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神社にはどんぐりや きれいな色の葉っぱが たくさん落ちていた。 大きなどんぐりをひろって持って帰ると 下の姉が爪楊枝を使って 器用に独楽(コマ)を作ってくれた。 そういう時、姉は必ずと言っていいほど 作るところを かいちゃんに見せない。 作り方を訊いても絶対に教えてくれないし 親切なのか意地悪なのか さっぱり分からない。 「作って」と頼んでも作ってくれるわけではなく 気の向いたときに ふいに呉れたりするのである。 上の姉は...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.11.01 Wed 22:02
クラス全員でお百度参りをしたせいかどうか なっちゃんの足の手術は成功した。 退院して学校に戻って来た時には なっちゃんもみんなも感動の再会であったが ひと月もすると さっぱり忘れてしまった。 なっちゃんは目立つ子ではなかったし 体育などは見学していたのかもしれないが それすら かいちゃんの記憶にはない。 何年生のときのことだったかも忘れている。 お百度参りを考えついた子だと思うが 「願いが叶ったら千度参りをするらしい」 と言いだしたが み...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.30 Mon 17:10
夏祭りの日に うなぎを釣ろうとしていた なっちゃんは 4年か5年生のときに、足の手術をすることになった。 もともと普通に歩いたり走ったりしていたので 何が原因だったのかは分からないが 失敗したら片足が無くなるという話だった。 入院したなっちゃんのために何かできないかと 学級会で話し合ったところ 『千羽鶴を折る』という案と 『お百度参りをする』という案が出た。 千羽鶴を折るためには折り紙が必要だし クラスは40人なので ひとり20羽は折らねばなら...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.29 Sun 21:12
祭りの露店の中に、地べたにゴザを2枚敷いて 奥のほうに人形を並べた輪投げの店がある。 子供は30円、大人は50円で 竹ひごでできた輪っかを5個くれる。 手前のゴザを踏まないようにして輪っかを投げる。 人形がすっぽり入ったら賞品として貰える。 人形だけでなくお菓子もあった。 簡単そうに見えるのに取れないのは ”すっぽり”入らなければならないからだ。 人形はたいてい腕を振り上げたポーズで まず、この腕に輪っかがひっかかる。 ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.27 Fri 18:33
祭りの夜、小さな春日神社の境内は夜店で埋まる。 赤や黄色の色水のようなジュースは 母から「飲んだらあかん」と止められている。 「赤痢になるかもしれん」というのが理由である。 ひと口カステラや たこ焼きは高価だし、 夕飯を食べたあとなので食べもの類は諦める。 お小遣いの配分を考えながらぐるぐる回っていたら 隅のほうに「うなぎ釣り」というのがあって なっちゃんという幼なじみの男の子が挑戦していた。 金魚すくいが30円なのに うなぎ釣りは2...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.26 Thu 18:45
春日神社の秋祭りは10月の12日で 台風や秋雨のシーズンだが たいてい晴れていて滞りなく行なわれた。 一度だけ 朝から雨が降っていたことがあって 「今日はお祭りはあるのか?」と かいちゃんたちは授業も上の空で心配していた。 帰り道、友だちと一緒に神社に寄ってみると 果たして境内には屋台の気配すらなく 見慣れた石段や玉砂利が しとしと濡れているばかりである。 拝殿に神主さんや巫女さんらしき人がいたので かいちゃんたちは勇気を出して 「今日は...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.20 Fri 20:45
7月と10月の12日は春日神社のお祭りだった。 神社は小学校からの帰り道にあるので 学校のあるときはちょっと覗いてゆく。 張りぼてのような屋台を建てている最中だったり りんごあめ屋さんなどはもう作り始めていたり 砂埃をたてながら発電機が回っていたりする。 ともだちと「じゃあ夜にね」と約束をして別れるのだが 時間も場所も決めるわけではなかった。 行ったら誰かと会えるし 会えなくてもいっこうに構わない。 翌日、学校で「誰々ちゃんと誰々...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.19 Thu 11:20
家から10分ほど歩いたところに 春日神社という小さな神社があった。 奈良の春日大社とはたぶん無関係で、 宮山町と春日町の間に立っているので そういう名前だったのだと思う。 神社に縄張りがあるのかどうか知らないが このあたりで生まれた子供は自動的に 春日神社の氏子(うじこ)になるのであった。 氏子だからといって どうということもなく 秋祭りの前になると『寄付のお願い』をしてくるのと 七五三や初詣のお誘いが来るくらいである。 かいちゃ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.11 Wed 21:21
JUGEMテーマ:回想 濃尾平野が狭い隙間から顔をのぞかせたので 離れたところから温かくしてぬっくりとその瞬間を待ち構えたのですが 蟻の大群は次から次へとトウモロコシを焼くばかりで カエルアンコウの肝ようだったし ここはひとつ厳しく豆まきをしておかなければ 埒があかない扉の向こうの水泳大会が怒り出して さあ大変な一日になると 巻き舌で感電覚語の乱れ打ち水に 福はうちひしがれたのであります
娑婆以来 | 2017.10.11 Wed 19:35
幼稚園で栗拾いに行ったことがある。 秋の遠足として バスで出かけたと思う。 前日からいろいろな噂が飛び交っていて 拾った分はまとめてみんなに分配するとか 栗はひとり10個までと決まっているとか 園児の間でまことしやかに囁かれていた。 栗拾い園に行くと いがいがの栗は落ちてなくて つやつやした茶色の栗が 園児のために いかにもわざとらしく ばら撒かれていた。 なんという子供だましだと少し腹を立てて かいちゃんは栗を拾わずにぶらぶらと遊んでいた。 ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.09 Mon 20:10
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