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Meditated flow(er) #05

JUGEMテーマ:自作小説    私は開いている。そうすることで、私は開かれていく。私は雨に降られている。小糠雨が私を潤す。私の内宇宙が沈没していく。振り子のような曲線を描きながら、危ういバランスを保ちながら、時々少し崩しながら、旅するように沈没していく。とても短くとても濃厚な旅。誰かと出会わなければいけないような気がするけれど、何だか捩じれてしまってよく解らない。私の気持ちが捩じれてしまって。その捩じれが孤独な螺旋になって、私の全ての細胞を直列に繋いでいく。その螺旋は上昇も下降もせず...

pale asymmetry | 2019.10.17 Thu 21:53

Meditated flow(er) #04

JUGEMテーマ:自作小説    結晶体は私を誘っているのだ。何処に? 何に? その答えは、存在しない。それは私が構築しなければいけないのだから。あるいは、私が再構築しなければいけないのだから。つまり私が誘っているのだ。結晶体は私を誘っていて、私は結晶体ではない。それでも誘っているのは私に他ならない。私はこの不可能方程式を解かなければならない。あの正四面体は蜥蜴で、あの立方体は蝶で、あの正八面体は蜘蛛だ。あの正十二面体は何だろう。よく解らない。そっぽを向かれているのかしら。甘い香りがす...

pale asymmetry | 2019.10.14 Mon 21:39

Meditated flow(er) #03

JUGEMテーマ:自作小説    その井戸は、山の上の宮にある。その宮は天上の世界で、里の世界とは違う世界だ。それは宇宙に近く、そして夜に近い世界だ。朝や昼からは程遠い世界だ。だからこそ、その井戸には瞑水が蓄えられ、その底に瞑花が沈んでいるのだ。つまりその井戸は、印だ。宮が最上の知性と結ばれているという印だ。だから井戸を枯れさせてはいけないし、瞑水を失ってはいけない。井戸の水を瞑水として蹲らせておくためには、瞑花を継がなければいけない。誰かが『コ』となって、それを継がなければいけない。...

pale asymmetry | 2019.10.13 Sun 22:26

Meditated flow(er) #02

JUGEMテーマ:自作小説    視界の端っこで、欠片が跳ねる。多分二十四の欠片と、それが分身した七十二の欠片が跳ねる。算盤珠のような形をした橙色の欠片たち。視界の端とはいえ、鬱陶しくて仕方がない。特に今日は朝から、その橙色が騒々しく煌めいていたのでさらに鬱陶しかった。何の加減だろう。姉が住む街に獰猛な台風が近づいているから、姉の気持ちが怖気づいているのだろうか。何の理由もなくそう思ってしまった。そう思ってしまってから、これはきっと姉に何かがあったのだと思った。私の視界の端っこに欠片が...

pale asymmetry | 2019.10.12 Sat 22:05

Meditated flow(er) #01

JUGEMテーマ:自作小説    それが瞑水のせいであるということは、私にはすぐに解った。凶暴な台風が近づいていたから、不穏な因子を街のあちらこちらに感じてはいたけれど、それとは明らかに性質が違っていたから。ポストが、回転していたのだ。一人暮らしのアパートの、玄関わきの小さな郵便ポストが、それは長方形のプラスチック製品であったのに、液体のように渦巻いていたのだ。もちろん本当の液体ではない。本当の液体なら流れ落ちるはずだ。けれどそれは扉の脇の私の胸くらいの高さで、しっかりと固定されたまま...

pale asymmetry | 2019.10.11 Fri 21:43

楽しかったよ!!!

JUGEMテーマ:自作小説   お試しで付き合ってくれませんか、好きになってくれるまでなんて言いませんから。   今の彼女と付き合い始めたきっかけは彼女からのそんな言葉からだった、というと、大抵の友人が引いた。   「ないわー。そんなことまで言わせる男って、ないわー」 「つか、何様だよってぇの」   唯一、長い付き合いの幼馴染みだけが意味ありげに笑うだけだった。追求はしてない。考えていることを素直に吐き出す野郎ではないし、タチの悪そうなコメントにげっそりするの...

My 365 Story | 2019.10.07 Mon 13:26

女子会がやりたくて(同窓会編)第十三話

目の前に水平線が続いているのが見えると足元には砂浜に差しかかっていました。運動靴の京香先生はそのまま波打ちぎわへと向かったのですが、私とエリカは厚底サンダルとハイヒールを脱いで手に持って、京香先生の後を追いかけました。   続きはpixivにて 女子会がやりたくて(同窓会編)第十三話   *不定期連載です。   JUGEMテーマ:自作小説  

あやかる | 2019.10.07 Mon 13:24

女子会がやりたくて(同窓会編)第十二話

リビングのブラインドを一気に上に上げると太陽の光が差し込んで来ました。昨日の雨とは打って変わって気持ちのいい青空が広がっていたのです。少しだけ遠くに目をやると海がキラキラと輝いて見えていました。   続きはpixivにて 女子会がやりたくて(同窓会編)第十二話   *不定期連載です。   JUGEMテーマ:自作小説

あやかる | 2019.10.01 Tue 13:00

鶺鴒船と時間熱 #11

JUGEMテーマ:自作小説    僕はもうキメラの獣ではなかった。痩せこけた知性体から受け取ったインフォメーションが、僕をその知性体に、球体関節の知性体に変えていた。僕はもう、僕らではなかった。球体関節の知性体を継承してしまった以上、僕とデッキはもう遊戯することは出来ない。基底現実では、角と翼を失った繭が、ステージの上に浮かんでいる。その周囲を、デッキから飛び出したアンテナの群が取り巻いている。いやそれは、直前まで僕と一緒に繭内部の群青空間にいたのだ。僕と融合した状態で、キメラの獣とし...

pale asymmetry | 2019.09.27 Fri 21:19

鶺鴒船と時間熱 #10

JUGEMテーマ:自作小説    痩せこけた幼女だった。それとも痩せこけた老女か。手足は異常に細く長く、特に腕は足首に届くくらいに長かった。身体はとても軽そうにも、とても重そうにも見えた。全身が棚引くように波打っていて、だから軽そうに見えた。けれどその動作によって生まれる波紋が、空間を揺るがすそれがはっきりと見て取れて、それは強いエナジーを纏っていて、だから重そうにも見えた。おそらくどちらでもあるのだろう。それは重要なことだろうか。キメラの獣にとってはさして重要なことではないだろう。僕...

pale asymmetry | 2019.09.26 Thu 22:09

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