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JUGEMテーマ:連載第四章 玄丈先生の危機1 異変(2) 晴美が前に出てきた。 晴美が玄丈先生の前でうつ伏せになると、先生は彼女の脊椎を調べはじめた。「この人の脊椎を観察したところ、胸椎の上部は中心軸からほんの少しですが左に転移しています」 玄丈先生はそうおっしゃるが、自分自身でそれを確かめられるかどうか、ぼくにはあまり自信がなかった。それくらい微妙な転移だ。「ところが、胸椎の七番目くらいから下の椎骨は右の方に転移しています。ですから、上胸部から追っていくと、ちょうどS字のように湾曲しているのがわ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.22 Mon 08:02
JUGEMテーマ:連載第四章 玄丈先生の危機1 異変(1) 季節は九月下旬に差し掛かっていた。このところ玄丈先生の顔つきは深刻さを増し、考えこんでいる姿を道場で見かけることが多くなった。 そうしている間にも、如雪の人気はますます高まっていた。テレビやラジオ、新聞や雑誌からの取材が殺到しているという話が伝わってきた。 取材中の如雪の態度は極めて真面目で、誠実な人柄を演出していた。もちろん、彼は気を正さないとたいへんな災害が起きるということを、話の最後に付け加えることを忘れなかった。 百貨店の防災関連グ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.21 Sun 08:46
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(13)「いいかね、進藤さん。君はまだ若いからわからないかもしらんが、世の中はパワーなんだよ。力がなければ誰も相手にしてくれないのだ。だから、権力を得るか、さもなければ権力に近づかなければいけないんだ。そうしなければ、おれたちのような仕事はすぐつぶされてしまう」 如雪は恐ろしい眼で晴美を睨みつけた。だが、如雪の態度は小娘と高を括っていた目算違いを自ら認めているようなものだった。 そのとき、それまでずっと黙っていた笹木誠一がずんぐりし...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.20 Sat 09:33
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(12)「そうだな。当面は財界の有力者と懇意になりたいと思っている。今は言えないが、すでに手は打っている。あとは政界かな。こっちは金さえ出せば、向こうからすり寄ってくるだろう。それには金が必要だがね」 如雪は脂ぎった顔で高笑いをした。「ということは……」 晴美がまたさっきの質問を蒸し返した。「個人の会員さんに対する健康相談は、もうなさらないということですか?」 晴美は執拗であった。「あたりまえだよ、進藤さん。そんなことに私がかかわっている暇...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.19 Fri 08:17
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(11)「たとえば、肩が落ちていればおもしろくないと思っているのだ。もっと正確に言えば、肩は頸椎四番に反映されるから、頸椎四番が左に曲がって、首が右前に倒れていれば、つまらないと思っている証拠だ。君にはまだわからんかもしれんが、肩が落ちているといっても、いろいろあるのだよ。たとえば右肩ががくんと落ちているのは、これは落胆とか失望の方だ。同じ肩が落ちているにしても、意味が微妙に違うのだよ。そういうことをどれだけの役者がわかっているだろうか?...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.18 Thu 09:18
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(10)「如雪先生は、健康問題にはもうあまり関心をもたれていないのですか?」 晴美は冷静な顔で質問を返した。「いや、ないわけではない。しかし、私はもっとメジャーにならないといけないと思っている。私は広告塔になるつもりなんだよ。誰かがそのような役割を担わないと、業界というのは発展しないものなのだ。特に気とか整体といったマイナーな業界ではね」 如雪がメジャー志向であることを薄々感じていたが、具体的にどんな手段を考えているのか知りたくなり...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.17 Wed 09:07
つぎの日の早朝、ミスター・グリーンは朝一の列車にのりこむと、そのまま故郷をあとにしました。おもちゃ工場をいつまでも留守にしておくわけにはいかないからです。窓にぺったりほほをつけ、流れさる町の景色をながめながら、ミスター・グリーンはひとり物思いにふけっていました。ここへくるまえはあんなにもおびえていたというのに、いまは胸の奥にじんわり、ほろにがい気もちがこみあげてくるのでした。 ヤスミンさんからもらったガーベラは、ところどころ花びらもなくなり、すっかりおわりをむかえている様子でしたが、ミスタ...
こどものほん | 2009.06.17 Wed 05:10
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(9)「君たちは玄丈道場の人だろう?」 如雪は、笑いをかみ殺すようにして言った。 如雪はぼくたちの動揺を見透かしたような顔でつづけた。「見ればわかるさ。君たちの動きには共通するものがある。明らかに玄丈君の動きと共通するものだ。もちろん、動きの質は玄丈君とは比べ物にならんがね。おっと、これは君たちを侮辱しているわけではない。なんと言っても、年季が違うからな」 如雪はにやりと笑ってから、きいた。「玄丈君は相変わらず頑張っているかね?」...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.16 Tue 09:05
JUGEMテーマ:連載 第三章 如雪との出会い5 如雪との食事(8)「今日君たちに来てもらったのは、実はお願いがあるからなんだ」 如雪は急に身を乗り出してきた。「君たち三人に、是非うちに来てほしいんだよ」 予期しない言葉だったので、ぼくたちは驚いて顔をあげた。「来てほしいという意味は、職員になるということですか?」 ぼくは半信半疑できいた。「そうだ。給料は今の倍は出すつもりだ。もちろん、ただ職員になるというのではない。幹部候補生として来てもらいたいということだ」 三人ともたまげてしばらく声が出なか...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.06.15 Mon 09:28
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