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掌編。超短編。など、名前は様々。
一瞬を切り取って、読んでくれる人に届けたい。
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SECHS1短篇小説ー今朝もー。

     「おはよう」 「……おはよう」 今朝も朝日が眩しい。部屋のカーテンを開けて彼女はベッドに腰かけた。   「今日は調子がよさそうね。ぐっすり眠ってた」 「………そうか」   「もうお掃除すませちゃった。みんなも起きてるわ」 (もうそんな時間か………)   彼はまだ眠そうな目をこすり、身体を起こした。   「今日はいい天気になりそう」 「………」 彼は彼女の朝から...

チームSECHS! | 2018.11.11 Sun 06:02

フラミンゴと地球の距離感

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「フラミンゴって、片脚で立つじゃないですか」  ササちゃんが唐突にそう言う。  昼休み、部屋には私とササちゃんだけが残っていた。他のスタッフたちはいくつかのグループに分かれて、外へ昼食に出かけていった。私はいつものように職場で昼食。ササちゃんは今日の電話番だった。 「クウさんのそれ、何パンですか?」  話が急旋回した。 「ジャムパン」 「クウさんいつもジャムパンですね。飽きません?」 「全然大丈夫。ササちゃんのそれは」  ササち...

pale asymmetry | 2018.10.23 Tue 21:47

美しき人

JUGEMテーマ:ショート・ショート JUGEMテーマ:ショートストーリー       『美しき人』 ※PC版はこちら   美しき人は私の母である。   物心ついた頃から、私の周りには着物があふれていた。   和裁学院を営んでいた母は、何人もの生徒を教え導いていて、選ばれた反物から徐々に着物が出来上がっていく姿は、子供の私にとってまるで魔法のようで楽しかった。   そんな私が、初めて着物に袖を通したのは七五三の時。  ...

The Blog of Azuma | 2018.10.23 Tue 11:42

空想:過去からの嘲笑

JUGEMテーマ:ショート・ショート   「――あと、はんぺんと卵も……あ、ツユ多めにお願いします」   会計を済ませて家路へと向かう。今日は、いまコンビニで買ったおでんを肴に熱燗を飲もう。徳利に酒を注いで、水を張った鍋に置いて火にかける。沸騰するまでの間にシャワーや着替えを済ませる。熱燗にするのだから、酒は安いやつでいい。この間買ったやつがまだ結構残っているはずだ。   おでんが冷めないようにと足早になる。しかし走ってしまうとツユがこぼれてしまう。ツユは食べ...

ねじまき鳥よ、おれの幸運を願え | 2018.10.17 Wed 08:38

マーサ・Wの仄かな恋

JUGEMテーマ:ショート・ショート    七十三歳の誕生日を迎えた翌々日から、マーサ・Wは奇妙な幻覚を見るようになった。彼女は自宅のサンルームでたくさんの植物を育てることを趣味とし、そこで午後のティータイムを過ごすことを日課としていた。その日も植物に囲まれた小さな丸テーブルにティーセットを並べようとしたという。しかしテーブルの上は既に彼女の見たこともないものたちで占拠されていて、ティーカップもポットもクッキーも置くことはできなかったという。 「それはもう不思議な状態でしたのよ、先生...

pale asymmetry | 2018.08.26 Sun 21:07

空想:はじめてのビーフシチュー

JUGEMテーマ:ショート・ショート   どうやら俺は結婚をするらしい。 「らしい」と言ってしまうくらい、実感がない。おまけに妻のお腹には子どもがいる。 俺には、いや、俺たちにはなにもない。カネもなければ食事を囲むテーブルすらもない。だけど、未来だけはある。 仕事が終わり、アパートへと帰る。「おかえりなさい」という妻の言葉が妙な気持ちにさせる。 こんな俺が、妻を、そして子どもを幸せにできるのだろうか。   俺の家は平屋のボロい一軒家で、そこで兄貴と姉ちゃんと両親の5人で...

ねじまき鳥よ、おれの幸運を願え | 2018.08.14 Tue 14:59

居場所を探して3

JUGEMテーマ:ショート・ショート 「ここは風が抜けないんだなあ」 窓硝子に手を伸ばした先輩の腕の中に尚史が包まれる形になった。 「尚史、喉悪いんだからもう少し環境のいい所住めたらなあ」 背中に先輩の体温を感じながら尚史は戸惑った。   「早くプロになっていいとこ住もうな。あ‥そうだ、俺のアパートに来れば?」 大きな瞳を見開いて尚史が振り返る。 「え、‥先輩?」 「ちょっと広すぎるし一緒ならいつでも勉強出来るし、環境もいいから尚史の体にもいいと思う。どうかな?」 答に窮している尚...

青白き月に薄墨の雲 | 2018.07.19 Thu 20:59

居場所を探して2

JUGEMテーマ:ショート・ショート 「まだ、帰ってないかと思ってたよ」 "え‥" 「大家さんに何度も電話したけど、ずっと留守だって言うし」   嘘だ。 今日はどこにも行ってない。 わざと電話を取り次いでくれないのだ。 そんなことはしょっちゅうだった。 謂れのない嫌がらせだった。 けど、先輩には知られたくない。 尚史はただ微笑むしかなかった。   「今度の土曜日に一門で食事会しようって。 尚史も来るよね」 「でも、僕‥」 ためらっている尚史に先輩が答えた。...

青白き月に薄墨の雲 | 2018.07.19 Thu 20:58

誰もしらない私の悩み4

JUGEMテーマ:ショート・ショート JUGEMテーマ:ショート・ショート しばらく頭を冷やし、慎太郎が部屋に戻ってきた。 明かりを消し布団に潜りこんだ。 "はあーっ" 眠れそうにない。 寝返りをうち彼の方に顔を向けた。   その時、暗闇から小さな声が聞こえてきた。 「慎ちゃん‥そっち行ってイイ?」 「ア、アカン、もう寝てや」 慎太郎は頭から布団を被った。 「慎ちゃん、雷なってるから、お願い‥」 「え?星が見えてた‥」 「鳴ってるもん!」   慎太郎は迷ったが...

青白き月に薄墨の雲 | 2018.07.19 Thu 20:57

誰もしらない私の悩み3

JUGEMテーマ:ショート・ショート JUGEMテーマ:ショート・ショート 「夕ご飯も美味しかったし良かったね」 彼が布団に寝そべり頬杖をついてニコニコしている。 「うん、そやねえ。勉強も出来たし」 慎太郎は側で正座して衣服を畳んでいた。 バッグに荷物をしまい終わってふと彼を見やる。   "あれ寝ちゃったの?" 微笑んだ表情のまま彼が寝てしまった。 "あんだけはしゃいで疲れちゃったんやなあ" 子供みたいな寝顔を見ていたらふと顔に触れたくなった。 ゆっくり...

青白き月に薄墨の雲 | 2018.07.19 Thu 20:56

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