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四つの冷たい谷川が、カラコン山の氷河から出て、プハラの町でひとつの大きな川になりました。その川は、普段は静かで、水も透き通り、雲や木の影を映し出します。 しかしいっぺん荒れだすと河原は水で一杯になり、それが引くと、ところどころに沼を作りました。その沼には沢山の魚がおりました。 沼には、海からあがった恐ろしいちょうざめがいる、などと言う者もおりました。床屋のリチキです。しかしそれがデマであることを知った町人に、リチキは大変軽蔑されました。 さてこの国の林野取締法第一条は、火薬で鳥を取...
'ものがたり'散策 | 2017.12.22 Fri 18:25
五、六日続いた雨がやっとあがった朝でした。晴れてはいましたが、まだ方角の決まらない雲がふらふらと飛び、なんだか本当に晴れたという気がしません。 西の仙人鉱山へ、用事を済ませに行くわたしは、黒沢尻から軽便鉄道に乗り換えました。すると、ひとりの鉄道工夫が、雫石、橋場間の路線工事現場の崩壊の話をしているので、わたしは「あの化物丁場ですか」と話しかけますと、工夫は、わたしを相手に、自分がそこで働いていた時の話をします。外の天候はにわかに嵐の様相を呈してきました。 化物丁場と呼ばれる、そこの崩落...
'ものがたり'散策 | 2017.12.21 Thu 19:23
斎藤平太は、楢岡の工学校に、まぐれあたりのように入学し、教師のなにかの間違えのおかげで、首尾よく卒業します。 そして彼は、父が村長をしている村へ帰り、家の敷地に建築屋の看板を掲げ開業します。早速来た仕事は、消防小屋と相談所を兼ねた二階屋と村の分教場でした。 平太は早速設計図を引いて、村の大工たちを呼び、仕事にかかりました。ところが大工たちはおかしな顔をして、下ばかり向いて働いているのです。 出来上がった建物は設計のミスで、前者は階段がなく、後者は廊下がありませんでした。失敗を恥じた平太...
'ものがたり'散策 | 2017.12.20 Wed 20:15
ゴーシュは町の活動写真館で、セロを弾く係りでした。しかし楽手の中では一番下手でしたので、いつも楽長から叱られていました。 十日後の、町の音楽会で演奏する、第六交響曲の練習中、ゴーシュは楽長に、「セロが遅れた」「セロの糸が合わない、ぼくは君にドレミファを教えている暇はない」「音楽の表情というものがまるでできていない、怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ない」などと注意されます。 そして、楽長は、ゴーシュを前にして、君ひとりのために、我々音楽の専門家である金星音楽団が、素人の寄り合いの楽団...
'ものがたり'散策 | 2017.12.19 Tue 19:03
虔十(けんじゅう)は、いつも縄の帯をしめ、笑って、森の中や畑の間を、ゆっくりと歩いているのでした。青い藪、青空をかける鷹など、どれを見ても虔十は嬉しくなります。 しかし、子どもらが、そんな虔十を馬鹿にして笑うものですから、彼は次第に笑わないふりをするようになりました。でも虔十が笑っているのは周知のことで、やはり子どもらは、皆、彼を馬鹿にして笑いました。実際、虔十はどこか足りない人と、皆に思われていました。 そんな彼が、突然母親に頼みごとをします。杉の苗を七百本買ってくれというのです。...
'ものがたり'散策 | 2017.12.16 Sat 19:13
『オツベルと象』 宮沢賢治童話全集 7 より - いろいろな読み方ができる説話 『ねこの事務所』 宮沢賢治童話全集 7 より - 仏教思想に裏打ちされた諷刺 『台川』 宮沢賢治童話全集 7 より - 農学校もの、得意とする地学、発見の喜びを伝える物語 『楢ノ木大学士の野宿』 宮沢賢治童話全集 7 より - 賢治のスケールの大きな自然観 『十力の金剛石』 宮沢賢治童話全集 7 より - 石好き賢治による仏教説話 JUGEMテーマ:童話
'ものがたり'散策 | 2017.12.15 Fri 18:27
霧の朝、王子は、家来の者達の心配をよそ目に、同い年の大臣の子とふたり、自分が持っている以上の、さらなる宝石を求めて、虹の足元にあるというルビーの絵の具皿を探しに出かけます。 霧が晴れて出た虹を追って、ふたりは森に入ります。ところが森に入ると再び霧が出てきてあたりは暗くなり、ふたりの行く手を阻みます。 ふたりは途方に暮れていると、どこからか歌が聞こえてきてます。やがて霧は雨にかわりました。 その歌の主は、二羽のはちすずめでした。ふたりがかぶっていた帽子に飾ってあったものが化身したです。 ...
'ものがたり'散策 | 2017.12.14 Thu 19:45
宝石学を専門とする、楢ノ木大学士(ならのきだいがくし)は貝の火兄弟商会(かいのひけいていしょうかい)の赤鼻の支配人に頼まれて、旅費をを前払いに蛋白石(たんぱくせき=オパール)を探す約束で上野を発ちます。 一、野宿第一夜 学士は、この川筋があやしいぞ、とつぶやくと、葛丸川(くずまるがわ)西岸を登り、日が暮れると野宿しました。学士は横になると、夢のなかで、山がのっきのっきと立ち上がります。 学士は、その四つ続いた岩頸(がんけい)の山を眺めその四つの岩頸を、ラクシャン四人兄弟と分かり喜び...
'ものがたり'散策 | 2017.12.11 Mon 19:06
ブログでは、これより三話、賢治の鉱物ものと呼べるような作品を扱います。また、この物語では、賢治が農学校の先生をしていた時の、実在した生徒が多数登場します。その意味で農学校ものとしても位置づけることもできます。そして物語の中のわたしと称する人物は、賢治その人を指しているのでしょう。わたしと生徒のやり取りの様子がいきいきと描かれます。 わたしは校長とともに、農学校の生徒を引率し、地学の校外学習に出かけます。途中、校長は待つこととしました。わたしは希望する者を募って、花巻温泉街の北にある釜淵...
'ものがたり'散策 | 2017.12.09 Sat 18:43
ある小さな役所に関する幻想として物語は始められます。 軽便鉄道の停車場の近くに、ねこの第六事務所がありました。ここは主に、ねこの歴史と地理を調べるところでした。例えばベーリングへ旅行するねこにその予備知識を与えたりすることを仕事としていました。 事務長は、少しもうろくした黒猫、一番書記を白ねこ、二番書記を虎ねこ、三番書記を三毛ねこ、四番書記を釜ねこがつとめます。 書記という仕事は、皆から尊敬される憧れの職です。しかし、これらのポストの数は不変でした。そして何かの都合で書記をやめるも...
'ものがたり'散策 | 2017.12.06 Wed 19:04
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