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JUGEMテーマ:自作小説 ケセランパサラン。 真っ白な綿毛のようにフワフワした生き物で、こいつを手に入れると願いが叶うという。 たくさん集めるほど大きな願いが叶うと言われていて、俺も子供の頃は夢中に探したことがある。 化粧で使うおしろいが大好物だそうで、桐の箱が飼育に適しているという。 ただし注意が必要である。 箱には穴が必要で、これがないと呼吸ができずに死んでしまうというのだ。 もし上手く飼育できればどんどん増殖する。 つまり大切に飼えば大金持ちになることも理想の相手と結ばれることも、名...
SANNI YAKAOO | 2020.08.19 Wed 16:28
JUGEMテーマ:自作小説 鬱蒼とした山の中、小さな祠の周りに白い綿毛が舞う。 それは儚く雪のようで、何かに触れるのと同時に消えてしまう。 俺は手を広げ、どうにか受け止めようと試みるが無理だった。 祠の中にはこれでもかと綿毛が詰まっているが、外へ出た途端に儚く消えてしまうのであれば、持って帰ることは不可能。 つまり願いを叶えるには山の祠までやって来る必要があるということだ。 「姫月さんは嘘を吐いていたな。」 真っ白な綿毛の奇妙な生き物、ケセランパサラン。 俺が子供の頃にも流行ったものだ。 妖...
SANNI YAKAOO | 2020.08.13 Thu 13:29
JUGEMテーマ:自作小説 過去は誰にだってあるもので、子供時代をすっ飛ばして大人になる人はいない。 だがその過去が明るいものか暗いものか? こればっかりは千差万別である。 ある人はお金に困り、ある人は小遣いの概念を超えた金額をもらっている。 またある人は歩くたびに軋む家に住み、ある人は別荘を幾つも持っている。 しかし最も幸不幸が別れるポイントは人間関係だろう。 恵まれた人に囲まれる環境もあれば、その逆もある。 そしてもっとも悩む人間関係の一つに『孤独』がある。 あれはいつだったか何かの記事...
SANNI YAKAOO | 2020.08.09 Sun 12:21
JUGEMテーマ:自作小説 陽の当たらない山の中というのは昼間でも不気味だ。 周りを高い木々に囲まれ、セミの合唱のせいで方向感覚さえ狂い、風に揺れる葉音が不穏を掻き立てる。 なによりここまで登るのに疲れる。 寂れた神社の奥、獣道の山道を歩くこと一時間。 俺の足はとっくに悲鳴を上げているのに、どう願っても目的地の方からはこっちへ近づいてはくれない。 ゼエゼエ、ハアハアと息を切らし、パンク寸前の肺と格闘するしかなかった。 「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。」 膝をついて肩を揺らす。 由香里君が「...
SANNI YAKAOO | 2020.08.04 Tue 12:44
JUGEMテーマ:自作小説 「高木様ならもうチェックアウトされましたが。」 お姉さんが泊まっている旅館、訪ねてみるとフロントでそう言われた。 「いつですか!」 由香里君が身を乗り出す。 女将さんは「ええっと・・・」と上目遣いに記憶を探った。 「たしか昨日の夜だったと思います。」 「何時頃ですか?」 「かなり遅い時間でしたねえ。たしか12時を回ったくらいに。」 「そんな夜中に・・・。」 「本当は明日の朝までのご予約だったんですけど、お連れの方が迎えに来られたようで。」 「連れ?」 由香里君が俺...
SANNI YAKAOO | 2020.07.30 Thu 12:32
JUGEMテーマ:自作小説 物事を隠し通すのは難しい。 「浮気したでしょ?」と問い詰められ、最後までシラを切り通せる男がどれだけいるだろう。 理屈を並べるだけならどうにかなるかもしれないが、吹き出す冷や汗と泳ぐ視線だけはどうしようもない。 今、俺は取り調べを受けている。 旅館の部屋、向かいに座る女から尋問をされている。 ただし浮気の尋問ではない。 ないのだが、もしこれが浮気だったとしても、やはり俺はシラを通しきる事は出来ないだろう。 「久能さん。」 由香里君が静かな声で呼ぶ。 「答えるまで何...
SANNI YAKAOO | 2020.07.26 Sun 11:36
JUGEMテーマ:自作小説 朝風呂ってのは気持ちいいもんだ。 野天の湯船に肩まで浸かり、そよ風に揺れる緑を眺める。 これで酒と美女でもいれば言うことなしだが、あいにく酒の持ち込みは禁止だし、この旅館に混浴はない。 まあいい。こうやってゆっくり湯を楽しむのも悪くない。 時刻はまだ午前5時。 夏の夜明けは早いが、さすがにこの時間に風呂に入っているのは俺だけのようである。 なんにも気にせずに手足を伸ばし、「ああ〜・・・」とオッサン丸出しの声を出してしまった。 昨日、お姉さんから聞いた話はグルグルと...
SANNI YAKAOO | 2020.07.23 Thu 14:19
『BLAZE』、『BLAZE 2』に続く新作を発表する予定だったが、JUGEM側から“記事の内容に投稿禁止ワードが含まれているため投稿できません。”という表示がなされ、投稿できなかった。表現の自由を著しく侵害する対応が残念でならない。JUGEMは俺の描く作品の理解者であってほしいのだ。今回の新作を楽しみにしていた者たちも多いと聞く。運営側は迅速にこの問題を解消するべきである。
スサノオ御殿 | 2020.07.21 Tue 20:48
JUGEMテーマ:自作小説 目の前の湯呑をじっと見るめる。 もう少しで茶柱が立ちそうなのだが、微妙に斜めになったまま沈んでいく。 ズズっと一口すすり、部屋の中を見渡した。 「最近は国民宿舎ってのも立派なもんですね。」 旅館とそう変わらないレベルの部屋に感心してしまう。 窓の外ではまだ花火が上がっていて、遠くから低い音が鳴り響いている。 テーブルの向かいに座るお姉さんは「料金も安いしお得よ」と、茶柱の立ったお茶を飲んでいる。 「俺が学生の頃はいかにも安宿ってイメージだったんですけどね。」 「そ...
SANNI YAKAOO | 2020.07.20 Mon 13:04
JUGEMテーマ:自作小説 夏といえば花火だろう。 夜空を彩る大輪は人々の胸を弾ませてくれる。 鮮やかな花たちが次々に咲き乱れ、特大の柳が三連続で上がった時は歓声が沸いた。 由香里君も「すご〜い!」と手を叩く。 「綺麗ですねえ!」 「ああ、なかなか大したもんだ。」 また夜空に花が咲く。 ずっと沈んでいた由香里君の表情が明るくなるのは嬉しいことだ。 《ちょうど今日が花火大会で助かった。》 お風呂で正拳突きを食らった後、怒る由香里君をどうやってこの街に引き止めようか悩んだ。 『今すぐ帰ります!残...
SANNI YAKAOO | 2020.07.16 Thu 12:23
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