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JUGEMテーマ:自作小説 綺麗な泥だと思った。それはきっと、その泥の中に生命に必要な全ての要素が潜んでいるからなのだろうと思えた。生命という事象を形作るために、十七と一つの量子が結び目を描くように舞踏しているイメージが浮かんで巡った。奔放な量子の洗練された舞踏。けれど生み出されるのは泥なのだ。綺麗であっても泥は泥だ。いやそうではなくて、泥であっても綺麗なのだと捉えるべきか。どちらの捉え方でも、綺麗と泥のリレーションシップは変わらないのだろう。二者は宿主と宿り子の関係をその時々で...
pale asymmetry | 2019.12.01 Sun 21:49
JUGEMテーマ:自作小説 金から銀へと色を変えた弓が地平線の向こうに没してから間もなく、その巨体は役割を引き継ぐように地平線の向こうから姿を現した。何を引き継いだのだろう。金でも銀でもない、赤銅色のその巨体は。尖った月の冷徹さだろうか。それとも闇の部分に秘された猥雑さだろうか。あるいは、果てのない知恵の棚引きかもしれない。宇宙の果てまで広げられたその巻物には、グロテスクなほどの叡智が記述されているはずだけど、それを読める者はいない。都市で暮らす人々は、誰も宇宙に目を向けなかった...
pale asymmetry | 2019.11.30 Sat 22:24
JUGEMテーマ:自作小説 (ふざけるな、クソじじいーーー!!) 心の中の絶叫は、口の中に封じ込めてやった。 さすが自分。ナイスな状況判断だと思う。 なぜ封じたのかと言えば、そりゃ独りぽっちなのに、街のど真ん中で絶叫するのはさすがに注目を集めると考えたから。 さすが自分、ナイスな状況判断だ。大事なことだから二回目。 日本の首都、東京。 世界的にも名の知られたメトロポリスは、とかく人が多い。 村の長老から聞いた昔話。それこそ江戸と...
My 365 Story | 2019.11.27 Wed 19:12
JUGEMテーマ:自作小説 まっすぐに伸びる路地は、墨色の石畳だった。そしてその路は、遥かな前方で緩やかにカーブを描いて昇っていた。路は空を通り越して、宇宙へと伸びている。どこまでもどこまでも伸びて、始まりの地点に接続されているのかもしれない。それともそこは、終わりの地点か。きっとここは底なのだろうな。そう思って振り返ってみると、案の定背後の路も遥かな先で上昇している。その路もきっと、前方の路と同じ地点に接続されているのだろう。閉じている、というよりは裏返っている感じだろうか、こ...
pale asymmetry | 2019.11.24 Sun 21:55
JUGEMテーマ:自作小説 たぶん今も、目には見えない誰かが、あるいはその存在が都合良く曖昧で、光を光のまま纏ってしまう何者かが掃除をしているのではないだろうか。その建物の内部は、それくらい清浄な空間に思えた。清浄すぎて、息をするのが少し怖くなる。僕の呼吸が、この空間を汚してしまうのではないかと思えて。そう思えてしまうということは、僕はこの空間を汚すことを禁忌だと感じているのだろう。それはやっぱり箱に対する想いだろうか。僕は箱に対して、深いイノセンスを願っているのかもしれない。あ...
pale asymmetry | 2019.11.23 Sat 22:28
JUGEMテーマ:自作小説 嘘つき。 力なく溢れた言葉は、涙を伴っていた。騒ぎ立てる感情は、さまざまな言葉を形にしたがる。でも形になった言葉はたったこれだけだ。嘘つき。嘘つき。嘘つき。子供の癇癪のように、壊れた機械のように同じ言葉を繰り返していたら、滑稽さが目についた。その滑稽な有様は、そのまま自分自身だ。頼りにならない人の言葉をまんまと信じて、心を傷つけている自分の惰弱さが滑稽で仕方ない。 ーーーーどうして信じた? ーーーーどうして信じられた。 ...
My 365 Story | 2019.11.22 Fri 02:56
JUGEMテーマ:自作小説 それは咆哮のようでもあったし、演奏のようでもあった。もし咆哮だとすれば、風を切り裂くスピードで疾走できる獣の咆哮だろう。だたしその獣はスピードだけが頼りで、それがなければあっさりと天敵にやられてしまうような、そんな非力な獣だろう。その四脚の駆動だけを命のよりどころにして、眠ることも食うこともせずにただ走り続けたいと思っているのだろう。実際には、眠らないわけにも食わないわけにもいかないのだけれど。ただ休むことなく走り続けることが出来れば、その疾走は天敵か...
pale asymmetry | 2019.11.21 Thu 22:43
JUGEMテーマ:自作小説 短くなる手許の煙草を目を細めて見て、フィルタギリギリまで煙を吸い込む。 煙草一本で目の前の景色を白けさせるのも安くない世の中だ。 少しばかり現状の説明の続きをしよう。 まず、このメタ表現になっている世界表現については、俺の趣味だ。 何故そんなことがなせているのかというと、それは「現代だから」ということにほかならない。 そう、これは日記だ。この文章がどのように世間に流布されているかはわからないが、 これを読んでいるあなたは、おそらくこれが刊行されているものでない限り...
日常的駄文-上向いてれば人生は上々だ【孤髑髏漫】 | 2019.11.18 Mon 23:29
JUGEMテーマ:自作小説 それは箱だった。それは確かに箱にすぎなかった。最初は掌に載せられるくらいの大きさの箱だったのだ。強固に閉じられてはいたけれど、転がせば素直に転がるような、旅に出ればすぐに迷子になってしまうような箱だったのだ。けれど誰かが言いだしたのだろう。このままでは危険なのではないかと。時が来るまで、もっと厳重に閉じ込め、その機能を無効化しなければいけないのではないかと。そして箱は別の箱に閉じ込められた。しかしまた誰かが意見したのだろう。まだ足りないのではないか、も...
pale asymmetry | 2019.11.18 Mon 22:02
JUGEMテーマ:自作小説 響き渡るオルガンの音は、鋼鉄製のクラゲを連想させる。いつ聴いても、何度聴いてもそれを連想させる。透き通るボディの内部には精巧な時計のような細かなパーツがぎっしりと詰まっていて、硬く鋭く揺るぎなく、まるで共食いしているように噛み合い連動しているのに、その身体全体は安穏と怠惰に小躍りしている。そんなクラゲだ。鋼鉄製だから頑丈なはずなのに、今にも砕けてしまいそうな危うさで踊る。優しい人たちは助けてやろうと手を差し伸べるけれど、鋼鉄製だから逆に砕かれて潰されて...
pale asymmetry | 2019.11.16 Sat 22:08
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