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芥子の花 金春屋ゴメス(西條奈加)

上質の阿片が江戸国から日本へ、そして海外へ。老中は南北奉行、そして長崎奉行に探索を命じた。長崎奉行のゴメスこと馬込播磨守寿々は、異人の村麻衣椰村が怪しいと目をつけるが・・・。 ご存知「金春屋ゴメス」。今回は阿片をめぐる物語。一善飯屋「金春屋」の裏手に、通称「裏金春」と呼ばれる長崎奉行所出張所があり、ゴメスや配下の者たちが起居しているという設定は前作と同じだ。またおなじみの人たちに会えた。今回も悪に完全と立ち向かうゴメス。このキャラクターは、笑える。ドタバタなところもあるが、悪の手先になる...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:10

風に舞いあがるビニールシート(森絵都)

ビニールシートが風に舞う。暴力的な風で引き裂かれないうちに、彼方へ飛ばされないうちに、誰かが手を伸ばして引き留めなくては・・・。それが口癖だったエドは、アフガンで命を落とす。失意の里佳を救ったのは?表題作を含む6編を収録。 誰にでも大切なものがある。それが、他人から見れば何の価値もないもでも、必死で守ろうとする。この作品に出てくる人たちはみんな不器用な生き方しかできない人たちだと思う。その不器用さが本人たちを苦しめている。だが、時としてその不器用さは、思わぬ結果をもたらすこともある。誰も...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:09

桜さがし(柴田よしき)

季節外れに咲く桜を探す女性。そこには、ある事件の容疑者ではないかとの疑いを晴らそうとする切実な思いがあった。表題作を含む8編を収録。 京都を舞台に、中学時代の同級生男女4人と恩師で推理作家となった浅間寺龍之介の交流と、ミステリーを織り交ぜた作品だが、ミステリーと青春小説、どっちつかずで、どちらも中途半端な気がした。4人の抱える悩みはどこにでもあるようなものばかりだし、事件の謎解きも平凡。今までに読んだようなものばかりだった。4人それぞれ悩みながら、成長していく姿は印象的だったが・・・。あ...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:09

ハードボイルド・エッグ(荻原浩)

探偵稼業も楽じゃない。探偵になって3年になるのに、いなくなった動物探し専門のような状況。その状況を変えようと秘書を雇うことにしたのだが・・・。笑える、泣ける、ハードボイルド(?)作品。 俊平の秘書としてやってきたのは、送られてきたダイナマイト・ボディの写真とは似ても似つかぬお婆さんの綾。凸凹コンビだが、息は合ってないようでちゃんと合っている。ドタバタの笑える話かと思ったが、後半にはとんでもない事件が待っていた。真相を探るうちに見えてきたのは、思わぬ事実。俊平と綾にも危機が迫る。後半はちょ...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:09

ひとがた流し(北村薫)

「ずっと友だち。」少女時代とは違い置かれている環境はさまざまだけれど、千波と美々と牧子は友情を育んできた。ある日彼女たちに、思いがけないことが起きる。その時3人は・・・?心温まるけれど、ちょっとせつない物語。 中学や高校時代の友情が大人になってもずっと続いているのは、とても素敵なことだ。卒業、進学、就職、結婚などで、知らず知らずのうちに疎遠になってしまうことのほうが多いのに。千波と美々と牧子の関係はとてもうらやましい。くっつき過ぎず、離れ過ぎず、適度な関係を保ち続けている。でも、お互いが...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:09

下北サンデーズ(石田衣良)

貧乏だけれど、夢を追い続けている劇団「下北サンデーズ」。そこに18歳のゆいかが入団した。2年ぶりの入団者♪ それがきっかけか?下北サンデーズに大きな転機が訪れる。 貧しくてお金もないけれど、夢を追い続ける人たち。そしてその夢が少しずつかなっていく・・・。手に入れたものは大きいけれど、反面失ったものも大きかったと思う。だが、彼らはまだまだ夢を追い求めていく。明るく、楽しく、そして「下北サンデーズ」の団員たちも個性豊かに描かれていて、読んでいて心地よかった。ただ、彼らがどんな演技をしたのか、も...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:08

銀の砂(柴田よしき)

娘妙子や珠美の恋人にまで手を出す藤子。一度は秘書をやめた珠美だったが、結局は離婚後に藤子と関わるようになってしまった。だが過去に恋人を藤子に奪われたという思いは強く残っていた。珠美の恋人はその後藤子とも別れ失踪する。失踪の背景には何が隠されているのだろうか・・・。 最初はどろどろとした人間関係の話かと思ったのだが、後半はミステリーに・・・。登場人物一人一人が個性的で、その心理描写は恐ろしいまでに詳細に描かれている。人の心の中にうごめく得体の知れないもの。それは嫉妬、ねたみ、恨みが凝縮され...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:08

銀の犬(光原百合)

リネットに忠実だったはずのクーが、リネットののど笛を噛み裂いた!「クー」は「猛犬」を意味するが、その名の通りの犬だったのか?祓いの楽人(バルド)オシアンと連れのブランが知った真実とは?表題作を含む5編を収録。 いにしえの物語?ファンタジー?作者の描く世界は不思議な雰囲気を持っている。5編どの話にも登場する祓いの楽人オシアンと連れのブランは、竪琴を奏で、さまざまな思いを残し地上にさまよう魂を解き放つ。人の心は強くもあり脆くもあり・・・。そして時には、疑い、憎しみ、ねたみでゆがむこともある。...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:08

雨のち晴れ、ところにより虹(吉野万理子)

ホスピスに入っている剛志は、小学生のときに起こった衝撃的なできごとのせいでトラウマになっていた。夢を見てうなされる時も・・・。あのときのアヤはどこにいるのか?表題作を含む6編を収録。 つらくて心が重いと感じていても、ちょっと考え方やものの見方を変えるだけで、心が軽くなることがある。表題作に登場する剛志は不治の病。毎日、死を待つだけの生活を送っていた。しかし、ある日彼は前向きに生きようと決心する。剛志がトラウマになるほどのできごとを、アヤは今どう思っているのか?その真相にはあ然とし、そして...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:08

スペース(加納朋子)

駒子から瀬尾に送った手紙。「前略はるか様」で始まるその手紙にも謎はあるのだろうか?瀬尾は、行間からにじみ出る何かを感じ取った・・・。「スペース」「バックスペース」2編を収録した、駒子シリーズ第3作。 長い長い手紙。そこに書かれているのは毎日の何気ない日常。だが瀬尾はいつものようにそこに隠された真実を探り当てる。誰が書いた手紙なのか?その謎が分かったときもそれほど意外な感じはしなかった。「スペース」は平凡なストーリーだと思った。だが、「バックスペース」を読むと、「スペース」自体が深みのある...

のほ本♪ | 2014.12.18 Thu 14:08

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