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JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(6)「あら、ほかの教室に顔を出している人も結構いるのよ」 敦子が反論するように声をあげた。「え、ほんとですか? でも、どうしてそういうことをするのだろう?」「もっと自分に合った先生がいるのじゃないかと思って探してるんじゃないかな。私が今習ってる気功の先生は、とても男らしいうえに、女性にやさしいのよ」「……」 突然のことでぼくが何も言えず黙っていると、敦子が言った。「げっしんも気功の会に行かない?」 敦子の眼には好意があふれていた。...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.11 Mon 12:00
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(5)「えー、ひどいなあ」 ぼくは苦笑しながら言った。「ごめんなさいね。まあ、私の人間鑑定法だと思って許して」「とりあえず合格ということですか?」 ぼくは、思わず額に手をやった。「この人なら大丈夫だと思ったわけよ」「そうですか。では、敦子さん。ぼくのことを、げっしんと読んでください。月田槙太郎、略してげっしんです。その方が親しみがもてますから」「あら、いいわね。じゃあ、これからは、げっしんと呼ばせてもらうわ」 ぼくと敦子は顔を見合...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.10 Sun 11:23
JUGEMテーマ:連載第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(4) 合掌行気を行うには、まず両手を胸の前で合わてから眼を瞑る。そして、先ほどと同じように、最初に全員が息を揃える。 あとは、息を吸うときに指先から息を吸い込むつもりで吸い、息を吐くときは指先から身体の外に向かって息を吐いていくつもりで行う。これを各自、自分のペースで数分間行うのである。この間、玄丈先生は一人ひとりをまわって、手に気を通していく。 誤解を避けるためにあえていうが、指の中を息が出入りするわけではない。そういうつもりで訓練すれ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.09 Sat 10:00
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(3)「えっ、そうなんですか?」 ぼくは意表をつかれた。そして、ここはなんとか挽回しないといけないと思った。 実を言うと、会社勤めをしていたとき、ぼくはある人から「リーダーは、人をほめることを学ばなければいけない」と忠告され、以来それを忠実に実践してきたのだ。だから、このときもほとんど自然に言葉が出てきた。「ご自宅から水道水を……。うーん、さすがですね。ぼくには思いつきそうもありませんよ。経済観念が素晴らしい」「そりゃあそうよ。主婦...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.08 Fri 10:16
JUGEMテーマ:連載第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(2) 玄丈道場では、整体の創始者である野口晴哉を、野口先生と呼んで深く尊敬していた。だから、道場の者にとってみれば、整体というものは、野口先生がまとめたもの以外にはなかなか考えにくいのである。ところが、今では猫も杓子も整体という言葉を使っているため、一般の人は、整体といえばマッサージや指圧のことだと思っている。しかし、これからぼくが使う整体という言葉は、野口先生の創った整体のことをさすと考えていただきたい。 玄丈先生の健康道場で...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.07 Thu 09:03
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念2 愉気講座にて(1) 香港飯店で晴美たちと食事をしてから三週間がたった。すでに七月に入り、梅雨真っ只中であった。 この日、ぼくは玄丈先生の愉気《ゆき》講座に出席していた。 愉気というのは、簡単に言えば、人の身体に手を当てることだ。子供がおなかが痛いといったら、お母さんが「どうしたの」と言いながら、思わずそこに手を当てるだろう。これが愉気の本質である。あるいは歯が痛くなると、自分で顔に手を当てる人がいるだろう。これも愉気である。これを手当て療法と...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.06 Wed 10:06
登場人物紹介 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…) つなビィ -tuna.be- 右肩を落とし、腰を少し屈めて荒い息で肩を上下させ、心の中でつぶやく。 『傷の痛みは耐えられる。だが…』 血が滴り続けると、意識が途切れる。 自分が倒れたら、レイファスが殺られる。 それだけは何としても避けたかった。 チラと剣を、見る。 血濡れたそれに、呪文を唱えようかと思った。 だが、賭だった。 撃退できるだけの光の力が、胸に下げた金の護符の中にあればいいが…。 がオーガスタスは、ローフィスとの戯れの会話...
アースルーリンドの騎士 | 2010.01.05 Tue 13:16
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念1 異様な気の乱れ(6)「……もしかして、玄丈先生は、そういう紛争が日本国内にも起きるかもしれないと思っておられるのではないでしょうか。ねえ加藤さん」 晴美は急に不安にかられた顔になった。ぼくもぎくりとして、思わず加藤さんの方に眼をやった。「そこまでは……」 加藤さんは、首を左右に振って呟いた。「地震は確実にあるだろう。ただし、それが大地震であるとはかぎらない。せいぜい震度三とか四くらいのことかもしれない。しかし、その程度のことだったら、げっしんに対...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.05 Tue 10:29
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念1 異様な気の乱れ(5) 加藤さんの声にはいっそう熱が入ってきた。彼の話は込み入っていたので、簡単にまとめておこう。 ――一九六二年の大地震。五年後の六七年に中東戦争勃発。 ――一九六八年の大地震。五年後の七三年に第四次中東戦争勃発。 ――一九七八年の大地震。七九年にイラン革命が起き、シーア派のホメイニ師がイスラム主義政権を樹立。同年十二月には、ソ連がアフガニスタンに侵攻。さらに、八〇年に入り、イラン・イラク戦争が勃発。 そういう証拠を出されると、ぼく...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.04 Mon 11:08
JUGEMテーマ:連載 第二章 玄丈先生の懸念1 異様な気の乱れ(4)「でも、どうしてそんなことが起きるのかな」 晴美は小首を傾げて呟いた。「さっきも言ったが、原因は電磁波だとぼくは思っている」 加藤さんは片頬に笑いを浮かべた。「ふーん、電磁波ですか?」 ぼくはまだ完全には信じていない。「そうだ。電磁波だ」 加藤さんはぼくの言葉を無視するように断定的に言ってから、つづけた。「最近では、地震が起きる前に、地殻が破壊されるという学説が有力なんだ。地殻というのは要するに地下の岩石のことだ。その岩石...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2010.01.03 Sun 09:21
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