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時代を設計する…。 1

 一口に「住まい」と言っても、この国の場合は、その住まいの業態や販売システムなどが多種多様、さまざまなプロセスがあって、一般の方からは分かりにくい部分がとてもあると思います。要は広告を見てローンの算段だけして出来上がったものをポっと買ってしまうような住まいもあれば、我々のように設計する我々とクライアントの相性を確認しながら、密にヒアリングを繰り返し、やがて出来てきたワンプランを煮詰めていき、最終プランにつなげ、そこから予算と弾き出していくという手間暇をかけた作り方まで、本当に色々なパターンが...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.26 Wed 07:13

縁が結ぶ住まい創り 6

 丁度、福岡パッシブハウスを着工したのが、あの東日本大震災の前日ですから、ガラガラと変わる価値観の中で、私たちも必死にそのニーズに応えようとしていたことを思い出します。お一人お一人の快適を求めて始めた住まいづくりですが、あの3.11以降はそれが、命を守るための住まいづくりであり、エネルギー問題でありもあり、環境破壊を食い止めるための住まいづくりに大きくシフトしてきた気がします。皆さんの意識も大きく変わり、省エネや暮らしの質という部分に関心が集まり、あの日を境に世の中の流れも大きく変わりました。た...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.25 Tue 07:49

縁が結ぶ住まい創り 5

 10年ほど前に、これも奇遇にもある方の紹介で、ドイツ由来のパッシブハウスのノウハウを持ち帰り帰国された森さんをご紹介いただきました。すでに著書「世界基準のいい家を建てる」は読んでいましたが、お会いしてすぐ意気投合してお誘いがあり、瞬く間に「福岡パッシブハウス」の共同プロジェクトが始まりました。それまでも環境負荷の少しでも少ない暮らしのための住まいづくりを旨としてきましたが、それ以前とそれ以降で格段に違うのは、それまではある程度の想定性能に応じて、仕様を決めて設計していたものが、様々なシミュレ...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.24 Mon 07:14

縁が結ぶ住まい創り 4

 ポツリポツリと住宅の引き合いが来始めた頃は、本当に嬉しかった。一棟建てさせていただく度に課題は生まれ、北海道の先輩たちに支えられて創り始めた高気密高断熱住宅を、当地福岡のためにカスタマイズさせていくのに必死でした。やはり圧倒的な気候の違いはありますから、そこをどう捉えていくか、暮らし始めたお客さまたちと二人三脚で建てるごとに改善をしていきました。当時、高気密高断熱は冬暖かいが夏は夏蒸れするというお話があり、北から勢いよく降りてきたフランチャイズのビルダーさんたちも徐々に撤退に追い込まれてい...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.23 Sun 07:06

縁が結ぶ住まい創り 3

 折しもバブルが弾け、デベロッパーや不動産絡みからの企画がいくつか立ち消えになった時点で私は北海道に通うようになっていたのです。当時のお仲間たちは、あなたが九州で真面目に取り組まれるのならと、口々に協力を惜しまないと言ってくださって、そのお付き合いは30有余年過ぎた今も続いています。断熱材で住まいを包めば室内環境は格段に良くなるのですが、断熱の手法とともに結露に関するしつらえを怠れば、木造住宅はたちまち躯体内結露で腐ってしまうという教訓を口喧しく何度も聞かせてくださいました。高断熱高気密と言っ...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.22 Sat 05:58

縁が結ぶ住まい創り 2

   鉄骨鉄筋コンクリート造8階建ての複合ビルは、街の中心部にあって、1階が店舗、2〜6階がオフィス、7.8階がオーナーの住居というものでしたが、スーパーゼネコンの下請け時代で複合開発的な大規模なものから様々な構造のものまで経験をさせていただいたので特に不安もなく企画設計を進めることができました。その企画の中で、「福岡のマンションは最上階は暑くて住めない」という当時よく聞いていた話を払拭したくて、最上階の住居を守るべく、ドーマ型の屋根スラブを防水で露出し屋上とせずに、スラブ外から断熱を施し金...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.21 Fri 07:23

縁が結ぶ住まい創り 1

 まさに若気の至りと言うやつで、大海原に素っ裸で飛び出すように、何も考えずに独立をして35年近くもこの時間をこの生業に費やしてきたかと思えば、何がなせたわけではありませんが、感慨深いものがあります。本当に最初はママゴトのような状態で、電話の前で日がな一日、仕事の依頼が来ないなと悶々としていた日が続き、今から思えば誰も認知していないわけですから当然ですが、そんなスタートですから我ながら可愛らしくもあり、向こう見ずさには恐ろしくなります。  親のコネや元職のコネがあるわけもなく、ただ、始めたいか...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.20 Thu 07:31

いい、加減の話し 5

 近年、非常に短くなってしまいましたが、中間期という私たちの暮らしに最もやさしい気候を十分に満喫して、その感覚を深くご自分に刻むことは大変重要なことだと思います。とかく数字が見えてくると、そのことばかり頼りすぎて、その値に一喜一憂して、ともすると本来の感覚よりも過敏になりすぎて、かえって満足感を削いでしまうことになりかねないのも事実です。  私たちプロは、定量化することで仕事のクオリテイーを一定以上にキープすることが大切ですし、そうあらねばならないといつも心がけています。ただ、皆さんの現実...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.19 Wed 07:21

いい、加減の話し 4

 住まいは、非常にベーシックな土台作りという部分が多くて、最近やたら脚光を浴びていますが、省エネであるとか室内温湿度をより整えるということは、まさにベーシックで、住まい手が意識しないですむ環境を求めて仕立てていくものです。いわば、取り立てて大騒ぎするものでもなく、暮らしのベースを整えることがその目的だと思います。一旦、暮らしを仕立てれば、住まい手はそういうことには頓着しなくなり、できる限り忘れてくれて良い部分なのです。そのためには、皮膚感覚で覚えている「良い、加減」が必要なのです。  そう...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.18 Tue 07:00

いい、加減の話し 3

 春夏の気候の良い時をイメージすると、少し蘇ってくるのは「何も感じない」という言葉です。暑くも寒くもないちょうど良い感じというポイントが、人それぞれにあるのだと思います。これには若干の個人差がありますが、その感覚をキープしていくことが室内環境の良い状態の規範ではないかと思います。  とかくエコハウスブームになってきてからは、テキストの快適温度領域の温湿度が気になって、その数値を少しでも一脱するとさあ大変というような感覚になりがちですが、申し上げたように、皆さんが皮膚感覚で感じる「快適」...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.10.17 Mon 06:44

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