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JUGEMテーマ:ショート・ショート 祖父が残した車は、真横から見ると凸型に見える。不思議な色をした車だ。白に見えるのに、光の加減で僕の皮膚の色にも見える。白っぽい皮膚、皮膚っぽい白。そんな色だ。だから、うっかりボディに手を突いたりすると、そのときの偶然の自然光や人工照明の加減で、手がボディに融けたように見える。そういうとき僕は思う。やっぱりこれは融けているのではないだろうかと。一瞬融けて、そして拡散して、これはいけないっと手が気づいて、そして慌てて戻ってきているのではないだろう...
pale asymmetry | 2019.12.26 Thu 20:49
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「今夜は、空を見上げてはいけないよ」 迎えに来てくれたパパは、歌うようにそう言った。プログラミング教室からの帰り道。街のキラキラが強すぎて、空なんて見えないんじゃないかと思えた。というか、とっくに夜空は街に飲み込まれているのじゃないかしら、と思えたりした。 「どうして。どうして空を見上げてはいけないの?」 パパは笑う。私の耳元に顔を近づけて、声を潜める。 「この夜は、僕らのものではないからだよ」 「じゃあ、誰のものなの?」 パ...
pale asymmetry | 2019.12.25 Wed 20:15
JUGEMテーマ:ショート・ショート 陽光は犬のように朗らかだった。皮膚に当たる光子はもふもふとして感じられた。それは明らかに粒子ではなく波だった。そうでないとしたら、私はこの世界を全く理解していないことになるだろう。そしてそれは同時にこの世界も、私のことを全く理解していないことになるだろう。雲一つ見当たらない空を見つめながら、そんなことを考えてみる。そうやって、時間を無益に消費する贅沢を堪能してみたりする。そういうことは、きっと不必要なことなのだろうと思う。私は。よくそんな立ち...
pale asymmetry | 2019.12.22 Sun 20:42
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「コウセイの翼がひどく傷ついてしまってさ」 という話し声が、後ろの席から聞こえてきた。外回りの仕事の後、遅めの昼食をファーストフード店で食べているときだった。コウセイの翼という響きが気になって、私は密かに耳をそばだてる。 「それは大変ね。船の運行に影響が出るのじゃないかしら」 「そうだね。多分出るだろうね」 どうやら、男女の二人が会話をしているようだ。 「どうするの。修理しないといけないのでしょう?」 「まあそうなんだけど、その...
pale asymmetry | 2019.12.19 Thu 21:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「あ、今タイムスリップしちゃった」 ダイニングのテーブルで夕食をとっていたとき、彼女が唐突にそう言った。右腕の腕時計をじっと見つめながら。 「え? 今? いつに? 僕も?」 彼女は質問の一つ一つを噛みしめるように考える。けれど回答は一つしか返ってこなかった。 「うーん、多分私だけだね。今あなたは何時?」 僕は腕時計をしていなかったので、ポケットからスマホを取り出し確認する。 「19時3分だよ」 「日付は?」 「2019年12月12日...
pale asymmetry | 2019.12.12 Thu 20:52
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「あっ」 玄関で下駄箱に靴をしまっていた彼女が、片膝をついた状態で声を上げた。 「どうしたの?」 「今、左膝の内側で甲虫が存在を主張したの」 「甲虫? 存在を主張?」 優先順位をつけられなくて、どちらの疑問も尋ねるしかない。 「甲虫というのはね、カブトムシみたいなので、色は黄金に近い緑色かな」 そうきたか。 「うん、甲虫のことは知ってる。まあ、色までは解らなかったけど。それが、君の膝の中に今いるの?」 「いるというか、存...
pale asymmetry | 2019.12.07 Sat 19:41
JUGEMテーマ:ショート・ショート 休日の朝、愛車を洗う。久しぶりだったので丁寧に洗う。北風が強かったけれど、負けずに洗う。水滴を拭き取り、コーティングを纏わせ、二時間ほどかけて絹肌のようなボディに仕上げた。満足して家に入ると、彼女が愛犬の背中に顔を埋めるようにして、何かを覗き込んでいる。 「どうしたの?」 僕の問いかけに彼女は顔を上げ、困ったような、少し面白がっているような表情を浮かべる。彼女の脇で愛犬も同じような表情を浮かべている。 「この子を洗ったの。そしたら角人...
pale asymmetry | 2019.11.29 Fri 21:32
JUGEMテーマ:ショート・ショート 風が強くて、ほろほろと皮膚から何かが零れ落ちそな気がした。真珠のような丸に近いけど決して真円ではない、光沢の強い妖精のような何かが。色彩はどんなだろう。ごく薄い青葉色かな。だから瑞々しい感じの妖精だ。違った、妖精のような何かだ。それはあくまでも、ような何かでなくてはいけないから。といってもそのことに深い理由があるわけではない。何となくそんな感じがするだけだ。ような何かの方が、しっくりくるという感じが。 西の方の空は少しだけ茜に化粧されてい...
pale asymmetry | 2019.11.20 Wed 20:32
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「ただいまー」 「おかえりなさい」 「ねえ、今日さ、面白いショートムービーを見たんだ、職場で」 「職場でショートムービー見てもいいの?」 「まあ、その辺りはグレーゾーンだから触れないで」 「そうなんだ、じゃあスルーする」 「でさ、森の奥深くにオラウータンマシンというのがあるわけ。姿かたちは暗くてよく解らないんだけど、大きなマシンなの」 「えーと、もうショートムービーの話?」 「もちろん。そこに主人公がやってきて、語りだすの、マシ...
pale asymmetry | 2019.11.11 Mon 20:55
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「ただいま」 「おかえりー。ねえ、トイレの扉を開けてみて」 「え、今?」 「そう、今すぐ」 「いいけど…」 仕事から帰った僕に、彼女が悪戯を仕掛ける子供の表情で促す。それで僕はトイレの扉を開ける。 「イヤーンイヤーン」 とトイレの扉が鳴いた。そのまま扉を閉めても、同じように鳴いた。 「ね」 彼女は得意顔で僕を見つめる。 「ね? えーと、いつから?」 「うーん、それは解らない。気づいたのはさっき。それよりも、どう...
pale asymmetry | 2019.11.10 Sun 20:50
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