[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:小説/詩 「出現物っていうのは」地球が答えた。「要するに、化合物だよ」 「化合物?」鯰が甲高い声で繰り返す。 「そう。水素とか窒素とか酸素とかが、鉱物のイオンとくっついたり離れたり、酸化還元してできたもの」 「それが、あたしをあの洞窟まで引きずり出したっていうわけ?」 「結果として、そういうことなんだろうね」 「なんでそんなことができちゃうの? あいつら、生き物なの?」 「うーん」地球は答えにくそうだった。「生物ではないけど、出現物なんだよね」 「生きてないの?」 ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.04.22 Fri 12:12
小学生くらいの頃から、将来の夢は漫画家でした。 イラスト自体は小学生以前からずっと描いていたのですが、はっきりと『漫画家になりたいなぁ』と思ったのは、小学生の三年か四年くらいの頃だったかと思います。下手くそなりにノートに漫画を描いて、雑誌に投稿するにはどうすればいいのかを自分なりに調べて、画材を買ってちまちまと描き始めたのを覚えております。漫画雑誌を買うと、漫画の描き方講座みたいな漫画も載っていたのですが、何を勘違いしたのか『いやこんなんせんでも描けるやろ』と思い込んで成長を著しく妨げてい...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2022.04.16 Sat 23:37
JUGEMテーマ:小説/詩 「これ」酒林が唸るように呟く。「どうなってんだ」 「ああ」天津も苦悩の声で返す。「きりがない……というか」 「どういう、現象なんだ?」酒林は、依代の姿であれば首を傾げているのだろうと思われる声音で誰にともなく問う。 「うん」天津も同じく、依代の姿であれば眉をひそめているのだろうと思われる声音で返す。「この洞窟……存在位置の座標が、あっちこっちものすごくぶれてる」 「本当すね」住吉が同調する。「磯田建機の地下と、深海底の間で行ったり...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.04.15 Fri 20:31
JUGEMテーマ:小説/詩 「違う」先祖は叫んだ。「正解は二番ではない、三番じゃ」 しかし子孫は二番を選択した。 その次の問題において、子孫は今度は四番を選択した。 「違う」先祖は叫んだ。「それは一番が正解じゃ」 試験は終わった。 先祖は髷(まげ)が崩壊するほどに頭を掻き毟った。「全滅じゃ」それはかつて国の覇権を巡り戦を繰り広げてきた時代、紛れもない先祖自身の人生最期の時口にした言葉であった。 そしてそれは他でもない絶望の到来を確信する言語であり、それを口にするということ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.04.12 Tue 13:05
JUGEMテーマ:小説/詩 「え」結城が、洞窟内に出現した黒いものを指差して問う。「クーたん、さん?」 「違います」回答したのは黒いものではなく、本原だった。「クーたんじゃないです」 「“クーたんを連れて来た”と言ったのは誰なんだ」時中が疑問を口にする。 「何、あんたらだけなの?」黒いもの――鯰は問いかけてきた。「神はどこへ行ったの?」 「神は消えました」結城が神妙に答える。 「ふうん」鯰は相変わらず甲高い声で答え、それから右に左にと身をよじり、周囲の様子をうかがった。鯰が...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.04.08 Fri 20:59
JUGEMテーマ:小説/詩 「ん?」磯田はふと顔を上げ、窓の外を見た。 「どうかしましたか?」伊勢が直ぐに反応する。 「――」磯田は少しの間動きも表情も止めて窓を見ていたが「ううん」と首を振りまた伊勢の方に向き直った。「空耳みたい」 「そうすか」伊勢は悪戯っぽい顔で興味を示した。「またオーラが見えたとかじゃないんすか、社長の特技の」 「やあねえ、特技じゃないわよ」磯田は眉をしかめながらもまんざらでもなさげな笑いを浮かべ、伊勢の腕を軽く叩いた。 「でも洞窟の方からなんか聞えたとかでしょ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.04.01 Fri 14:04
全1000件中 401 - 410 件表示 (41/100 ページ)