[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
◇◇◇ ◇◇◇ タカシから名前を挙げられたスクーターの持ち主と、その友人達の裏を取るのに、2人がかりで3日かかった。こういうとき、イニシアティブを取るのはタカシで、ヒロはなるほど、こうやって調べるものなのかと教えられる立場だ。 こちらの仕事を優先するように言われていたので、桐生の部屋に行くのは控えていた。それでも、『三春』には、時間を見つけて風子の様子を見に行くようにはしていた。『三春』のママは風子をひどく可愛がってくれていて安心した。 風子はママに店を手伝わせて欲しいと言っている...
真昼の月 | 2018.11.10 Sat 08:02
「え?うちの兄貴の車にぶつけてくれやがったスクーター、テメェのだろって正直に言いました。そしたらヤクザが来たってびびって泣き出しちまって、いやぁ、ガキ相手に泣くとか、ビックリしました!」 けろりとそんなことを言うタカシに、一緒に話を聞いていた栄次も吉居も呆れたような顔をした。 「そんな事、バカ正直に言ったのか?」 「はい!あ、そしたら、面白い事が分かりました」 「何だ?」 面白い話、という言い方に、その場の空気がぴしりと変わる。 タカシは脳天気な顔はしているが、こんな時にされる「...
真昼の月 | 2018.11.09 Fri 08:01
「兄貴?あの……」 「……分かった。『三春』のママからは、俺の方にも連絡があった。あの人はああ見えて結構なタマだから、あの人に預けたのは正解だ。しばらくは姐(ねえ)さんに任せとけ」 「はい」 ぺこりと頭を下げると、佐世保に「おい、そろそろ時間だろ」とつつかれた。衛の下校まで後1時間ある。いつもより少し早いが、つつかれてしまったこともあり、ヒロは素直に従うことにした。 「じゃあ、行ってきます」 「おう、しっかりな」 佐世保の声に送られて部屋を出る。まさか自分が...
真昼の月 | 2018.11.08 Thu 08:03
駈が死んでもうじき3年が経つ。風子と会ったのも3年ぶりだ。風子はあの頃のまま、何一つ変わっていない。 「風子。俺とお前は運命共同体だ。お前を家の都合で勝手に嫁になんか行かせないから安心しろ。……だけど」 「だけど?」 ヒロの言葉の先を待つ風子に、慌ててヒロは首を振った。 「いや、何でもない。風子、お前も色々大変だったと思う。しばらくは何も考えずにしっかり休め。良いな?」 「うん、ありがとう。……ごめんなさい、ヒロちゃん」 風子が泣きながら、頷くように頭...
真昼の月 | 2018.11.07 Wed 08:01
「だから、逃げてきたの。ヒロちゃんがここでホストしてるってネットで見た時には驚いたけど、その手があったのかって思っちゃった。ここにくれば、私も逃げ切れるんじゃないかって思ったの。もちろん、ヒロちゃんにも会えるだろうと思って」 「風子、お前、でもさ」 「無理だよ。私は絶対に他の男と結婚なんてしないわ」 思い詰めた風子の顔は、ヒロが子供の頃から知っていた妹の顔ではなかった。 「風子……」 その顔を見たら、ヒロはそれ以上、何も言えなくなった。 ◇◇◇ ◇◇◇ とりあえず...
真昼の月 | 2018.11.06 Tue 08:16
「社長には、海外で暮らしている弟さんがいるんだけどね、弟さんは元々ミュージシャンを目指してアメリカに行って……まぁ、よくある話なんだけど、全く芽が出なくて、今は西海岸でゲストハウスを経営してるんだけど……駈ちゃんが死んだら、この弟さんが、うちにも息子はいるんだとか言い出して……。元々仲の良くない兄弟だったんだけど、まぁ、弟さんにしてみたら、なんで血の繋がった自分を差し置いて、赤の他人に会社を譲るんだって納得できなかったんだろうね。でも社長にしてみたら、今迄...
真昼の月 | 2018.11.05 Mon 08:07
「風子!」 「オーナー!?」 平日でも見通しの悪いほど人通りの多い歌舞伎町の、50m程向こうで、2人組の女性が3人の客を見送っている。手前の女性の影になっているが、ヒロの目は彼女をはっきりと捉えた。 手前の女性と男性客達が走ってくるヒロに気づいて、何事かと振り返る。 「な、なに!?」 男性客や手前の女性はオロオロと辺りを見回すが、奥にいる女性ははっきりとこちらを見て、大きく目を見開いた。 「ヒロちゃん!?」 「風子!お前……!」 細く薄い肩。大きな目に、子供の...
真昼の月 | 2018.11.04 Sun 08:01
皆様、コメントありがとうございます。 お返事はコメントをいただいた順に書いております。 先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。 イヌ吉拝 11:29:そら様 コメントありがとうございます!! 時村さん……な、なにかしら企んでるようです……ごごごめんなさい💦 って、若干胡散臭かったですか!?(良かった…...
真昼の月 | 2018.11.04 Sun 07:57
まぁ、真田組の若頭などという地位にいるのだ。しかも組長の栄次は四代目に何かあれば、ほぼ間違いなく小野田の五代目になる。最終的に衛が組を継ぐにしても、衛が組を継げるようになるまで、栄次がその座を守るのだ。 そうなれば、空いた真田の組長の椅子に座るのは、桐生だ。今更他の奴らのように、出世のために汲々とする必要などないという事か。 ……いや、兄貴は、本当に出世になんか興味ないんだ……。 桐生の頭の中にあるのは、ただ栄次の事。栄次と一緒に町を出てヤクザになったと言っ...
真昼の月 | 2018.11.03 Sat 08:01
優秀な舎弟ができて良かったと言うべきなのだろうか。いや、でもまだ中学出たての子供なんだから、そんな世慣れてなくても良いのにと、ヒロは何だか複雑な気分になる。 「兄貴?」 「ああ、ごめん。分かった。色々とありがとうな。でも、その女の子の事が分かっても、あんまり大事(おおごと)にしないでくれよ」 「分かりました。さすがに兄貴、もてるんすね〜。俺もあやかりたいっす!」 「バカな事ばっかり言うなよ。じゃ、俺、桐生の兄貴の方の用事済ませてくるから、お前も早く寝ろよ」 「分かりました!」 そうし...
真昼の月 | 2018.11.03 Sat 07:55
全1000件中 761 - 770 件表示 (77/100 ページ)