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JUGEMテーマ:連載第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(9) ここに至って、ぼくもようやくすべてを理解した。これがこの雑誌社のやり口だったのだ。 もちろん、ここで吉村が断れば話は終わりだ。だが、吉村は簡単には断れない。せっかく児島という有名人と対談できたのだ。これを活かさない手はない。 吉村は無言で顔を伏せたまま、怒りと希望とためらいの表情を交互に現した。持ち前のあの陽気さは、彼の顔からはすっかり失せていた。 想像するに、彼の腹の中はこんな感じだったのではないだろうか。 ――雑誌...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.04 Fri 09:21
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(8) それから一週間後、相変わらず胃痛もちのような陰気な顔をしている細野が、一緒についてくるように言った。「どこに行くんですか?」「吉村の事務所さ」「何をしに?」「行けばわかるさ」 吉村の事務所は高田馬場駅そばの比較的新しいビルの中にあった。 事務所には従業員が五、六人いたが、話し声はほとんど聞こえず、キーボードを打つ音だけがやけに響いていた。 応接室に通され、二人並んで真新しいソファーに腰掛けて待っていると、吉...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.03 Thu 09:22
恐ろしい事を言う。記憶から、消された記憶なんて、よくない事に決まってる。夜は、人の心まで闇に浸すのだろうか?リゲルの口振りに、棘がある。闇の怖さを大げさに信じる僕に、きっと呆れたのだ。誰も待たず、夜は刻々と更けていく。歩を進める度、リゲルは口数が減って、今では押し黙っている。リゲルとの会話という拠り所も失って、僕は、あぁ、この夜の味方がいなくなってしまった、とひとり可笑しがる。 「ネオはここを左、だろ?気を付けて帰れよ。親御さんに叱られそうになったら、和知君に連れ回されてた、とか言え...
セイメイ (仮) | 2009.12.02 Wed 19:53
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(7)「我が社は、二年後には上場を目指しています」「えっ、そんなに早くですか?」 予想外の答えであった。「ええ、おそらくこれまでで最速に近いでしょう。私はとにかく一番じゃなきゃ嫌なんです。仕事もそうですが、ふだんの生活もそうです。電車に乗っていても、隣の線路の電車に追い抜かれたら、カリカリするんですよ。自分の車を運転しているときは、もっとそうです。交差点で信号待ちしているときなんか、隣の車にスタートで絶対負けまいと...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.02 Wed 09:04
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(6)「役員さんときたら、これまでの態度を一変させちゃいましてね。掌を返すようだとはこのことです。『これは素晴らしい。息子が大喜びするぞ』『こんなのは見たことがない!』なんてね。それから、かれこれ三十分くらい、役員さんと私は切手について話をしたでしょうか。私も嫌いではないものですから、話がどんどん弾んでしまいました」 吉村は興が乗ってきたらしく、口の角から泡を飛ばしていた。こっちはその飛沫がコーヒーカップに落ちてこ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.01 Tue 08:37
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(5)「児島先生。よくぞ聞いてくださいました。私は仕事を始めるに当たって、ホテル・コクラさんにターゲットを絞りました。ここを落とせば、必ずほかのホテルもそれに倣うだろうと思ったからです。それで毎日毎日、担当役員のところに通ったんです」「ほほう」「でも、いつも門前払いでした」「たしかに、新参者が簡単に入れるほど世の中は甘くはないのでしょうな」「ええ、まったくおっしゃるとおりです。私のようなどこの馬の骨かわからないよう...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.11.30 Mon 09:12
僕を見送るつもりで停留所に佇んでいたリゲルは、驚き、次いで一笑した。住宅街の夜道には、衣擦れさえ意識する静けさがある。マンションの明かりは白々しくて、僕を安心させない。時々、一軒家の窓から、内側を照らす灯りや、音がもれ、人の気配を感じる。家ごとに、小分けされた人々の団欒を想像してみる。よその家というのは、僕にとって異次元だ。想像よりずっと、奇妙な世界が展開しているのだろうから。 「何か理由があるの?暗闇が苦手ってことに。」 「解らない。条件反射っていうのかな、暗闇に身を置くと恐怖する、って...
セイメイ (仮) | 2009.11.30 Mon 01:21
登場人物紹介 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…) アイリスはきつくしがみつくファントレイユの耳元でささやき続けた。 「もう大丈夫。安全だから」 横にレイファスとテテュスがファントレイユを心配して見上げていて、アイリスはそっと肩に張り付くファントレイユに、告げる。 「君を心配している」 ファントレイユがそっ、と顔を上げ、後ろを振り向くと、テテュスとレイファスと瞳が、合った。 テテュスが心配げに見つめ、レイファスにじっと見つめられ、ファントレイユはもぞり。と動くと、アイリスは笑...
アースルーリンドの騎士 | 2009.11.29 Sun 11:09
JUGEMテーマ:連載第一章 玄丈先生との出会い3 起業家と元キャスターの対談(4)「お若いのに、吉村さんはなかなかいいお仕事をなさっているそうですね」 児島はにこにこ笑いながら、若輩の吉村に自分から積極的に声をかけた。なかなか気配りのある人だ。「児島先生にそうおっしゃっていただけると、本当にありがたく思います。新参者ですが、これからガンガンいくつもりですので……」 吉村は、愛想笑いをしながら児島に握手を求めた。自分より年上の人間に対して、よくもこんなに自然に振る舞えるものだ、とぼくは感心させられた。 ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.11.29 Sun 10:06
間違えた気恥ずかしさに、その場から逃げる。咄嗟の対応のまずさに我ながら呆れてしまう。 「なんで下りてきたんだ?」 「寝ぼけてて。」 「しっかりしろよ。」 「ほんとにそう思う。」 「じゃあ、途中まで一緒に帰るか。」
セイメイ (仮) | 2009.11.28 Sat 23:23
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