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青空文庫 『おじいさんのランプ』 新美南吉 かくれんぼで、倉の隅にもぐりこんだ東一(とういち)君がランプを持って出て来ました。 それはおじいさんのランプでした。 おじいさんは昔話を始めます。子どもの頃、みなしごだったおじいさんは、できることなら何でもして、やっと村においてもらっていました。 そのおじいさんが、ふとしたきっかけでランプに出会います。おじいさんにとってランプの光は希望の光でした。そして、独り立ちするべくランプ売りとなり、それが成功し、嫁をもらい、ふたりの子どもを授かり...
'ものがたり'散策 | 2020.05.30 Sat 18:12
青空文庫 『うた時計』 新美南吉 二月のある日、野中のさびしい道を、十二、三の少年と、皮のかばんをかかえた三十四、五の男の人とが、同じ方へ歩いていった。風がすこしもないあたたかい日で、もう霜がとけて道はぬれていた。 つまり泥道ですね。この道を歩きながら、二人の会話が物語を形作ります。また、この情景がこの物語のすべてを比喩しているように思われます。泥道とは人生ですね。 主人公の少年は、自ら話す通り、清廉潔白の廉の字を名とするとても善い子どもです。心が清くて私欲がなく、後ろ暗いことのま...
'ものがたり'散策 | 2020.05.23 Sat 18:05
青空文庫 『久助君の話』 新美南吉 『川』、『嘘』に続き、このお話で三作目ですが、南吉の作品の中で、九助君という、一人の少年を主人公とした物語で、いわゆる九助ものと呼ばれる物語群の中のひとつです。 三作目にして、どうやら久助君には、どちらかというと、内気な優等生像が重なりました。この物語も久助君が学校で学術優等品行方正のほうびをもらったことに端を発します。 そのおかげで父親は、もっと勉強をして立派になってほしいと思ったかは知れませんが、久助君に、学校から帰ったら、すぐ一時間の勉強...
\'ものがたり\'散策 | 2020.05.16 Sat 18:15
青空文庫 『ごんごろ鐘』 新美南吉 この作品は、戦時中の勅令(金属類回収令、昭和18年8月12日)で、村のごんごろ鐘と呼ばれる鐘が、爆弾にされるべく国に献納されるという出来事を物語るものです。 主人公である僕は、物語最後に、彼の兄の言葉、 「うん、そうだ。何でもそうだよ。古いものはむくりむくりと新しいものに生まれかわって、はじめて活動するのだ。」 というものを半分わかるものとして、ごんごろ鐘、献納を、半ば好意的に描いています。 しかし、物語全体に流れるのは、村人たちによる、これから...
'ものがたり'散策 | 2020.05.09 Sat 18:22
青空文庫 『嘘』 新美南吉 前回に続き、南吉の作品の中で、九助君という、一人の少年を主人公とした物語で、いわゆる九助ものと呼ばれる物語群の中のひとつです。 久助君のクラスに、横浜から太郎左衛門という都会風の少年が転校してきました。太郎左衛門は皆の世界に入り込んできます。しかし、太郎左衛門は嘘ばかりつくので、しまいにみなから相手にされなくなりました。 ところで、ある日、久助君ら、四人の友達は、この世があまり平凡なのにうんざりし、どうしてここには、小説のなかのような出来事がおこら...
'ものがたり'散策 | 2020.05.02 Sat 18:16
青空文庫 『川』 新美南吉 南吉の作品の中で、九助君という、一人の少年を主人公とした物語群で、いわゆる”九助もの”と呼ばれるもののひとつです。 物語始め、学校の帰り道、九助君以下四人の級友が、川で、とあるゲームにいそしんでいたところ、兵太郎君の具合が悪くなり、そのせいかは知れませんが、兵太郎君は翌日から学校を休むことになります。 九助君以下三人の級友が、自分たちのせいではなかろうかと自責の念にかられます。しまいには兵太郎君が死んだとのうわさも流れます。しかし、それは、杞憂で、兵太...
'ものがたり'散策 | 2020.04.26 Sun 18:32
『夜なきうぐいす』 H.C.アンデルセン 最後の恋人への思いがつづられる物語 『マッチ売りの少女』 H.C.アンデルセン 優れた空想がもたらすもの 『妖精の丘』 H.C.アンデルセン 異色の小品 『古い家』 H.C.アンデルセン 生涯独身だったアンデルセンの孤独な心象風景 『蝶』 H.C.アンデルセン 得られなかった生涯の伴侶、自嘲が語られる物語 『人魚姫』 H.C.アンデルセン 若き日のアンデルセンの恋愛観 JUGEMテーマ:童話
'ものがたり'散策 | 2020.04.22 Wed 15:13
宮沢賢治と新美南吉(代表作『ごん狐』)は、同じ時代を、地方で教師を務め若くして亡くなった童話作家(宮沢賢治37歳没、新美南吉29歳没)という共通点から比較されることが多い。 賢治が、独特の宗教観・宇宙観で人を客体化して、時にシニカルな筆致で語るのに対し、南吉はあくまでも、人から視た主観的・情緒的な視線で、自分の周囲の生活の中から拾い上げた素朴なエピソードを、脚色したり膨らませた味わい深い作風で、「北の賢治、南の南吉」(賢治が岩手、南吉が愛知)と呼ばれ、好対照をなしている。 宮沢賢治については...
'ものがたり'散策 | 2020.04.19 Sun 18:24
おなじみの物語です はるか沖へ出ると、海の水は青みの一番強いヤグルマソウくらいに青く、また一番透明な水晶に負けないくらい澄み切っています。 でも沖はとても深く、深さを測ろうにも測れません。人魚が住んでいるのは、そんな海の底です。 人魚の王様はずいぶん前にお妃さまをなくされましたが身の回りのことは年老いた母親に見てもらっていました。 この母親は褒められてよい方でした。とりわけ孫娘にあたる小さな人魚の姫さま方を心からいつくしんでおいででした。 姫さま方は六人で、いずれ劣らぬ美し...
'ものがたり'散策 | 2019.01.13 Sun 18:05
むかし、一羽の蝶が、花嫁を探していました。もちろん、とてもきれいな花を花嫁にしようと思っていました。 しかし、どの花たちにも、優劣をつけられません。皆、茎の上にちょこんと澄まして座って、まるで婚約をまえにした若いお嬢さんのようでした。 そんなわけで、いい花嫁さんを探すのは、とても骨の折れる仕事になりそうです。蝶は面倒なことがあまり好きではなかったので、ヒナギクのところへ訪ねていきました。 フランスでは、ヒナギクのことを「マルグリット(マーガレット)」と呼び、占いをしてくれる花として知ら...
'ものがたり'散策 | 2018.12.30 Sun 18:28
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