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Meditated flow(er) #02

JUGEMテーマ:自作小説    視界の端っこで、欠片が跳ねる。多分二十四の欠片と、それが分身した七十二の欠片が跳ねる。算盤珠のような形をした橙色の欠片たち。視界の端とはいえ、鬱陶しくて仕方がない。特に今日は朝から、その橙色が騒々しく煌めいていたのでさらに鬱陶しかった。何の加減だろう。姉が住む街に獰猛な台風が近づいているから、姉の気持ちが怖気づいているのだろうか。何の理由もなくそう思ってしまった。そう思ってしまってから、これはきっと姉に何かがあったのだと思った。私の視界の端っこに欠片が...

pale asymmetry | 2019.10.12 Sat 22:05

Meditated flow(er) #01

JUGEMテーマ:自作小説    それが瞑水のせいであるということは、私にはすぐに解った。凶暴な台風が近づいていたから、不穏な因子を街のあちらこちらに感じてはいたけれど、それとは明らかに性質が違っていたから。ポストが、回転していたのだ。一人暮らしのアパートの、玄関わきの小さな郵便ポストが、それは長方形のプラスチック製品であったのに、液体のように渦巻いていたのだ。もちろん本当の液体ではない。本当の液体なら流れ落ちるはずだ。けれどそれは扉の脇の私の胸くらいの高さで、しっかりと固定されたまま...

pale asymmetry | 2019.10.11 Fri 21:43

楽しかったよ!!!

JUGEMテーマ:自作小説   お試しで付き合ってくれませんか、好きになってくれるまでなんて言いませんから。   今の彼女と付き合い始めたきっかけは彼女からのそんな言葉からだった、というと、大抵の友人が引いた。   「ないわー。そんなことまで言わせる男って、ないわー」 「つか、何様だよってぇの」   唯一、長い付き合いの幼馴染みだけが意味ありげに笑うだけだった。追求はしてない。考えていることを素直に吐き出す野郎ではないし、タチの悪そうなコメントにげっそりするの...

My 365 Story | 2019.10.07 Mon 13:26

女子会がやりたくて(同窓会編)第十三話

目の前に水平線が続いているのが見えると足元には砂浜に差しかかっていました。運動靴の京香先生はそのまま波打ちぎわへと向かったのですが、私とエリカは厚底サンダルとハイヒールを脱いで手に持って、京香先生の後を追いかけました。   続きはpixivにて 女子会がやりたくて(同窓会編)第十三話   *不定期連載です。   JUGEMテーマ:自作小説  

あやかる | 2019.10.07 Mon 13:24

女子会がやりたくて(同窓会編)第十二話

リビングのブラインドを一気に上に上げると太陽の光が差し込んで来ました。昨日の雨とは打って変わって気持ちのいい青空が広がっていたのです。少しだけ遠くに目をやると海がキラキラと輝いて見えていました。   続きはpixivにて 女子会がやりたくて(同窓会編)第十二話   *不定期連載です。   JUGEMテーマ:自作小説

あやかる | 2019.10.01 Tue 13:00

鶺鴒船と時間熱 #11

JUGEMテーマ:自作小説    僕はもうキメラの獣ではなかった。痩せこけた知性体から受け取ったインフォメーションが、僕をその知性体に、球体関節の知性体に変えていた。僕はもう、僕らではなかった。球体関節の知性体を継承してしまった以上、僕とデッキはもう遊戯することは出来ない。基底現実では、角と翼を失った繭が、ステージの上に浮かんでいる。その周囲を、デッキから飛び出したアンテナの群が取り巻いている。いやそれは、直前まで僕と一緒に繭内部の群青空間にいたのだ。僕と融合した状態で、キメラの獣とし...

pale asymmetry | 2019.09.27 Fri 21:19

鶺鴒船と時間熱 #10

JUGEMテーマ:自作小説    痩せこけた幼女だった。それとも痩せこけた老女か。手足は異常に細く長く、特に腕は足首に届くくらいに長かった。身体はとても軽そうにも、とても重そうにも見えた。全身が棚引くように波打っていて、だから軽そうに見えた。けれどその動作によって生まれる波紋が、空間を揺るがすそれがはっきりと見て取れて、それは強いエナジーを纏っていて、だから重そうにも見えた。おそらくどちらでもあるのだろう。それは重要なことだろうか。キメラの獣にとってはさして重要なことではないだろう。僕...

pale asymmetry | 2019.09.26 Thu 22:09

女子会がやりたくて(同窓会編)第十一話

三田家のダイニングには、ひとりひとりがそれぞれの思いでテーブルを囲んでいました。両側に三人ずつ座っているのですが、京香先生、エリカ、私が左から順に座わっており、反対側には私の向かいには姿は違うものの美咲、そして、エリナ、サヤカが席に着いていました。   続きはpixivにて 女子会がやりたくて(同窓会編)第十一話   *不定期連載です。   JUGEMテーマ:自作小説  

あやかる | 2019.09.24 Tue 13:57

鶺鴒船と時間熱 #09

JUGEMテーマ:自作小説    その雨は、ライラック色に煌めく雨だった。液体というより結晶のような雨滴だった。雨は、ウキアシのドレスのスカートから降っている。スカートの内宇宙から降り注いでいる。彼女は今、最上段のディスクからさらに上方に浮き上がっていた。固く目を閉じ、痛みに耐えるような、あるいは痛みを超えた快感に耐えるような表情を、天上に向けていた。「これだけの事象に耐えているのだから、私はもっと高次元に逝けるはずでしょう?」と天上の誰かに問いかけているように感じられた。誰かとは誰だろ...

pale asymmetry | 2019.09.22 Sun 21:34

鶺鴒船と時間熱 #08

JUGEMテーマ:自作小説    ライラック色のドレスをステージに蹲らせ、ウキアシは平伏すように姿勢を沈めた。その両手は胸の前で貝のように握られている。祈っているのだろうか。捧げようとしているのだろうか、自身の全てを。熟している全てと、まだ熟していない全てを。あるいは奪い取ろうとしているようにも見えた。そのための計略を胸の内に蠢かしているようにも感じた。彼女は彼女の皮膚の裏側に、膨大な呪文を、とても繊細で退廃的な呪文を記述しているように思えた。それは今にも皮膚全体に浮かび上がってくるよ...

pale asymmetry | 2019.09.21 Sat 21:38

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