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グリム童話の、初版と、それ以降の版で、表現されているもののニュアンスが異なる物語の代表格といえるでしょう。 いわゆるグリム童話は、『子どもと家庭の童話』として刊行されました。そのため、初版での、この物語の、主人公、ラプンツェルの描かれ方が、童話にふさわしくないとのことでしょう。彼女が、自身のとりことなっている王子を誘惑し、逢瀬を重ね、妊娠する場面が、編纂の対象になりました。第2版以降で、修正されています。 これに伴って、ラプンツェルを塔の中に閉じ込めるものを、初版では妖精だったものが、魔女...
'ものがたり'散策 | 2017.01.07 Sat 18:37
この物語の類型は広く世界に伝えらています。そのなかで最も有名なのが、グリム童話に取り上げられている、この物語でしょう。なお、主人公の明確な年齢区分がなされていないため、タイトルを『姉と弟』とすることもあるようですが、読んでみると、なるほど女性主人公のほうがしっかりしていてうなずけます。 世界の民話では、継母を魔女とする物語が少なくないのですが、この物語もご多分にもれません。地上には人を不幸に導く存在というものがあり、西洋の民話では、一般的に、それを魔女という存在が代弁しています。この物語に...
'ものがたり'散策 | 2017.01.06 Fri 18:34
民話の類型として、”超越者に試練を与えられる主人公”という型は定番です。 『マリヤの子』では、主人公が超越者と呼ぶべきマリアに言葉を奪われる試練を与えられていましたが、この物語でも、やはり超越者を思わせるおばあさんが登場し、主人公に言葉の使用を禁ずる試練を与えています。 『マリヤの子』では、嘘を封じるために主人公は言葉を奪われましたが、この物語でも、それは同じでしょう。ただこの物語では強制的にではなく、自らの固い意志でそうしなければなりません。それに加え、この物語では、言葉と共に笑うこ...
'ものがたり'散策 | 2017.01.05 Thu 18:40
なんとも飄々としていて、自由気ままな、とある旅芸人のお話しです。彼は自身の情動に忠実です。 旅芸人は、森で退屈をしていたために、誰か話し相手を探そうと、バイオリンを弾いて気を引こうとするのですが、集まってくるのは、バイオリンを習いたいと言ってくる動物たちばかり。退屈を紛らせるには役不足でした。 旅芸人は、彼らを騙してその場に足止めさせて置いてけぼりにしてしまいます。これがあまりにひどい仕打ちなので、動物たちのことを思うと、少し気の毒な思いもなくはないのですが、旅芸人は、そんなことどこ...
'ものがたり'散策 | 2017.01.04 Wed 18:31
数多の物語に存在し、このブログでも取り上げた、アーサー王物語の『サー・ガウェインと緑の騎士』にもあったような、忠義に対するテーマがこの物語にも存在します。同じように、この物語の主人公ヨハネスも、自身の命をかけて、それを貫き通しました。 この古くからあるテーマの起源を問うても仕方がないでしょう。おそらく動物とは違う人間的なものであって、人間という存在が確立した時点で、同時発生的に生じる、ひとつの価値観なのだと思います。 どんな物語にも多かれ少なかれ、このような内在的道徳がテーマとして存在し...
'ものがたり'散策 | 2017.01.03 Tue 18:31
おなじみの物語です。とある時期の子どもにとっては勧善懲悪の物語として読めるでしょう。その場合、伝わるべきことが、よく伝わっているという意味で、優れた物語だと思います。 しかし、大人にとっては、勧善懲悪だけではない感情がよぎります。狼の側に立つと、物語は、食べなくては生きていけないという食物連鎖が、ひとつのテーマとして浮かび上がり、それは、人間という存在に対しての、アンチテーゼになってやしないでしょうか。 食物連鎖の頂点にいる人間などは、さしずめ極悪と呼べるのでしょう。狼と、しぶしぶでも、...
'ものがたり'散策 | 2017.01.01 Sun 18:44
始めは、恐怖話なのかと思ってしまいました。描写がおどろおどろしいのです。しかし、徐々に、英雄譚であるような様相を呈してきてきます。主人公の男は、はっきり言って無敵です。自分をこわがらせるものを探して、旅をするのですが、そんなものなど、この世に見当たりません。 しかし最後にどんでん返しが待っています。読後に思ったのは、読み始めには思いもしなかった、これって笑い話だよなあという確認です。お話しの展開のギャップの大きさに驚いてしまいました。 この第二版は、いくつかのお話しの合成となっている...
'ものがたり'散策 | 2016.12.31 Sat 19:47
キリストの母マリアによって、よんどころなき事情から、天国に向かい入れられた主人公の娘は、とある約束事をマリヤと交わします。しかし、彼女は、それをやぶってしまうのでした。 主人公は、約束の不履行に対して、真実の告白をマリアに求められるのですが、嘘をついてしまったため、言葉を奪われ地上に戻されてしまいます。その後、彼女は、地上で、とある王国に妃として拾われます。 主人公は、その後、マリアから度々、真実の告白の機会を得ますが、嘘をついてしまうので、相変わらず言葉を口にできないままです。 そん...
'ものがたり'散策 | 2016.12.30 Fri 19:21
猫の旦那とネズミの女房の動物寓話です。よって、それになぞらえた人間が描かれているのでしょう。最後にネズミは猫に食べられてしまいますが、この物語をどうとらえるべきでしょうか。 いろいろな視点から読むことが可能ですが、動物寓話ですので、方向性としては、登場者それぞれの道徳が、どのように働いているか、という視点で読むのが妥当なのではないでしょうか。ここでは、さらに、ネズミの側に焦点を当ててみることにします。 ネズミは騙されたと知っても、道徳に反して、自らの正義を主張せず、我が身を守るために...
'ものがたり'散策 | 2016.12.29 Thu 19:24
『かえるの王さま』はグリム童話の各版で冒頭を飾る、あまりにも有名な物語です。トールキンも自著『妖精物語について』の”妖精物語とは何か”の第五章目で妖精物語の逃避の機能との関係で、妖精物語(ファンタジー)としてのこの物語の引用をして、自身の思うところを代弁させています。 それは、妖精物語が果たしてきた逃避の機能に関して、どこまで実効性があるのかといったようなことです。 たとえば、逃避しようにも、どうしたって逃れられないように思われることがあります。ある種の苦痛がそうであるし、一番極端なものは...
'ものがたり'散策 | 2016.12.28 Wed 18:41
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