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JUGEMテーマ:小説/詩 私は母の後に続き和室から出てリビングへ向かい歩いた。 何 なんで どうして もう会いたくない いやだ 逃げたい ニューロンの呟きはその間ずっと続き、さまざまな像が表出し、それらは震えていた。 リビングのソファの近くに来ると母は止まり、私も歩行動作を停止した。 ニューロンの呟きと震える像の表出もまた、消えた。 「んまあ」ソファに座っている女性──橿原久恵という名だ──が目を大きく見開いて...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.23 Wed 21:52
JUGEMテーマ:小説/詩 玄関ドアを開けると、そこには二人の人間が立っていた。 慶子は一瞬言葉を忘れ、目を見開いた。 橿原圭輔だ。 彩夏の夫 だった 男だ。 半袖のポロシャツにチノパンという、ラフな出立をしている。 彼は母親である橿原夫人の右肩の後方に佇んでいた。 「まあどうも、ご無沙汰しております」橿原夫人の喇叭のような声に慶子は瞬きし我に返った。 「ああいえこちらこそ」一歩引いて客を招き入れる。「暑い中わざわざお越し頂いてすいません」 ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.15 Tue 20:45
「むかえきて えき」 夜九時近く、姉からホラーじみたメッセージが届いた。ああ? とスマホを睨んでサンダルを履く。十日ぶりの外は蒸し暑く、虫の音がやかましい。 田舎の無人駅まで走って五分。自転車の鍵をなくしたのが先月、捨て猫を見つけて途方に暮れたのが先々月。今日は姉の姿が見当たらない。列車が参りますアナウンスの後、轟音と質量の塊が闇を切り裂いていく。 「駅のどこ?」メッセージを打つも既読スルー。 発信。出ない。 「おーい」既読。 「そもそもなんでカタコト?」既読。 イラッとして再度発信...
水平線上の雨 | 2023.08.13 Sun 23:25
JUGEMテーマ:小説/詩 慶子は洗濯機を始動させた後、バスルームの掃除に取りかかった。 シャワーでバスタブに水をかけながらふと、昨日ショッピングモールで出会った姫奈の姿を思い出す。 ──姫奈ちゃん……しばらく見ない間に、すごく大人びて美人になってたわねえ。 水の音の下でつらつらと想いを巡らせる。 ──あの子は昔から可愛かったものね。喋り方もおませな所があって。華があるというか、人の目を惹く子だったわ。 洗剤を流し終えて水を止め、洗濯前の...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.10 Thu 21:42
JUGEMテーマ:小説/詩 朝の仕事のルーティンが片付いたところで、石野崎はコーヒーを一口すすってから、再度データファイルを開いた。 彩夏から送られて来た外界センサによる取得情報のすべてだ。 モニタの黒画面に久遠の文字列が現れ、一時休止し、また現れする。辛抱強く待った後『スピリット』なる語句にて検索する。 最初に見つけた一件以外、ヒットするものはなかった。 「──」石野崎はしばらく画面を見つめ、またコーヒーをすすった。「てことは……」 内...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.04 Fri 22:26
JUGEMテーマ:小説/詩 「ちょっと、あなたそんな服着るの?」 母の声が聞こえた。 「やだ、なんかおばさんっぽいわよ。どういう趣味なのよ」 正確には外界センサ──耳から取得した音声情報ではなく、彩夏の記憶から検出されたもの、つまり彩夏が──ニューロンが想起しているものだ。 「ねえ、ブルーとピンク、どっちがいい?」 再び母の声が聞こえた。今度は母の姿も同時に想起された。現在よりも少し若い年代に見える。両手に衣類を持って差し出している。右手にはピンク色、左手...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.07.28 Fri 22:25
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