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JUGEMテーマ:連載第一章 玄丈先生との出会い4 翔太との出会い(5) ぼくは男を相手にせずに歩きだした。だが、そのとき自分でもどうしてそうしたのかわからないが、行きかけた足を止め、男を見返って声をあげた。「それにしてもひどい顔だな。その顔で電車に乗ってみろ。みんな怖がって寄りつかんぞ。まあ、注意することだ」 今にして思えば、まだ腹立ちがおさまっていなかったので、つい捨て台詞を吐いてしまった、ということのようだ。 ところが、男は意外な言葉を返してきた。「あなたも同じ顔ですね」「なんだと!」 男の言葉...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.10 Thu 09:22
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い4 翔太との出会い(4)「迷惑かけちゃってすいません」 男は猫背の薄い胸から、陰気な声を絞り出すようにして、ぼそぼそと言った。「いや」 ぼくはかかわりたくなかったので、短く答えて歩き出した。すると、男は足をひきずりながらぼくを追いこし、ぼくの前を遮った。「どきたまえ」 ぼくはつい大きな声をあげてしまった。「すみません。電車賃がないんです。貸してくれませんか」 男は必死の形相で嘆願した。「電車賃を貸せだって!」 ぼくは思わず叫んだ。冗談じゃない。...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.09 Wed 09:36
街灯のあしもとにひとり残されて、不安になる。駆けてきて、直ぐに走り去った女性を、リゲルのお母さんとして認めてよかったのだろうか。惑う前に、走り出す。雑木林には道がある。子どもたちが使う、公園への抜け道だ。リゲルの家は、公園の辺にある。近道すれば、あの人より早くリゲルに会えるかもしれない。木々の隙間を縫う小道は、真っ暗だ。懐中電灯の明かりを地面に這わせながら、記憶と勘が道案内して僕を走らせる。汗の流れる不快さとは裏腹に、闇に脅かされていない心が高揚する。瞬間、砂利に足をとられて、挫けそうにな...
セイメイ (仮) | 2009.12.08 Tue 23:05
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い4 翔太との出会い(3)「おい、おまえ」 刑事は脅かすように言った。「おれは川上商事の社長を知っているぞ。いつも世話になってる間柄なんだ。港区にあるビルはいいビルだな」 刑事は探るような視線をぼくの顔に走らせた。「あっ、社長をご存知でしたか」 ぼくは屈託なく答えた。「でも、本社は大阪なんで、いつもはあっちにいるんですけどね……」 ぼくが何気なく言うと、刑事は急にバツが悪そうな顔になって下を向いた。 その様子を見て、ぼくはやっと彼の質問の意味を理解...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.08 Tue 10:05
女性の甲高い声だ。僕は思わぬ名を呼ばれて、立ち竦む。僕の顔をのぞき込んだ女性は、眉間に寄せた皺に若さを奪われている。白目を赤くしているけれど、光をうけた薄茶色の虹彩にグリーンが閃く。あ、リゲルの目だ。 「あの、もしかして、リゲルの」 「リゲルを知ってるの?何処にいるか知ってる?」 「さっきまで一緒にいました。坂下のY字路で別れて、」 「そう。」
セイメイ (仮) | 2009.12.07 Mon 22:13
登場人物紹介 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…) ちゅん! 水が跳ねる音にギュンターはその縄が、水溜まりの上を滑って来るのを見つめ、咄嗟に屈んで掴もうとした。 途端ワニはその口を思い切り高く持ち上げたかと思うと、ギュンターの方へと傾け、一気に振り回しにかかる。 ローランデが咄嗟に剣を抜くと、振り子のように振られた口がギュンターの屈む背目がけ振り下ろされるその前に、そのでかい口に咄嗟に駆け寄り剣の柄を両手で握り込んで、思い切り上に引き上げ突き刺す。 ぐわっ! ローランデは瞬間そ...
アースルーリンドの騎士 | 2009.12.07 Mon 12:51
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い4 翔太との出会い(2) なんのことはない。ぼくは一発であっけなくひっくりかえってしまった。ひっくりかえったところに、さっきやられていた若い男も倒れていたので、二人揃って連中から散々足蹴にされた。 これからいったいどうなるのか。痛みの中でぼくは死んでいくのか。そう思ったときだった。遠くからサイレンの音が聞こえてきて、連中は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。「よかった。助かった」 警官たちが彼らを追いかけるのを、ぼくはぐったりしながら眼で追いか...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.07 Mon 11:15
僕の手に懐中電灯を握らせて、とっとと歩き去る背中をぼんやりと見やる。なぜ黙っているのか、聞けず仕舞いに別れてしまった。思い詰めているようにも見えて、内心、打ち明けてくれないものかと、隣で歩調を合わせていたのだけれど。僕などには、荷が勝ちすぎることだろうか。堂々巡りになる考えをお終いにして、一歩一歩坂を上る。僕の家は高台にある。あのままバスに揺られていた方が、断然ラクチンに帰り着けた訳だ。長い坂の、半分にも達していない地点でため息を吐く。月が出ている。片側の雑木林がつくる影に怯えながら...
セイメイ (仮) | 2009.12.06 Sun 03:38
JUGEMテーマ:連載 第一章 玄丈先生との出会い4 翔太との出会い(1) 細野との縁を切ってから、初めて日差しが春めいていることにぼくは気がついた。思いがけない体験をしている間、ぼくは時のうつろいを感じる余裕すら失っていたのである。いつの間にか、季節は三月の半ばを過ぎていた。 このころ、ぼくには気がかりなことがあった。怖い取り立て屋が家に押しかけて来るのではないかと恐れたのだ。しかし、どうやらそれは杞憂のようであった。たかだか数万円の金を取り立てるような面倒なことを、彼らはしないのだろう。 ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.12.05 Sat 09:44
登場人物紹介 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…) がローフィスはその、つかえていた白い化け物の幅広の頭が、ずりずりと岩肌を擦るのを目にし、穴の上の岩がぐらつき、揺れて削られて行くのを見、大声で叫ぶ。 「出るぞ!」 その叫びとほぼ同時に、ずがん!と派手な音を立ててワニの巨体は岩の上部をがらがらと崩し、前へと一気に這い進む。 その長い口は洞窟の横幅いっぱいで、鼻先は洞窟の岩壁にいきなり突き当たって、派手な音を立て激突した。 どごん!!! 皆が見守る中、ワニは一瞬足を止めるとだが、ギ...
アースルーリンドの騎士 | 2009.12.04 Fri 13:01
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