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JUGEMテーマ:ショート・ショート 赤い山羊のアララギは、かつては神だった。神として人々に崇められていた。雲を突き抜けて聳える霊山の、岩に覆われた急斜面を苦もなく駆け降りるその姿に皆が畏怖したものだ。里に降り立つとその両前肢を地面に叩きつけ、紋様を刻むことによって神託を告げる。その神託に誰もがひれ伏したものだ。 しかしあるとき、アララギは神の座を追われた。偶像が新しい神となったからだ。その偶像を神と定める書物が成立したからだ。つまり人々は、目の前の動的な存在よりも、記述され...
pale asymmetry | 2019.07.03 Wed 21:49
JUGEMテーマ:ショート・ショート 『暴走』 PC版はこちらから 「おはよう、ミナミ。」 「おはようございます。ゴローさん。」 何時もの会話が始まる。 「今日の天気、当たるといいね。」 「そうですね。夕立はありそうですけど、全体的に晴れですね。」 「そういえば、昨日の問題解けた?」 「それがまったく。どうも過去問って苦手で・・・。」 「ゆっくりとわかってくればいいんじゃない。」 「アドバイス、有難うございます。」 「その点、ニシさん...
The Blog of Azuma | 2019.07.02 Tue 16:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「その銀色のテントウムシは、太陽を馬鹿にしたクモをどうしても許すことが出来ずに、クモの巣をめちゃめちゃにしてしまいました」 「そのクモはどうなったの?」 「別にどうもならなかったよ。銀色のテントウムシは、クモの巣はめちゃめちゃにしたけど、クモのことはめちゃめちゃにしなかったから」 「どうして? だってクモのことが許せなかったんでしょう?」 「そう、どうしても許せなかった。でもね、クモは嘘をついていなかった。だから、銀色のテントウムシはク...
pale asymmetry | 2019.06.20 Thu 20:38
JUGEMテーマ:ショート・ショート JUGEMテーマ:ショートストーリー 『オモいデのサクラ』 ※PC版はこちら アサオきたらパパになっていた。 メがサめてなんだかヘンなカンじがして、 テをミたらジブンのテがオオきくなってて、 いつもよりもアシがトオくなってミえて。 ボクはびっくりしてベッドをトびオきると、 イソいでセンメンジョへイき...
The Blog of Azuma | 2019.06.11 Tue 08:42
レガント星にあるSECHSハウスのリビングで、 黒髪の紅と栗色の髪のレディアが何か話をしている。 「うん、良い感じだわ」 話しながら鏡の前で、レディアは紅に赤の金糸の入った布を合わせていた。 「この間の任務で服が破れちゃったから…。次は気を付けたいな」 「本当にそう」 破れた紅の衣類を床に広げており、次はこうはならないようにと繕うつもりだ。 「アルガン織のこの布だと、とても丈...
チームSECHS! | 2019.06.07 Fri 22:09
JUGEMテーマ:ショート・ショート 南風に傾けられ、雨が窓を叩く。雫はとても細かいので、囁いているようだ。囁いているのは雨ではなく、窓硝子の方かもしれないけれど。すると雨の雫は硝子を奏でているのかもしれない。その演奏に耳を傾けるために、私は窓辺に横たわる。薄暗い世界に耳を向ける。その世界との境界に聴覚を集中する。 宇宙人が語りかけているようだ。その宇宙人は一つ一つの雫に潜んでいて、だからとても小さくて、尚かつ透明で、だからどんなに目を見張っても見えはしない。それでも私はじっ...
pale asymmetry | 2019.06.04 Tue 22:11
JUGEMテーマ:ショート・ショート 貴方は南半球中緯度で、高熱に纏わり付かれている。私は北半球中緯度で全身の関節痛に喘いでいる。貴方と私の正確な距離は解らないけど、時差は1時間。とても近い所にいるように思えるのは、世界が狭くなっているせいかしら。それとも貴方のアクションが影響力を強めているせいかしら。少なくとも蝶の羽ばたきよりは強く。 貴方は高熱を引きずったまま、カンファレンスの壇上に立っている。私は痛みを抱えながら、コンピュータを殴りつけている。私たちは共に、探している。j...
pale asymmetry | 2019.06.02 Sun 21:03
JUGEMテーマ:ショート・ショート 彼女のことを思い出すと、それは河沿いの道になる。一級河川に沿って河川敷を見下ろし歩いた道になる。時刻は夜だ。深夜だ。空には月も星も見えない。都市の煌めきが強すぎるからだ。音はどうだろう。河の流動音は聞こえただろうか。それとも都市の駆動音が聞こえただろうか。あるいは彼女の呼吸音や、僕の脈動音の方がよく聞こえたかもしれない。音の詳細は記憶に残っていない。そういうものへの反応は、僕はあまり敏感ではないのだ。微かな印象として、いつも僕の脳内にスローな...
pale asymmetry | 2019.05.25 Sat 21:33
JUGEMテーマ:ショート・ショート パッセンジャーズシートの背を倒して君がうとうとしている間に、太陽はかなり海へと近づいてしまった。そしてその頬を朱に火照らせている。気持ちは冷めているのかもしれないけれど。遠からず、太陽は踵から旋毛まですっぽりと海を纏うだろう。あるいは海が際限のない強引さで太陽を包み込むだろう。どちらにしても、あられもない姿で夜が舞い降りてくるだろう。そういうのは奇妙だけど綺麗だと僕は思う。 君がもぞもぞと身体を揺すり、瞼をゆっくりと持ち上げた。覚醒を背中...
pale asymmetry | 2019.05.24 Fri 20:33
JUGEMテーマ:ショート・ショート 商店の内部は薄暗かった。その闇はサラサラとしていた。浮き足だった闇で、私のことを歓迎してくれているように感じた。ソーダ味のアイスポップと月桃リキュールと塩クッキーを選んで、店の一番奥へと進む。そこに小さなカウンターがあり、その向こうに老人がひっそりと立っている。男性なのか女性なのかは解らない。顔が真っ白だったから。艶のない真っ白な曲面で、目も鼻も口もなかったから。和洋が入り混じった不思議な服装をしていた。カウンターに選んだ商品を並べると、カリ...
pale asymmetry | 2019.05.20 Mon 20:42
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