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JUGEMテーマ:自作小説 僕の鮮血が、無数の妖精になって宙を舞っていた。鰭のような羽をうねらせ震わせながら、愉しそうに踊っている。それは生命の螺旋を解く舞踏だ。あの日、すっかり解けていると言われた僕にお似合いの舞踏だ。可能性なんて、本当にあるのだろうか。それに触れることなんて、出来るのだろうか。一瞬で切り裂かれた身体中の傷から、妖精は次々と生み出され、はしゃぎ、笑い遊戯する。妖精たちは思い思いに好き勝手に踊っていたのに、それらは奇妙に美しい系に纏まっていて、その系が僕の生命の系...
pale asymmetry | 2019.12.20 Fri 22:05
JUGEMテーマ:自作小説 はじめて経験する場面なのに、なぜか昔に経験したことがある気がする。 そんなデジャヴが、わたしの人生における奇異を発見するきっかけだった。 目の前に広がる光景は、常識人ならば眉をひそめるしかないだろう光景だ。なにしろ、第二王子殿下が、男爵令嬢を傍に置き、婚約者である公爵令嬢を糾弾しているのだから。 ずらずらと公爵令嬢の罪状を殿下は口にしているけれど、アホか、と、わたしは思った。 王子は確かに王子ではあるけれど、一公爵令嬢の罪状を糾...
My 365 Story | 2019.12.20 Fri 16:29
JUGEMテーマ:自作小説 箱は、少しずつ花に置き換わっていった。その人が箱に向かって指先を波打たせるたびに。そのたびにその指先から仄かに光るシアンの波紋が放たれ、それがすぐに粒子に変化して、箱の外殻に打ち込まれる。するとその場所が翻り、箱の外殻は花へと転成する。粒子が影響を及ぶす範囲は極小さかったけれど、波紋は次々と放たれ、粒子は次々と打ち込まれたから、箱の外殻は残らず花へと置き換わっていった。箱の蓋は開かれることがなかったので、その内部がどうなっているのかは解らない。外殻同様...
pale asymmetry | 2019.12.14 Sat 22:22
JUGEMテーマ:自作小説 彼らは宙を舞う。宙を舞い、踊る。超潤合金の衣装を身に纏って。その舞は回転だ。描かれる円の内部には正多面体が取り込まれている。舞は五つの回転を一つの基底サイクルとしていて、その五つの円の内部には五つの正多面体が取り込まれている。正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正十六面体の五つ。それを重ね合わせるために、彼らは回転する。宇宙が描かれているのだ。回転舞踏によって、彼らは宇宙を創造しているのだ。彼らは十八人いたから、今この場所に十八の宇宙が誕生し、そ...
pale asymmetry | 2019.12.05 Thu 21:46
JUGEMテーマ:自作小説 綺麗な泥だと思った。それはきっと、その泥の中に生命に必要な全ての要素が潜んでいるからなのだろうと思えた。生命という事象を形作るために、十七と一つの量子が結び目を描くように舞踏しているイメージが浮かんで巡った。奔放な量子の洗練された舞踏。けれど生み出されるのは泥なのだ。綺麗であっても泥は泥だ。いやそうではなくて、泥であっても綺麗なのだと捉えるべきか。どちらの捉え方でも、綺麗と泥のリレーションシップは変わらないのだろう。二者は宿主と宿り子の関係をその時々で...
pale asymmetry | 2019.12.01 Sun 21:49
JUGEMテーマ:自作小説 金から銀へと色を変えた弓が地平線の向こうに没してから間もなく、その巨体は役割を引き継ぐように地平線の向こうから姿を現した。何を引き継いだのだろう。金でも銀でもない、赤銅色のその巨体は。尖った月の冷徹さだろうか。それとも闇の部分に秘された猥雑さだろうか。あるいは、果てのない知恵の棚引きかもしれない。宇宙の果てまで広げられたその巻物には、グロテスクなほどの叡智が記述されているはずだけど、それを読める者はいない。都市で暮らす人々は、誰も宇宙に目を向けなかった...
pale asymmetry | 2019.11.30 Sat 22:24
JUGEMテーマ:自作小説 (ふざけるな、クソじじいーーー!!) 心の中の絶叫は、口の中に封じ込めてやった。 さすが自分。ナイスな状況判断だと思う。 なぜ封じたのかと言えば、そりゃ独りぽっちなのに、街のど真ん中で絶叫するのはさすがに注目を集めると考えたから。 さすが自分、ナイスな状況判断だ。大事なことだから二回目。 日本の首都、東京。 世界的にも名の知られたメトロポリスは、とかく人が多い。 村の長老から聞いた昔話。それこそ江戸と...
My 365 Story | 2019.11.27 Wed 19:12
JUGEMテーマ:自作小説 まっすぐに伸びる路地は、墨色の石畳だった。そしてその路は、遥かな前方で緩やかにカーブを描いて昇っていた。路は空を通り越して、宇宙へと伸びている。どこまでもどこまでも伸びて、始まりの地点に接続されているのかもしれない。それともそこは、終わりの地点か。きっとここは底なのだろうな。そう思って振り返ってみると、案の定背後の路も遥かな先で上昇している。その路もきっと、前方の路と同じ地点に接続されているのだろう。閉じている、というよりは裏返っている感じだろうか、こ...
pale asymmetry | 2019.11.24 Sun 21:55
JUGEMテーマ:自作小説 たぶん今も、目には見えない誰かが、あるいはその存在が都合良く曖昧で、光を光のまま纏ってしまう何者かが掃除をしているのではないだろうか。その建物の内部は、それくらい清浄な空間に思えた。清浄すぎて、息をするのが少し怖くなる。僕の呼吸が、この空間を汚してしまうのではないかと思えて。そう思えてしまうということは、僕はこの空間を汚すことを禁忌だと感じているのだろう。それはやっぱり箱に対する想いだろうか。僕は箱に対して、深いイノセンスを願っているのかもしれない。あ...
pale asymmetry | 2019.11.23 Sat 22:28
JUGEMテーマ:自作小説 嘘つき。 力なく溢れた言葉は、涙を伴っていた。騒ぎ立てる感情は、さまざまな言葉を形にしたがる。でも形になった言葉はたったこれだけだ。嘘つき。嘘つき。嘘つき。子供の癇癪のように、壊れた機械のように同じ言葉を繰り返していたら、滑稽さが目についた。その滑稽な有様は、そのまま自分自身だ。頼りにならない人の言葉をまんまと信じて、心を傷つけている自分の惰弱さが滑稽で仕方ない。 ーーーーどうして信じた? ーーーーどうして信じられた。 ...
My 365 Story | 2019.11.22 Fri 02:56
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