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JUGEMテーマ:自作小説 いやはや。大変長らく放置してしまいました。 しかも全言撤回で大変申し訳ありません。突然ですが、ここの連載執筆を止めておこうと思います。 あれからいろいろと心境・環境とも変化がありました。 昨年以降、外出自粛、リモートなど日常の変化で、1話づつの執筆作業というものに、なかなか時間を割けなくなってきました。 さらに悶々とする中で徐々に「実験的にいろんな形態で、短めの話を書いてみたい」という気持ちへシフトしていくようになり、この連載形式を始めよう...
CheChe's Atelier | 2020.06.21 Sun 01:08
JUGEMテーマ:自作小説 それは、多重螺旋の柱だった。上を見ても下を見ても、その両方向にどこまでも伸びている柱だった。ということは、私は宙に浮かんでいるのだろうか。それとも私は風景に溶け込んでいるのだろうか。形を失い色を失い、ただ世界に拡散しているのだろうか。戸惑いはない。そんな暇はない。目の前の光景に、気持ちの全てと思考の全てを奪われていたから。その多重螺旋の柱に。私の生命の、生命体としての私の基底部にある原子のコードが、その柱にどうしようもなく魅了されていたのだ。 三重...
pale asymmetry | 2020.06.14 Sun 22:16
JUGEMテーマ:自作小説 そこでは常に強い風が吹いている。標高が高く空気が薄いはずなのに、その風は孤高の獣のような猛りで流れている。にもかかわらず、どこか清楚な気品を感じたりもする。それはその猛りが完璧にコントロールされたものだからだろうか。その風はテントの天辺に飾られたペナントだけをなびかせて、テント自体はそよりとも揺らさないのだ。空中庭園に並ぶテント。そのいくつものペナントだけが風を記号化して踊っている。その舞踏は野性的な欲望を電波に変換して発信しているのかもしれない。ある...
pale asymmetry | 2020.05.17 Sun 22:11
JUGEMテーマ:自作小説 大陸を横断し海峡を越えた王都では、時折犬たちや猫たちが激しく降り注ぐのだという。犬の群と猫の群が入り交じって大量に落ちてきたら、世界の終わりを感じたりするだろうか。私はきっと感じないだろう。むしろ世界は愉快な方向へと混乱していると感じるだろう。そしてさらに混乱が進めば良いと望むだろう。そこに自身が深く巻き込まれることを願ってしまうに違いない。どんな犬と猫かによって、願いの強さは若干違うだろうけど。やっぱり子犬と子猫が良いな。一方海峡を越え大陸を横断して...
pale asymmetry | 2020.05.11 Mon 22:20
JUGEMテーマ:自作小説 これは王冠だな、と思った。何の根拠もなくそう思った。いやそうじゃない、私にはそう見えたのだ。いや見えたわけじゃない。私に全体像が見えていたわけではないから。けれど、私は確かに感じたのだ。この場の多くのピースが、王冠を構築しているのではないかと。このアダムスキー型の屋根を持つ、その内部に厨房を持つこのパーラーを中心として、飛び交う黄金のアバクスをジュエルのような装飾として。それは電子の雲のような装飾で。そしてさらにその外側に群がる人形たちをも装飾として、...
pale asymmetry | 2020.05.04 Mon 22:32
JUGEMテーマ:自作小説 ケルベロスとウロボロスは全然違う。両者がショーケースに並べられていたとして、その光景に平衡感覚を失うほどの違和感を感じるかといえば、それほどでもないけれど。旋律の波打が同じ感じだから。それに記号の極表層の揺らぎも。それでも違うものは違う。ケルベロスは拡散で、ウロボロスは円だ。ケルベロスは三で基底で、ウロボロスはゼロで無限だ。ケルベロスは死に隣接し、ウロボロスは生と死をぴったりと重ね合わせている。ケルベロスはいつ観測しても死だけど、ウロボロスは観測者によ...
pale asymmetry | 2020.04.29 Wed 22:55
JUGEMテーマ:自作小説 ハンプティ・ダンプティはエンプティだ。その内部には虚無があるだけだ。ハンプティ・ダンプティの自我はその殻にあるのであって、殻の内側にあるわけではないからだ。殻そのものと、殻の表層に描かれた紋様が、ハンプティ・ダンプティのキャラクターを構築しているのだ。殻が粉々に砕かれれば、ハンプティ・ダンプティのキャラクターが失われてしまうだけではなく、殻に閉じ込められていた虚無が解放され、世界も失われてしまうだろう。とそんなことを、私は考えていた。敬礼するハンプティ...
pale asymmetry | 2020.04.24 Fri 22:04
JUGEMテーマ:自作小説 勾玉だ、と思った。タツノオトシゴかもしれない、とも思った。胎児かな、と考えたりもした。もし胎児だとしたら、それは恐竜の胎児かもしれない。そんな気もした。いやそれならば恐竜ではなく恐竜によく似た生命体と言うべきだろう。胎児なのだから。そしてそれは選ばれた胎児だ。頭に冠を戴いていたから。まばゆく煌めく王冠、まばゆすぎて色彩を感じ取れない光冠だった。その光冠は銀河を結晶化したもののようだった。一体何者に、何者たちに選ばれたのだろう。それともその胎児自体が選ん...
pale asymmetry | 2020.04.21 Tue 22:04
JUGEMテーマ:自作小説 ある記憶の物語 「君待ち橋の約束」 僕の住む町には、「君待ち橋」という名前の橋がある。 名前の由来は知らない。一見なんてことない、簡素な橋だ。 橋の下を流れる川の水も適度に汚い。 時々、鴨やら白鳥やらが、泳いでいるのを見かけるが、 僕は、その度に申し訳ない気分になる。 勝手に人間の都合で川を汚し、豊かであるはずの自然を破壊し、 ほかの生き物たちに迷惑をかけているにもかかわらず、 彼らは、そのことを恨みもせず、不思...
君待橋の約束 | 2020.04.20 Mon 13:50
JUGEMテーマ:自作小説 生命体の死は熱力学第二法則により不可避だ。エナジーの立ち居振る舞いと、その品格に関する法則によって。しかしこの法則は、どの辺りのエリアまで、どの辺りのスケールまでを守備範囲としているのだろうか。例えばこの惑星。もちろんそれはカバーしているだろう。例えば私の世界全体。それもカバーしているだろう。私が知っている宇宙はどうだろう。私が知る範囲ではカバーしていると思う。では私ではない誰かの世界。あるいはその誰かが知る宇宙ならどうだろう。こうなるともう怪しくなっ...
pale asymmetry | 2020.04.19 Sun 22:20
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