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JUGEMテーマ:時代小説 人それぞれだろうけど、収められている5編の中ではやはり表題作の「玄鳥」かな。他の4作品と違い、ただただ切ない。家の中の賑わいがいつまでも続く事は滅多にない。そこを描いて素晴らしい。「鷦鷯」は老武士と娘とその娘にちょっかいを出す軽薄そうな若い武士という3人の関係を背景にストーリーが進むという藤沢作品ではお馴染みの話。「浦島」は長年の冤罪が晴れたものの、自分に合った居場所は元の所にはなかったという話。他の2編も手堅く娯楽作品に仕上げてある。味わうべし。(2017.5.3読書メ...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:50
JUGEMテーマ:時代小説 藤沢周平は「用心棒日月抄」から作風が変わったと述べている。すると、それ以前に発表されたものを集めたこの短編集は暗い作風だった頃の作品ばかりということになるが、「臍曲がり新左」のようなユーモア溢れるものも入っている。表題の「冤罪」もやるせない話だがユーモアに包まれているので悲惨さが緩和されている。しかし「潮田伝五郎置文」は初期の藤沢周平作品にあった暗さが色濃く出た作品。思い込みの生んだ悲劇といったらいいのか、最後に明らかになる想い人の本心が主人公の悲惨さを増幅...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:47
JUGEMテーマ:時代小説 最初に読んだ時に印象に残ったのは、ラスト近くで、今は家老になった主人公と普請組という下士のままのかっての友が、身分を外し「おれ、おまえ」で話すところ。上巻の感想に書いた「ドロドロした」ものをそれぞれの立場で見たり経験したりしてきた者同士の厳しい会話が沁みる。「蝉しぐれ」の感想で「40代以上の男性は読むべし」と書いたが、この「風の果て」は、50代以上の者しか読むべからず。もっといえば、組織の中での自分の最終形が明確になってきた者しか読むべからず、かな。(2017.4...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:13
JUGEMテーマ:時代小説 私は「風の果て」を「裏蝉しぐれ」だと思っている。身分の低い家に生まれた主人公が友との交わりを通して成長すると同時に出世もしていくという大まかなストーリーは両作品に共通するものだが、「蝉しぐれ」にあったような清廉さはない。もっとドロドロした「大人」の小説。上巻では青年時の主人公が内密で護衛に付いた上士が襲われるが、思いがけず昔からの友人の助けが入ったところまで描かれている。主人公の青年時と家老となった現在とを交互に描写し見せてくれる表現が映像的で見事。何度目か...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:11
JUGEMテーマ:時代小説 うーん、上手いとしか言えないな。初出は新聞に連載された1986年だが、この頃はもう円熟期だね。流れるような文章。でも上滑りはしていない。剣術シーンの描写も具体的、なので迫力がある。 そして秘めてきた恋心が一気に表出するあの有名なおふくの科白「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」。 再読するたびにこの科白が沁みるのは、私自身が年を取っているせいか。40代以上の男性は読むべし。(2017.4.29 読書メーターにUP) &n...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:10
JUGEMテーマ:時代小説 用心棒日月抄シリーズは全4作だが、実質、これが最後の作品で、次の「凶刃」は番外編と考えたほうがいい。 さて、この「刺客」。藩内の最大の敵が露骨に藩主の座を狙い始めたことから、その企みを阻むべく再び脱藩し江戸へ向かった青江又八郎・・・というお話。三作目ともなると、登場人物の人間関係はこなれているので読みやすい。一作目では刺客に狙われた又八郎だが、ここでは自分が刺客になって敵を襲う。剣術シーンもパワーアップしており、読後の爽快感はなかなかのもの。今後の佐知との関係が気...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:05
JUGEMテーマ:時代小説 前作の最後に登場した嗅足組の佐知が本格的に主人公と絡むようになる。一作目の赤穂浪士の話のような物語の底に別の筋立てこそないが、新たな用心棒仲間も登場して、用心棒稼業の持つ哀楽の描写は前作以上に細かい。 また、佐知との関係が深まっていく様子も前作には無い華やかさを感じさせている。初読の時と今回の再読との間に私が年齢を重ねているせいか、目のいくところが変わってきていることに気付いた。10年後に読むと、また新たな発見があるのだろう。何回もの再読に堪える作品を仕上げ...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:03
JUGEMテーマ:時代小説 これも何度目かの再読。収められている九編のうち印象に残っていたのは、若殿の目に止まった許嫁に自分を諦めさせようと狂人の真似を始めた主人公がやがて本当に狂っていく「陽狂剣かげろう」と偏屈さを藩争に利用された武士の悲運を描いた「偏屈剣蟇ノ舌」の二編。いずれも藩という組織に翻弄される主人公の姿が痛々しいし、それゆえに共感も覚える。 余談を少し。あとがきで著者が、自分の使う故郷の言葉がその故郷では使われなくなっていると知りショックだったと述べている。この浦島太郎ぶり...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 11:01
JUGEMテーマ:時代小説 秘剣を身に付けた剣客たちを描いた短編集。収められている八編全部がそうではないのだが、一冊を読み終えると全体的に悲運の印象が残る。 この本を最初に読んだのは随分前だが、今まで一番印象に残っているのは「暗殺剣虎ノ眼」。父を殺した暗殺者の正体が見えた主人公の驚愕の様子が行間から伝わってくるラスト三行。 これより好きな作品は他の七編の中にあるが、それでも印象が最も強いのは「暗殺剣虎ノ眼」だった。今回の再読でも、背中がひんやりするような無気味さが伝わってくるラストは秀逸...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 10:59
JUGEMテーマ:時代小説 藤沢周平作品の中で「用心棒日月抄」の次に好きなのが、この中に収められている「三ノ丸広場下城どき」。昔の剣名を見込まれ極秘の護衛を言いつかった主人公がその任務に失敗する。しかし、それは、すっかりなまった体になった主人公の失敗を見込して今は執政になったかっての恋敵が仕組んだ罠だったことに気づき・・・。最後は剣を交えての闘いになるが、決意をして身体づくりに取り組む主人公の姿を「太めの天狗様のもの」と描写するユーモアが殺伐さとのバランスを取っている。他の3作品もお勧...
本、読みました。 | 2020.04.30 Thu 10:58
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