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「でも『四三珈琲』って、面白い名前ですよね。どうして四三なんですか?」 「四谷○丁目だからですよ」 「え?あぁ!あはは、すごいネーミングセンス!誰がつけたんですか?」 「俺は親父がつけたって聞いてるけど……」 大竹が少し自信がなさそうに「だったよな?」とジェイクを見ると、ジェイクも「そう聞いてます」と頷いた。 「かなりお茶目な人でしたからね。でも裕一さんのコーヒーは、本当に絶品でしたよ」 「あ〜。俺、親父のコーヒー、ほとんど飲まずじまいだったわ。牛乳にコーヒー垂らした程度しか...
真昼の月 | 2019.06.23 Sun 12:27
系列の頂点である小野田組は直参達が一枚岩となっている奇特な組だが、その下の者達は上の座を虎視眈々と狙い、1人でも多くの人間を引きずり降ろそうと火花を散らす敵なのだ。そういう目で見たとき、ヒロは金町の敵に回る。今のうちに潰しておきたいと、今迄はそう思っていた。 だが、この男を自分が預かるとなると話は別だ。 ヒロが来てから、奴のことは横目で見ていたが、この男は義理堅い。自分が面倒をみてやれば、その恩を忘れることはないだろう。奥沢のために組内での立場に窮する自分にとって、オヤジやカシラ...
真昼の月 | 2019.06.17 Mon 15:29
「ん?どうした?なんか訊きたいことでもあんのか?」 「いや、あの、俺もスーツとか着た方が良いんすか?」 「いや、別に制服がある訳じゃねえんだ。何でも良いぜ?まぁ、あんまりお坊ちゃま然とされると舐められるから、ある程度格好良くな?」 何でも良いがある程度格好良く……というのが、どのレベルの物なのか分からない。だって、ここにいる人達はほとんどブラックスーツなのだ。ネクタイがずいぶん派手な奴が多いが、これがこの事務局の「普通」なのだろう。 「あ〜、ヒロちゃんはホストスーツで良いん...
真昼の月 | 2019.06.17 Mon 14:02
皆様、コメントありがとうございます。 お返事はコメントをいただいた順に書いております。 先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。 イヌ吉拝 コメントの御礼が遅くれがちです💦大変申し訳ありません!! 08:08:れい様 コメントありがとうございます!! え!?恥ずかしい!?マジすか!ありがとうございます!!...
真昼の月 | 2019.06.10 Mon 20:43
「……だったらさ。俺達ばっかり招待されてもアレだからさ。是枝さん達のことも、招待しないといけないんじゃないのかな」 まぁ、招待するのは慎也であって、俺も招待される側なんだけどさ、と早口に付け足す。その口調は固く、どこか怒ってるようでもあった。 どこに、とは言わなかった。 大竹の大切な家族がいる、大切なあの場所。そこに、是枝と宮嶋を招待したらどうかと……設楽がそんなことを言うとは、思ってはいなかった。 ああ、なんという日。 その言葉は柔らかい木漏れ日と...
真昼の月 | 2019.06.07 Fri 08:02
「そうですね。ちゃんと見張っていないと、斎和さん、メンテにお金のかかる家具を買いそうだから、家具は俺が選びますよ」 宮嶋の少々ツンが強めな発言に、是枝は「おや」と振り返った。 「じゃあ、あの別荘は買っても良いのかい?」 「だって斎和さん、俺が言っても聞かないでしょう?」 敢えてしかめ面をしてみせる宮嶋に、是枝は相好を崩した。 「そうか、良かった。正式に僕らの名義にしたら、またあの2人を招待しなくちゃね」 だが、その台詞には聞き捨てならないワードが混じってい...
真昼の月 | 2019.06.06 Thu 08:01
ベッドの上で水を飲む設楽の隣に座り、大竹はそっと設楽の肩を抱き寄せた。 「大丈夫だよ。啓介、ずいぶんホッとした顔してただろ。お前の言いたいこと分かってるから」 「でも……」 「良いから!こっから先はもうその話は無しだ。お前が普通にしてないと、あっちが気にするだろ!お前だってそう思ったから、あいつと普通の顔してピザ作ってたんじゃないのかよ」 「……それは……、……そうだけど……」 部屋に戻ってきてこんなに落ち込むくらいなら、あ...
真昼の月 | 2019.06.05 Wed 08:03
◇◇◇ ◇◇◇ 食事が終わって、結局後片付けをしたのも大竹と設楽だった。シギーが僕がやろうかと買って出たが、それは冴子から「シギーがやると勝手に食器や調味料の位置替えられるからやだ」と断られていた。 後片付けも終わって、冴子の淹れたコーヒーをみんなで飲んで、少しだけまったりしてから、「じゃあ」と大竹が立ち上がる。 「このままだと切りないから、そろそろ俺ら帰るわ」 「あら、夕飯までいれば良いじゃない」 「その後また泊まるのか?明日は仕事だよ」 「もう!」 不満そうな冴子を、清香を「...
真昼の月 | 2019.06.04 Tue 14:29
「だって、親からしてみたらよ!?」 「同じ親でもおばあちゃんはともお兄ちゃんのお母さんじゃないでしょ!おばあちゃんが口出ししたら、うまくいく物もいかなくなっちゃうよ!ともお兄ちゃんにいつまでも慎おじちゃんの面倒見て欲しかったら、後は本人達に任せて、おばあちゃんは黙って見守らなきゃダメ!!」 優唯ちゃん……。 昨日の優唯の台詞を考えれば、優唯が今自分達を応援してくれようとしている気持ちに胸が痛くなる。子供の頃から仲良くしていた優唯が、まだ小学生の優唯が、自分達を気遣い、自分...
真昼の月 | 2019.06.04 Tue 14:25
俺が慎也に幸せにして貰うんじゃない。俺が慎也を幸せにしたいのだ。自分の妹も説得できなくて、どうして慎也を幸せにできる? 設楽の真っ直ぐな瞳を、優唯はずっと見つめていた。それから、不意に目を伏せた。思い詰めたような色は、まだ瞳に色濃く残っている。 「……どうして?苦労するって分かってるのに……。そりゃうちのおばあちゃんはジェイク達がいるから馴れてるし、ダメなんていわないと思うよ。でも、慎おじちゃんも智お兄ちゃんも、おばあちゃんやジェイク達とだけ生きてる訳じゃない...
真昼の月 | 2019.06.04 Tue 14:04
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