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短いお話です。 むかし、ある村に、貸し椀淵と呼ばれる深い淵がありました。村人たちは、振る舞いごとがあってお椀がいる時には、淵の貸し椀淵様に、お椀を貸してくださいとお願いしました。 すると椀を使う日の朝方お願いしていた通りの数のお椀が用意されているのです。村人たちは用が済むと必ずお礼を言って借りていたお椀を返しました。 ところでこの村には、何年も子どもの授からない女房がいました。あるときこの家でお客を呼ぶことになり、貸し椀淵様にお椀を借りにお願いに行きました。 翌朝、女房は、淵に行...
'ものがたり'散策 | 2018.05.06 Sun 18:26
短いお話です。 むかしある山里に、じいさまとばあさまが美しい娘と暮らしていました。 ある日じいさまとばあさまは、娘の嫁入りに着る晴れ着を買いに町へ出かけました。娘はひとり留守番をしながら機を織っていました。そこへ山姥が訪ねてきて戸を開けろと言います。 娘は恐くて声も出せず、家の中でじっとしていました。山姥は返答がないので、終いには自分で戸を開けて入ってきました。そして山姥は、娘に、腹がへっているから米を炊けと言いました。娘は言われた通り米を炊きました。 米が炊けると山姥は、にぎりめし...
'ものがたり'散策 | 2018.04.29 Sun 18:36
むかし、旅の六部(法華経を納めて諸国霊場を巡礼する行脚僧、回国行者)が国中を旅して、ある村にやって来ました。村はちょうど秋祭りで、六部は、行く先々で餅を振る舞われました。けれども村一番の長者の家に行くとその家だけは静まり返っていました。 この村では、毎年、秋のお米の収穫が済むと、真夜中に屋根に白羽の矢が立った家から、娘をひとり村の八幡様に人身御供に差し出さなければならないという決まりがあり、もしその決まりを破れば村中の田畑が荒らされるというのです。そして今年は、とうとう長者の家の屋根にあた...
'ものがたり'散策 | 2018.04.22 Sun 18:21
むかしあるところに、とても貧乏な家がありました。父さんはとうに死んでしまい、母さんは一生懸命働きましたが、自分が食べるので精一杯。三人の子供を養いきれませんでした。それで泣く泣く子どもたちを山へ捨てることにしました。 母さんは子供を山に連れて行き、ここで待っておいでと置いてきぼりにします。子どもたちは辺りが暗くなっても母さんが戻ってこないので上ふたりの兄さんは泣き出しました。 すると末の弟が、泣いたってしょうがないと言って木に登り、明かりを見つけると、兄さんと共にそこを目指します。 ...
'ものがたり'散策 | 2018.04.15 Sun 18:21
むかしあるところに、父親と、一郎、二郎、三郎の三人兄弟がいました。ある時父親が重い病気にかかります。医者は「なら梨の実を食べなければ助からない」と言いました。 なら梨というのは、大きな山を三つ越えていかなければ手に入らない珍しい梨の実で、今までそれを取りに行って無事戻ってきたものはいませんでした。けれども一郎が握り飯を持って、なら梨の実を取りに出かけました。 道は、行けども行けどもうす気味の悪い山道です。途中、道端で、羽を痛めたすずめが、ばたばたと苦しんでいました。けれども一郎はそのすず...
'ものがたり'散策 | 2018.04.08 Sun 18:21
むかし、村の八幡様の境内に、何百年もたった松の大木が並んで立っていました。村人たちはこれを、夫婦(めおと)松と呼んで大切に敬っていました。 ある年の春、この夫婦松が、松蔵と松代という人間になってお伊勢参りに出かけました。ふたりはお参りを済ませると伊勢の宿屋に泊まりました。宿帳には「越後の松蔵、松代」と書きました。 ところが翌朝夫婦は、宿の主人に、旅でお金を使い果たしてしまい支払いができないから、宿賃分働かせてくださいといいます。主人は忙しく人出が必要だったので、ふたりに働いてもらいま...
'ものがたり'散策 | 2018.04.01 Sun 18:13
むかし山のお宮に大きないちょうの木がありました。あるときこの大いちょうが切られることになって、五、六人の木こりが力を合わせて切りにかかりました。けれども太い幹は一日では切り倒すことができません。続きはあしたにしました。 ところが次の朝、木こりが来てみると、いちょうの木の切り口は元通りにふさがっていました。おかしなことがあるものだと思いながらも、木こりはまた切り始めますが、やはり一日では切り倒すことができません。また明日ということになりました。 しかし、翌日木こりが来てみると、また切り口は...
'ものがたり'散策 | 2018.03.28 Wed 22:47
むかし、ある秋の日のこと、村の子どもたちがお堂で遊んでいました。するとそこに、見たこともないよその人が、ぶらりとやってきました。 そして、その人は、お堂で遊んでいてもなにも食べるものがないだろう、栗や柿や梨のなっているところに遊びに行きたくはないか、いくらでも食べさせてやる、と言いました。 子どもたちはそれを聞くと口々に、それが本当なら行きたいと騒ぎ立てました。男は本当だとも連れて行ってやると言って、尻からしっぽのような長いものを引っ張りだし、子どもたちを乗せました。 すると男は、たち...
'ものがたり'散策 | 2018.02.16 Fri 19:08
むかしあるところに、いたちがおりました。あるときいたちは、村のお稲荷さんの裏を耕して、新しい畑を開き、そこに粟をまきました。 いたちが丹精込めて手入れしたかいがあって、粟にはふさふさと実がなりました。いたちは喜んで明日刈り入れようと家に帰りました。 ところが次の日、いたちが畑に行ってみると、粟は誰かにすっかり刈り取られて、なにもありません。いたちは怒ります。 いたちは、誰が盗んだのかと、その辺を歩いていると、小さなねずみが赤ん坊をおんぶして子守をしています。 そして、「かかあ、か...
'ものがたり'散策 | 2018.02.15 Thu 19:01
むかし、猿とかにが、いっしょに山へ遊びに行きました。山を登って行く途中、猿は柿の種をひとつ、かにはにぎりめしをひとつ拾いました。 猿は、かにのにぎりめしを見てうらやましく思い、それぞれの拾ったものを交換しようと提案します。猿は、柿の種を植えれば、やがて毎年うまい柿の実が食べられると、その素晴らしさをかにに伝えます。 かには、なるほどと思い、交換に応じました。猿は、あっという間に、にぎりめしを食べてしまいました。 かには早速柿の種を植え、はさみを振りながら、早く目を出さないと切ってし...
'ものがたり'散策 | 2018.02.14 Wed 18:34
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