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高空を鋭い霜のかけらが風に流されてゆきます。 もう晩秋と思われき、寒い夜明け前のこと、母なるいちょうの木は、千粒の子である、いちょうの実との別れに際し、寂しさのあまりすべての葉を落としてしまいました。 子であるいちょうの実も、母の慈愛に感謝し、兄弟姉妹との別れを惜しみ、口々に今日の旅立ちの希望と不安を述べます。 やがて朝日が登り、北風が吹いて、母親と子供たちは、散り散りバラバラになりお別れです。 感じられるのは、去っていく季節への情感であり、それは、時の経過を含んだ散文詩の形...
'ものがたり'散策 | 2017.10.02 Mon 18:18
夜明け前、苔が一面を覆い霧が降る、そんな中をありの歩哨(見張りの兵隊)が任務を遂行しています。そして向こうからやってくるありの伝令(命令を伝える兵隊)を銃剣を突き付けてくまなく調べ、何事もないと分かると伝令を通しました。 やがて霧が少しおさまり、あちこちで草や木が水を吸い上げる音が聞こえてくると、さすがのありの歩哨も眠気でふらふらしました。 そんな時、そこへ二人のありの子どもがやってきて、突然現れた大きな物体に驚きます。二人は、眠気でふらふらしているありの歩哨に、それが何かと訪ねました。 ...
'ものがたり'散策 | 2017.10.01 Sun 18:15
谷川の水の中で繰り広げられる、かにの一家の生活と、所々にに登場する魚やかわせみの姿が、光と影の中で立体的に描き出されていきます。 季節は移り、そこへ突然水面にやまなしが落ちてきます。かにの一家は、流れていくやまなしを追って、水中を移動しました。やまなしは非常に豊穣な果物として描かれます。 そのやまなしが木の枝に引っかかって止まると、かにのお父さんは、もう二日もすればやまなしは川底に沈んできて、いいお酒になると言いました。 賢治は、この物語を、わたしなる人物に幻燈として語らせて物語を始め...
'ものがたり'散策 | 2017.09.30 Sat 18:33
『月夜のけだもの』 宮沢賢治童話全集 1 より - 広大な作品世界序章 『鳥箱先生とフウねずみ』 宮沢賢治童話全集 1 より - 賢治の教育批判 『ツェねずみ』 宮沢賢治童話全集 1 より - 賢治のねずみに対するメタファー 『クンねずみ』 宮沢賢治童話全集 1 より - 表現は過剰を目指していくもの 『ぶどう水』 宮沢賢治童話全集 1 より - 創作と鑑賞の間 『十月の末』 宮沢賢治童話全集 1 より - 村童スケッチ 『畑のへり』 宮沢賢治童話全集 1 より - 主観と客観の並立 『おきなぐさ』 宮沢賢治童話全集 1 より - 切ないけれど明る...
'ものがたり'散策 | 2017.09.29 Fri 18:21
ユニークな設定です。一羽の年寄りのふくろうがわたしと称する人物に、昔話で高名の『とんびの染めもの屋』の話をするのです。もちろんこれは賢治の手が加わっているので賢治の再話と言っていいでしょう。面白い再話になっています。 さらに、昔話が再話される際の額縁といえる部分である、ふくろうとわたしの間で交わされる掛け合いがありますが、そこが物語をさらに面白くするパートとなっています。 昔話と賢治の再話を比べてみたりして楽しむといいかもしれません。昔話は、あらすじでよいならブログ記事にしてあります。ま...
'ものがたり'散策 | 2017.09.28 Thu 18:14
畑の丘のいただきに、黄色のダァリヤの花が二本と、赤いダァリヤの花が一本ありました。赤いダァリヤの花は、花の女王になろうと思っていました。 赤いダァリヤの花は、黄色いダァリヤの花と上空を飛んでいくまなづるに、自分の花の色を自慢します。しかし彼らはどこか他所事です。まなづるは沼の辺りで慎ましく咲いている白いダァリヤには機嫌をうかがいます。 そんな折、赤いダァリヤはやがて容色が衰えて黒い斑点ができて、顔が黄色く尖った背の低い変な帽子を被った見知らぬ人に折られて、連れて行かれてしまいます。 黄...
'ものがたり'散策 | 2017.09.27 Wed 18:20
物語は、若いひのきとひなげしたちの会話で始められます。彼らはあまり仲が良くないようです。 どうやら、一度でいいからスターになりたいと、お互い牽制し合いながら争っている刹那的なひなげしたちを、忠告者としてひのきが、たしなめるような役割をになっているようです。 そこへ小さなかえるに化けた悪魔が、これまた、美容術で美しくなったという、ばら娘に化けた弟子と共に登場し、美容術師の先生にお礼を言いたいと、ひなげしたちに声をかけました。 かえるは架空の美容術師をでっち上げたのです。その話を聞いた...
'ものがたり'散策 | 2017.09.25 Mon 20:22
タイトルのおきなぐさとは地元の言葉で愛情を込めてうすしゅげと表現されます。実際、うすしゅげは、蟻にも山男にも愛されていました。とわたしによるお話の導入がなされます。 そしてこの物語は、わたしによる回想の形をとって語られます。それは小岩井農場の南、七つ森の西のいちばん西のはずれの西側に咲いた、二本のうすしゅげの物語となります。 空には、まばゆい白い雲が、変幻自在に東の空へ、小さなきれになって飛んでいきます。それを二本のうすしゅげが眺めていました。 二人のもとにひばりが現れ会話がなされ...
'ものがたり'散策 | 2017.09.24 Sun 18:35
麻が刈られ、畑のヘリに目立つようになったとうもろこしを、一匹のかえるが遠眼鏡で観察し、カマジン国の兵隊と思い込みます。しかもその実ったとうもろこしを見て、幽霊を連れていると言いだしました。 その幽霊は70本も歯が付いているというのです。これはとうもろこしの粒のことでしょう。このかえるの未知のものに対する新鮮な観察は続きます。 そんなかえるを、去年すでに少しだけとうもろこしを知った、もう一匹のかえるがたしなめます。あれは幽霊などではなくとうもろこしの実というもので、緑色のマントを着ている...
'ものがたり'散策 | 2017.09.23 Sat 18:23
方言が多用されているので、細部には立ち入れませんでした。ただし方言の多用は、かえっていきいきとした表現につながっていて、感覚的には十二分に伝わるものがあります。 冬支度に入る前の忙しい農村を背景に、裕福でもなく貧乏でもないらしい普通の農家の、嘉ッコ(かっこ)という名の幼い女の子が、祖父母、父母、兄、友人家族などに囲まれて過ごすいち日が淡々と描き出されていきます。 目を引くのは、いきいきとした自然の描写であり、それはリアルなこともあれば、民話的なモチーフを伴って、幻想的に描き出されるこ...
'ものがたり'散策 | 2017.09.22 Fri 18:32
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