後に「これについては誰にも文句を言わせないと、五郎助は誰も文句なんか言っていないのに、心中ひとりでいきり立って…」とあるようなユーモア溢れる表現も著者らしい。(2017.5.6読書メーターにUP)   にほんブログ村

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 12:00

静かな木(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  著者晩年の作品を集めた短編集。収録されている3編の中では表題作の「静かな木」がお気に入りかな。婿に出した息子が果し合いをするという話から、その相手の父親で、かって自分が不祥事を庇ったことで中老にまで出世した元上役との因縁が蘇り、そこに藩内の派閥争いも絡んで…という藤沢周平の武家物らしい作品。剣を遣った時に腰を痛め、息子の嫁に膏薬を貼ってもらいながら「あ、いたたた」と言ってしまうユーモア。老年に達していた著者自身の姿が窺えてニヤリとしてしまう。他の2編は...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:56

雪明かり(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  既読の他社の文庫本に収められていた3作品を除いた中でイチ押しは?と考えると、「恐喝」か「入墨」か「穴熊」か「暁のひかり」か・・・って、ほとんど全部じゃないか。(笑) それだけ粒揃いの作品ばかりということだが、「雪明かり」だけはちょっと不満。ストーリーは素晴らしいが、この長さでは窮屈だと感じた。展開が早すぎて「えっ、もうそこ?」となる。長編とはいわないが、もう少し肉付けしてもらった方が違和感を覚えず読めたと思う。(2017.5.5読書メーターにUP)   にほんブ...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:55

長門守の陰謀(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  5作品中、「夢ぞ見し」は唯一ユーモアを感じる作品。昌江はしばらく居候することになった若い武士を雑に扱ったり心浮き立たせたり…。しかし、その武士はやがて藩主となる身だった。「遠い少女」では、かってほのかなときめきを感じた少女が大人の女になって現れるが…。最後の「目の前にいるのは、鶴蔵の知らない一人の中年女のようだった。その中に、鶴蔵はもう一度遠い昔の少女の面影をさがしたが、見えなかった」という文章が切ない。表題作の「長門守の陰謀」は実際の出来事をテ...

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:53

花のあと(藤沢周平)

JUGEMテーマ:時代小説  武家物と町屋物が入り混じった短編集。「疑惑」では、浮気を目撃されたことから自分を脅すようになった元養子に罪を被せるために夫を殺した女の情念に、主人公同様返す言葉がない。「旅の誘い」では、他の画家が失敗した仕事が自分に回ってきた時、広重が口にするその画家への配慮と心にある自信を「暗い喜びを押し出してくる」と表現したのには唸ってしまう。表題作の「花のあと」は、自らの青春の終わりを桜に感じる描写が心に残る。切ないね。(2017.5.5読書メーターにUP)   <2023....

本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:52

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