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JUGEMテーマ:小説/詩 翌月になり、天気の良い週末、彩恵子と映画にでも行こうかと話していたときである。突然、佐伯庄一から電話があった。 月曜日に東京へ行くからそのときにカネを渡せというのだ。 先月一千万円を渡し、今月も月末頃に上京してくると思っていたが、やけに早い。それも日帰りでカネを取りに来るというのだ。 約束の月曜日になり、幸一は佐伯に会って一千万円を渡した。これで約束の二千万は終わった。 上機嫌になった佐伯は、安心しろ、このことは誰も知っちゃいねえんだ。ム...
狙われた男 | 2021.12.07 Tue 11:16
JUGEMテーマ:小説/詩 ふたりで暮らすようになってすぐ、幸一は佐伯庄一に呼び出された。 口止め料の返事を延ばしているうちに、しびれを切らした佐伯が北海道から東京へ出てきたのだ。 待ち合わせ場所のホテルで待っていると、佐伯が背広姿で入ってきた。 幸一を見つけると、オッと手をあげたが、そのままフロントでチェックインを済ませ、エレベーターで上にあがると、ラフな格好に着替えておりてきた。二人は外に出た。 「それにしても、あんたもよくやるもんだねえ」 歩きながら佐伯が幸...
狙われた男 | 2021.12.07 Tue 00:44
佐伯は続けた。 「おまえと本店で電話をする前にな、営業部長の高山が俺に電話してきたんだ。ひとりだけ生き残った人がいて、それも一億を超える会社のカネを窓口でおろそうとしている。しかも現金でだ。社長さんに頼まれて東京の不動産屋に払うカネだといっているが、知っているかってな。おまえもよくいったもんだ、でまかせを。――おい、聞いてるのか?」 「……はい」 「あんな場合は、普通だったら絶対に払いやしない。そこを俺が助けてやった。わかるか、幸ちゃん」 幸一は黙って...
狙われた男 | 2021.12.06 Mon 13:35
JUGEMテーマ:小説/詩 幸一が、行き交う車を目にしながら千鳥ヶ淵を歩いていると、母親から携帯に電話があった。 振り込まれた三千万に驚いたようで、すぐに新潟に帰ってこいという。そして、本当に宝くじに当たったのかと何度も訊くが、訊き方が尋常ではない。それもそのはず、なんとあの佐伯支店長が、幸一が預金口座開設書に書いた実家の住所を手掛かりに突然母親を尋ねてきたというのだ。 わけを訊くと、震災後の預金者の保護について幸一の確認が必要なのだが、本人と連絡がとれない以上、親族...
狙われた男 | 2021.12.06 Mon 13:31
JUGEMテーマ:小説/詩 彩恵子いわく、家族で顔を合わせるのは、盆と正月だけだったが、ある年のこと、盆休みで帰ってきた母親が、かかってきた一本の電話でさっさとアパートへ帰ってしまい、そのまま二度と戻ってこなかったそうだ。 当時の彩恵子は中学生で、子どもの目にも、母親に男ができたのはわかったが、父親は連れ戻しに行こうとしなかったという。 「意気地のない父さんだと思ったけど、母さんのことがほんとうに好きだったみたいでさ、その後、母さんが男と別れて、また一緒に暮らしたいな...
狙われた男 | 2021.12.06 Mon 09:36
JUGEMテーマ:小説/詩 「いいか、良く聞けよ。あんたがおろした会社のカネは、本当は払うことができなかったんだ。地震のあと、俺たちはすぐに別の信用金庫さんの一角を借りて業務を再開したんだが、カネをおろしに来る人間には特に気をつけろと本部から指示が出ていたんだ。そんな中でだぞォ、俺はあんたにカネをつかませてやるのに、えらい苦労をした。なんやかんやと本店のやつらに訊かれてなあ」 いいかたがぞんざいで、とても支店長の言葉とは思われない。 「あのとき、営業部長の高山が、どうもおかしい...
狙われた男 | 2021.12.06 Mon 08:57
JUGEMテーマ:小説/詩 宵の明星が皓皓と輝き 日没後の深き橙色の西の空を見詰めながら、 西方浄土といふ言葉が頭を駆け巡れば、 何処か感傷的な感情が込み上げてくるかと思ひきや そんな感傷に浸る余裕は微塵もない私は 私の内部に巣くふ異形の吾の頭を噛み切る術を探しては、 私の内部、其処を私は五蘊場と名付けてゐるが、 その五蘊場を我が物顔で闊歩してゐる異形の吾が のさばればのさばるほど 私の懊悩は深まるばかりで、 この私と吾との跨ぎ果せぬ乖離は 私の絶望の距離なのだ。 常人...
My First JUGEM | 2021.12.06 Mon 01:25
Jに
with a kiss, passing the key | 2021.12.05 Sun 00:01
JUGEMテーマ:小説/詩 幸一のヴィトンのバッグは首尾よく空(から)になった。 銀行を出た幸一は、郵便局に寄って転居届けを出した。転居先は五日前に飯田橋で会った友人宅である。電話をいれて、郵便物を受け取っておいてくれと頼むと、 「まあそれはいいけど、それより、この前もらった二十万は返すよ」と、その友人はいった。あの日、幸一は、一緒に住んでいることにしてくれといって彼に二十万を渡していたのである。 「おい、お前、なにか悪いことをしているんじゃないだろうな。桧山信用金庫の佐伯という...
狙われた男 | 2021.12.04 Sat 20:50
JUGEMテーマ:小説/詩 「スサノオっすか」結城が天津を見た後、岩天井を振り仰ぐ。 「塞ぐだと」時中が岩壁を左右に見回す。 「できるのでしょうか」本原が首を傾げ疑う。 その直後、暗闇が訪れた。 「うわっ」結城が叫び、 「塞いだのか」時中が呟き、 「できましたね」本原が溜息混じりに囁いた。 は、と天津が溜息をつき「何のつもりだ」と苦言を呈する。 スサノオは答えない。 「くっそー、もう一回やろう」結城は先ほど突き刺したローターを岩壁から引き抜いた。 「できるのか」時中が闇に慣れ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.12.03 Fri 11:31
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