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第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(27) 飛燕再び ある日、特筆すべき命令が伝達された。済州島に飛燕2機と隼1機が整備されているらしく、僕の部隊が受領する許可となったらしい。隼機は誰でも操縦できるが飛燕機の操縦は寺田少尉と僕等と村上軍曹(少年飛行兵)の3人しかいないので、誰を派遣するかを上司で協議されたらしい。結局、僕と村上軍曹とが飛燕機の受領者になった。隼機受領者の将校と3人、将官が済州島視察に行くという輸送機に便乗して飛んだ。 済州島には航空廠があり、整備も充分だった。僕等が受領す...
PLUSMAKER presents | 2008.09.11 Thu 09:58
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(26) 戦局の悪化 沖縄の攻防戦も日本に利あらず、特攻隊の戦果も上がらず。突入する飛行機がないのだろう。夜間に紛れて、赤トンボまでが50キロ爆弾を抱えて出撃している状態だと小耳に挟んだ。ほんとうだろうか?信じられない思いだった。 敵艦船に体当たりする『神風特攻隊』の初期は、この特攻隊を護衛して行く戦闘機が20機、30機と同行し、攻撃して来る敵戦闘機から特攻隊を守ったものだった。しかし戦闘機も1機、2機と未帰還となり、しかも敵機は2倍、3倍の数、こんな不利な戦...
PLUSMAKER presents | 2008.09.08 Mon 09:13
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(25) 泣きっ面に蜂 京城金浦飛行場での訓練時にはピストに火燵が置いてあった。部隊長が暖を取るためである。炭の継ぎ足しに炭俵の底をはたいた時、炭の粉がはじいて僕の目に入った。コロコロしてどうにも我慢できないので、断って医務室に行き洗浄して貰ったが、コロコロは良くならなかった。 翌日また洗浄して貰ったが良くならないので、訓練を休んで2、3日保養した。部隊長が気にしたのか【治療のため市内の陸軍病院に行け】と伝達があった。 それから京城陸軍病院通いとなっ...
PLUSMAKER presents | 2008.09.03 Wed 09:09
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(24) 寺田准尉 寺田准尉について特筆してみたい。普通は兵隊から下士官候補となり、伍長、軍曹、曹長と進級し曹長3ヶ年で准尉になる。階級はそこで止まって万年准尉となるのが常識となっていたが、部隊によっては教官不足等、人材確保のため特別進級が認められる事になる。(特例として予備大尉まで進級)寺田准尉も特攻隊に出て行った出丸少尉の欠員として任命された。内地の士官学校で6ヶ月間、将校としての教育を受け少尉に任官する事となって派遣された。しかし諸般の事情、戦局の...
PLUSMAKER presents | 2008.09.01 Mon 09:56
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(23) 営外居住 記憶が前後するかも知れないが、昭和19年12月1日付で僕は営外居住の許可を貰った。曹長になって1年が経過すると営外居住が許され、部隊から500メートル余り離れた所に営外官舎が数棟あった。その中の4、5帖の部屋に入った。隊内居住では皆、ラッパの音により起居同作を余儀なくさせられていたのが、営外になるとそれから解放され営門の出入りには営兵の敬礼を受け、誇りにも似た解放感に気を良くした。さっそく故郷の父宛に布団の注文、至急送付願いを出した。父母の好意...
PLUSMAKER presents | 2008.08.29 Fri 09:45
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(22) 最後の配慮 翌日は特攻隊員と共にトラックに乗り、北京市内の見学に同行した。中国の歴史に守られた紫禁城や美しい建物を数ヶ所見て回った。特攻隊員への最後の慰めともてなしであろう。これも上官からの配慮だったろう。別れ際、少年飛行兵達の手を握り激励の言葉をかける僕の心境は、深く入り交じったものであった。僕と寺田少尉、他2、3人は迎えの高練の輸送機で、その日の内に京城に帰還した。 JUGEMテーマ:ノンフィクション
PLUSMAKER presents | 2008.08.26 Tue 08:49
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(21) 黄砂の北京 北支大陸に入って視界が悪くなり地上物が確認できなくなったため、高度1,500メートルに下げ30分も飛んだ頃に左前方に市街地が見えて来た。地図から判断して天津市と判断し、北京市への進入のため北方に至ると信じ一路北進した。視界が悪いのは煙霧か黄砂のせいで、高度1,000メートルに下げ2、30分経った頃、北京市街の南に飛行場を確認し、ほっと安心した。風向き、風速、着陸帆布を確かめ、慎重に着陸態勢に入り全機無事着陸した。寺田少尉の笑顔に敬礼し着地の報告で...
PLUSMAKER presents | 2008.08.21 Thu 09:20
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(20) 誘導任務 なぜ今回に限り寺田少尉と僕の二人が特攻機を誘導する事になったのか。今までの2回の特攻隊は隊長のみで部下の隊員を引っ張って出撃したのに……。これは僕の憶測であるが、彼等は航法には慣れてないというよりほとんど初めての経験であろう。しかし朝鮮から内地九州、さらに南の金谷飛行場まで飛ぶのは、比較的容易な飛行だったため誘導機をつけなかったのだろう。だが、今度の任務は中国の上海に集結する事になっている。上海から沖縄へ背後からの必殺の特攻計画としか考...
PLUSMAKER presents | 2008.08.18 Mon 09:54
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(19) 悲しい現状 この事故での僕の考えを述べたい。第一は離陸した寺田少尉が地上での事故に気づかず、30分も上空旋回して着陸しなかった事だった。後で本人に聞いたら、「どうして後続機が上がって来ないのか」と不審に思いながら待っていたとか。低空旋回しているので地上の2機の事故に気づく筈なのに、僕はただ唖然として「早く降りて来て欲しい」と願っていた。 第二に編隊で出発する時は、必ず自機の前に離陸する機を確認できる位置に並ぶ事だと。前機の出発合図を自機の出発合...
PLUSMAKER presents | 2008.08.13 Wed 11:16
第五章・教官〜戦況悪化と特攻隊の出撃〜(18) 第三次特攻と事故 水原飛行場に帰って、またもや第三次の特攻隊の拝命があった。今度は特別任務で中支の上海集結であった。【上海から北京まで部隊誘導のため迎えに来るので、北京まで進出して来い】との事。寺田少尉と僕は13機の特攻機の誘導を命ぜられ、寺田少尉が7機、僕が6機の編隊長となり平壌飛行場に集結した。僕等は初めて上級高官連中の盛大な見送りを受けた。 平壌出発時、滑走路に13機が出発の合図を待っていた。白旗が振られ寺田少尉が離陸して、二番機がちょっと...
PLUSMAKER presents | 2008.08.12 Tue 09:04
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