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JUGEMテーマ:連載別の階層で犯罪を犯した者、あるいは、労働特区階層か売春特区階層で、病気なり怪我なりをして働けなくなった者たちが主にベクレムトを構成している。どれだけ環境が悪くても住人が減らないのは、個体数維持や環境維持のためにそうやって週数名がベクレムトに送り込まれるからだ。汚れた空気と汚れた水。そして、それらに汚された土。人体に良いものなどなにひとつとして存在しない。一説ではベクレムト住人の平均寿命は30歳だという。30歳より上の人間が入ってきても、彼らが人であろうとして営む日々の中で子供...
よーくらなぱさまてー | 2009.05.03 Sun 00:10
JUGEMテーマ:連載ぼんごぼんごとエンジン音が絶え間なく響いている。空から降りてきている排気塔から有害な気体が常に噴出して、時々有害な液体まで降ってくるという最悪の場所。それが、この世界の底だ。底でヴァンケントは産まれた。貧しい父と貧しい母の間に産まれた。ヴァンケントには兄が居た。ヴァイネントという名前の兄が。兄はヴァンケントの姿や名前を知らない。ヴァイネントには目が無く、耳が無く、口が無かった。端的に言うと、ヴァンケントは運のある子供だった。それこそ、神の祝福を受けて生まれて来た、とかそんなレ...
よーくらなぱさまてー | 2009.05.02 Sat 21:29
JUGEMテーマ:連載「いや、だからだな」底が浅いから、いいんじゃないかあ、と。笑った男はその手にフォークを持っていた。ぐたぐたに煮詰められたニンジン。甘ったるい匂いがしている。食堂は常にごった返し、空気は濁って。「底の深い人間はこんなところに居たらいけないんだ」「それこそ底辺か」「そんなつもりで言ったんじゃない。良いか、底の深い人間は、ここに向いてないわけだよ」「上か下か?」「そうそう」「じゃあ俺も底が浅いやつだって」「話を最後まで聞かないか」フォーク男の名はクルツンク。向かい合っている男の名は...
よーくらなぱさまてー | 2009.05.02 Sat 10:33
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い1 大気活伝協会・東京支部(11) 「このような現象は、私たちの気が乱れているから起きるのです。私たち一人ひとりが心を入れ替えて、気を正さなければいけません。正しい気さえもっていれば、たとえ地震や噴火が起きようと、私たちは傷つかない。そもそも、そういう危険な場所に近づかなくなるものなのだ。正しい気が邪気をはねつけるからだ」 如雪は力強く気の作用を訴えた。 受講生たちの間に「よかった」という安堵めいたものが広がった。もっとも、それは如雪の言葉です...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.04.30 Thu 08:15
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い1 大気活伝協会・東京支部(10) 如雪の前に立った男たちは次々と吹っ飛ばされていった。如雪は女には手加減しているのか、男ほどは飛ばなかったが、それでも相当な勢いで壁に激突する者がいた。 やがて晴美の番になった。如雪は晴美の全身を舐めまわすような眼つきをしてから、一声気合いをかけた。「エイ!」 晴美はぼくのように宙にこそ飛ばなかったものの、後ろの壁まで弾かれるように背走した。晴美の様子を見て、如雪の唇の端に奇妙な薄笑いが浮かんでいるのに、ぼくは気づ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.04.29 Wed 09:59
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い1 大気活伝協会・東京支部(9)「お名前をうかがわせていただけますか?」 如雪はていねいな調子できいてきた。「月田です」「では、月田さん。私の前に立ってください。そんなに心配そうな顔をされなくても大丈夫ですよ。取って食おうというわけじゃありませんから」 会場がどっと笑った。 ぼくが如雪の前に立つと、如雪は眼を瞑り、自らの気が満ちるときを待った。そして、ころはよしと思ったか、眼を開け、片脚で床をトンと蹴るように踏みしめ、同時に甲高い声を響かせた。「...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.04.28 Tue 08:47
ふたりの兄弟にとって、それはめまぐるしい日々のはじまりでした。しかし、なにやら戸惑いをかくせない人物がここにひとり。ミスター・グリーンの気がすすまず、ぶつくさとためらってばかりいるそのいちばんの理由は、罪の意識によるものでした。たしかに自分のおもちゃが人気者となる日をずうっと夢みてきたけれど、それが空とぶポニーであるとは思いもよらないことだったのです。 あのおもちゃはきわめて個人的な想いからつくった、とくべつな一台でした。コリンのよろこぶ顔を想像しながら、ミスター・グリーンがまごころと愛情...
こどものほん | 2009.04.27 Mon 18:57
JUGEMテーマ:連載第三章 如雪との出会い1 大気活伝協会・東京支部(8) しばらくすると、また如雪が声をあげた。「はい、それでは、今日は初めての方が多いと思いますので、遠当てをやってみましょう。あなた、私の前に立ってください」 指名された女性受講生が、ためらいがちに如雪の前に出てきた。 如雪は気を集中するかのように眼を閉じ、ひと呼吸置いてから、女に向かって「エイ!」と気合いをかけた。 すると、女は夢遊病者のように、よろよろと三メートルくらいゆっくり後ずさりして、最後にぺタリと尻もちをついた...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.04.27 Mon 09:48
JUGEMテーマ:連載 「お父様はいつも、私達を見守って下さっているわ。いつだって、私達のお傍で。」 マリーは、壊れかけている聖堂で、そう言って微笑んだ。
Le Figuier Commun | 2009.04.26 Sun 21:30
JUGEMテーマ:連載第三章 如雪との出会い1 大気活伝協会・東京支部(7) 如雪はそのあと、気の腕についての説明を付け加えた。「気が出れば腕は曲がらんのです。強靱な腕になる。でも気は力ではない。力んではだめなんだな。それが気の特性です」 如雪はここで会場を見渡すようにして言った。「それではお近くのお二人で組んで、同じようにやってみてください。わからないことがあれば、助手がそばをまわっていきますので、遠慮なく聞いてください」 会場ではさっそく二人組が次々とできた。ぼくと晴美も組んでやってみたが、最初...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.04.25 Sat 09:52
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