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JUGEMテーマ:連載第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(6) 如雪は彼の太い右腕にゆっくりと時間をかけて気を通した。「よし、来たまえ」 受講生たちは、如雪の声を聞くと一気に緊張し、固唾を呑んで事態の進行を見守った。 如雪の合図を聞いたスシボンは、大きく息を吸って全身に力を満たしたのち、如雪の腕に向かって矢のような勢いで飛びかかっていった。 その矢がまわりの空気を切り裂いて通過したあとには、つむじ風が吹いた。 だが、ぼくがその風を感じる前に、矢は如雪の腕にすでに到達していた。 そして、ついに...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.27 Wed 09:06
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(5) スシボンは相手が女なので、少々手加減したようだ。 彼は余裕をもって歩きはじめ、やがて彼の太い腹のあたりが女のしなやかな細腕に当たった。相撲のように、腹で寄り切るようなつもりなのだろうか。 だが、女の腕はびくともせず、腕の先から一歩も進めなかった。誇り高いスシボンにとっては、あまりにも惨めな敗北であった。「もう一度たのんます」 スシボンは如雪に嘆願するように言った。眼がだんだん真剣になっている。「いいでしょう」 如雪は声...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.26 Tue 08:27
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(4) 如雪は晴美を落ち着かせようとして声をかけた。「覚えていますか? 腕に力を入れず、腕をホースのようなつもりにして、指の先から水を流すようにイメージするんでしたね?」 如雪の顔がにやけて嬉しそうに見えた。「わかりました。やってみます」 晴美は真剣な顔で答え、しばらく眼を瞑って必死にイメージングをしていた。 ころは良しと見た如雪が、声をかけた。「進藤さん。用意できましたか?」 晴美は軽くうなずいた。「はい、では君。歩いてきて...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.25 Mon 10:15
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(3)「難しいことはありませんよ。私が合図をしたら、あなたはただまっすぐ歩いてくださればよいのだから」 如雪は微笑して答え、付け加えた。「少し離れたところから歩いてきてもらいましょうか」 如雪は晴美を女助手から三メートルぐらい離れたところに行かせた。 如雪は今度は助手に向かって言った。「では、君。気の腕をつくって前に出して」 この様子は、高速道路の料金所で、遮断機の棒が車を通せんぼしている状態を思い浮かべてもらえばよい。つまり、晴美...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.24 Sun 09:04
──翌日の早朝、ぼろ宿のかびくさい一室の、湿ったふとんのなかで、ミスター・グリーンは重たいまぶたをあけました。ひびわれたガラス窓から朝の光がはいりこみ、ミスター・グリーンの寝ぼけた顔をてらしだしています。真夜中のこと、その窓辺で女のゆうれいを見たような気がしたけれど、もしかしたらあれは酔っぱらって通りかかったおねえさんが、顔をガラスにはりつけていただけだったのかもしれません。 ミスター・グリーンは眠気まなこで大あくびをすると、ぼさぼさ頭をぽりぽりかきながら、枕もとに置いてある一輪ざしにふと目...
こどものほん | 2009.05.24 Sun 00:23
JUGEMテーマ:連載第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(2) 初めてきたスシボンは落ち着かない様子で、会場を見回している。「スシボン先生。少しは落ち着いたらどうです」 ぼくは冷やかすように言った。「そう言うな。おれは初めてのことには弱いんよ」 スシボンの声は珍しく弱かった。 そうこうしているうちに、如雪がいつものように悠々とした態度で現れた。「まだ、暑い日がつづきますねえ。気を集める生活をして、暑さなんか吹き飛ばしましょう」 意外にも如雪は世間話から始めた。そして、話を先日の地震に向けた。...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.23 Sat 10:08
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い3 如雪とスシボン(1) 銀座ディヤマンテルに行ってから一週間後、如雪の講座の日がまたやってきた。すでに八月もあと五日を残すのみとなっていたが、まだまだ残暑は厳しかった。 今度の講座には、うっとうしいことにスシボンも出席することになった。スシボンのやつ、晴美が出ていると知ると、自分もどうしても行くと言いだしたのである。 活伝協会の入り口で、ぼくたち三人はばったり出くわした。「あら、スシボン先生。こんなところに、どうして?」 晴美は思いがけないとこ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.22 Fri 09:19
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い2 銀座ディアマンテル(12) 他人の空似だろうと思いなおして店内に戻ると、晴美と敦子がさっきの場所に並んで立って待っていた。「げっしーん」 晴美がぼくに向かって手を振っている。バカに愛想がいい。どうしたんだ。「もう、ショッピングは終わったのかい? 収穫はあった?」「敦子さんのおかげで、すっかり眼が肥えてしまったわ」 晴美はちらりと横の敦子に視線を流し微笑んだ。「いい人とお知り合いになれたわね。晴美さん」 敦子も横目で晴美に笑い返した。 なんだ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.21 Thu 08:09
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い2 銀座ディアマンテル(11) つづいて通り過ぎた女は、片側のお尻だけが派手に弾かれたように強く振れ、反対側の尻はほとんど動かなかった。 この手は、ゴルファーに多いのだ。いつも同じ向きに身体を捻るから、そうなりやすいのである。逆に、そういう身体の癖をもっていないとゴルフが上達しないともいえる。こういう女は、負けず嫌いで、頑張り屋のはずだ。 次に通り過ぎた女は、お尻を横に振るのではなく、上下に揺すって歩いていた。右足が前に出ると、右の骨盤が縦にがくんと落ち...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.20 Wed 07:51
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い2 銀座ディアマンテル(10)「この人は見かけによらず頼りになる人よ。そうだ、晴美さん。せっかくここでお会いしたのだから、一緒にお店を見て回りましょうよ」「ええ、是非。宝石のことをいろいろ教えてください」「いいわよ。なにしろ、このお店でダイヤを買えば、地震がきても大丈夫だって如雪先生がおっしゃってるんですからね」 敦子は真顔で言ったが、彼女の言葉を聞いたぼくと晴美は思わず下を向いてしまった。そして、上眼でちらりとお互いの眼を合わせた。 敦子はそんな...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.05.19 Tue 09:01
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