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かいちゃんたちが月見草と呼んでいた花は 実は待宵草(マツヨイグサ)であったらしい。 月がきれいな季節の夕方に咲くし お月さまのように黄色い色だし こどもたちは これこそが月見草だと思っていた。 庭先にもあったが野原にも咲いていた。 つぼみは淡い黄緑色で2センチほどの細長さである。 開く少し前には先っちょが反ったようになって ほんの少し黄色い色が覗く。 いちばん外側の皮をぺりぺりめくると 黄色いつぼみが現れる。 これを「バナナだ」と...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.10.06 Fri 21:08
かいちゃんは運動会が嫌いであった。 駆けっこは遅いし、逆上がりはできないし 跳び箱もとべない子が運動会を好きなわけがない。 勉強ができない子のことを「あほ!」と言うのは してはいけないことと戒められていたが、 運動の苦手な子を「どんくさい!」と言うのは 先生も容認していたきらいがある。 学校全体を紅白に分けるために クラスの半分が赤組、半分が白組になる。 運動のできない子は同じ組になった子たちから 「あーあ」と言われるのである。 ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.29 Fri 18:08
家の前の坂をずんずん下っていくと 千里川という、幅4メートルほどの川があって うっそうと木々に囲まれていたのが 突然開けて、川沿いに家が建った。 ひどい雨台風の翌朝、学校に行くと 「千里川が氾濫して ”あいやん” の家が水に浸かった」 と噂になっていた。 ”あいやん” は勉強のできる男の子であったが やたらに激しやすい性格で すぐにカッカと怒るので 『瞬間湯沸かし器』というあだ名が付いていた。 『水に浸かった』というのがどう...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.26 Tue 18:03
台風の去った翌朝、電線が道に垂れ下がっていた。 あまり太くない木の電柱が傾いていて 黒い電線の端が、たらりと道に垂れている。 集団登校の先頭は 交通安全の黄色い旗を持った6年生の班長さんで 「近づいたらあかんよ!」とすばやく制止する。 言われるまでもなく いかにも危険そうだったので いつもはふざけて叱られている低学年の子も おとなしくまっすぐに歩いた。 学校に着くと先生から 「切れた電線に近づくと感電します。 死んでしまうこともあ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.23 Sat 20:06
台風で断水したことを鮮明に憶えている。 「給水車が来たよー」と近所の人が声をかけて回って、 玄関を出てみると家の前の空き地に 小型のタンクローリーのような自動車が停まっていた。 姉たちがいたかどうかは憶えていないのだが、 母がバケツを持って水を貰いに行こうとしている。 少しでもたくさん欲しいから ちっちゃな かいちゃんも『やかん』を持たされた。 暴風雨は去ったあとだが まだ雨が降っているので 両手が使えるように黄色い雨合羽を着せられた...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.21 Thu 17:10
台風で停電になった夜に 姉たちとトランプをした記憶がある。 かいちゃんが小学校三年生の頃には 上の姉はもうお勤めをしていたので、 姉妹が三人揃ってトランプをしたのは それ以前のことだったと思う。 その頃にはまだ家にお風呂がなくて 夕飯を食べ終わっても停電が続いていて することもないのでトランプを始めたのであった。 かいちゃんはまだルールがよく分からなくて ババ抜きと神経衰弱くらいしかできない。 ポーカーと”しちならべ”...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.18 Mon 17:25
台風で停電になった夜に 姉たちとトランプをした記憶がある。 かいちゃんが小学校三年生の頃には 上の姉はもうお勤めをしていたので、 姉妹が三人揃ってトランプをしたのは それ以前のことだったと思う。 その頃にはまだ家にお風呂がなくて 夕飯を食べ終わっても停電が続いていて することもないのでトランプを始めたのであった。 かいちゃんはまだルールがよく分からなくて ババ抜きと神経衰弱くらいしかできない。 ポーカーと”しちならべ”...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.18 Mon 17:25
秋になると台風がやってきて 台風が来ると停電になった。 停電になるのは分かり切ったことだし お風呂も炊飯器もほとんどがガスだから 不便なのは灯りくらいのものである。 ろうそくに火をつけて お皿の上に ”ろう” をぽたぽたと垂らし、 ろうが熱いあいだにろうそくを立てる。 ろうそくの灯りはゆらゆらと揺れるので 人が動くと部屋中が伸びたり縮んだりして いつもとすっかり違って見える。 お風呂に入るときは湯船のふたを半分閉めて ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.15 Fri 18:14
『秋の日は 釣瓶(つるべ)落とし』と母はよく言った。 「あっという間に暗くなるから早く帰ってくるんやで」 という言葉があとに続く。 どうして秋の太陽は早く沈むのか、説明を求めたが 「昔からそうなんや」としか答えてくれなかった。 確かに暗くなるのが早くなって いつまでも遊んでいられた八月とは違う。 夕方になるとどこかのお寺の鐘が ごーんとかすかに響いてきた。 暗くなるのがちょうどその頃だったからだろう。 『つるべ』というのは...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.12 Tue 21:33
虫が好きだったわけではないが こおろぎは飼った覚えがある。 学研の「科学」という雑誌をとっていたから 付録に飼育箱が付いていたのだと思う。 プラスチックの四角い透明な箱で、 蓋は緑色で空気が通るようにしましまだった。 土を3センチくらい入れて こおろぎを入れる。 なすとかきゅうりとか、すいかの皮が食事である。 「じかに土に付くとカビたり腐ったりする」 と姉が言うので、 爪楊枝に刺して土から浮くようにした。 すぐに干からびるので結構こ...
あべゆかり の 回想法ノート | 2017.09.08 Fri 19:03
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