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日々野さき枝『句集 天馬』(狩俳句会)より

    平成8。 「狩」「達矢」同人。 薄氷を踏みしだきつつ測量士 流れ寄るもの増やしつつ水温む 日も風も弾き返して花辛夷 穭田に突き立てられし売地札 遠山に日の退きて田草取 まだ恋を知らぬ指さき桜餅 白木蓮や鉄扉を閉ざす修道院 住職の背筋正して毛虫焼く 雲の影どつかと坐り山眠る 竹皮を脱ぐに器用と不器用と 飛ばされて鳥にはなれぬ夏帽子 丹念に読み返しつつ文曝す 密ならず粗ならず土手の花芒 指さきに覚えなき傷そぞろ寒 着ぶくれや骨折の腕吊...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.16 Fri 23:06

島田刀根夫『句集 青春』(邑書林)より

    平成19。 無所属。第3句集。 櫻蕊掃いて新任教師かな 教師立ちあがりみな立つ花野かな 寒紅のひとりひとりに鏡あり おでん屋のおやぢなかなか學ありて 亂すまじいま翡翠の水なれば 神官を涼しくしたる袴かな 防人を立たせし磯に遊びけり 鳥威いま風のほかなにもなく 目の見えぬ人黄落の音のなか 子を濱にのこして海女の霞みけり 老鶯に近づいて海遠ざかる 仕事なき日はたゞ歩く源五郎 かたちよき石に日傘のまゝ坐る 黄の帶の岩波文庫夜の秋 首あげて風に...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.10 Sat 00:21

第374回坐忘会 令和4年長月句会

 開催日:令和4年9月4日(日)  場 所:本堂 居士寮  参加者:11名  投句者:5名    急に秋の近づきを感じる朝夕となりました。前回少なかった参加者も今回はいつもの人数となり、秀句の多い会でした。  最高得点者はダントツ ”のりこさん”でした。  今回の兼題は「稲妻」「名月」「女郎花」     ------各自の高得点句を紹介します。--------   ※飯盒のめしよく炊けて女郎花  幽谷先生  古希迎え逝くも帰るも秋の風  霞山老師・        ...

座禅修行だより | 2022.09.05 Mon 14:47

鷲谷七菜子『句集 天鼓』(角川書店)より

    平成3。 「南風」主宰。第5句集。 きたきつねたちまちけぶり樹氷林 喉ふかきところよりこゑ桜守 色鳥のあとかたもなし白磧 鹿の子のひとりあるきに草の雨 須弥壇のちりもとどめぬ大暑かな 秋風に神馬が放つ鼻ぶるひ 春眠の顔なきがらとなりにけり きさらぎの人に死なれし顔洗ふ 竹の皮こぼれてきたる高さかな 読みさしの栞いく日秋の蝉 爽涼の一餉の箸を置きにけり 灯を消してよりありありと初昔 白梅に風のはなれぬ日暮かな 年明くる鳥の高音が夢に入り ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.01 Thu 22:36

山本直一『句集 鳥打帽』(編集工房ノア)より

    2014年。 「船団」会員。第一句集。 鳥打帽ぬいで祭りだはちまきだ 楠の木を二人で抱いて天高し 屠蘇交す娘が父と呼ぶ人と 宮の春「産まれました」のよだれかけ 地に落ちし躑躅が躑躅見あげをり 耳垢のふえた気のする昼寝覚 「オレ、たのしかったから」と夏が行く 春風や腹話術氏の腹くしゃみ 母の日の母の寝息と添寝する 黴を拭くトランペットのラが低い 朝寝して昼寝早寝よ生身魂 旧姓で呼ばれにっこり生身魂 石蕗満開妖怪文化研究所 元旦や多数決にてピザの...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.08.28 Sun 23:47

『大橋敦子集(自註現代俳句シリーズ?期8)』(俳人協会)より

    昭和61。 「雨月」主宰。 生れたるのみのふるさと盆の月 日の匂ひある子の髪を洗ひやる 枯木中落つる月のみ色持てる 虹に立つ少女直ぐなる髪垂らし ちる花に撮られゐる笑みつくりをり 降る雪に楽器沈黙楽器店 噴水に光と風の集れり 月鉾の月烈日に一閃す わが夜長母の夜長と別にあり 雪沓をすつぽすつぽと抜き歩む 竈猫みごもりをりてふてぶてし 切尖を円心に立て聖菓切る 寒卵割りひとり旅ひとりの餉 日本にひらがなの美や星祭 七五三叔母の最も化粧ひたり ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.08.21 Sun 23:06

鷲谷七菜子『句集 水韻』(ふらんす堂)より

    1990年。 「南風」主宰。第5句集。 映し得ぬ身の内側や水澄みても わが独語水に沈みて秋の蝉 極寒の瀧音ひびき土不踏 枯れきつて水の匂ひの芦となる 月光を得しより川の奔りそむ 影のごと人去りゆけり氷り瀧 川幅が余すひかりの猫柳 川ばかり踊りて木曽の月あかり 鯉の金しづめし水の冴ゆるかな 山棲みに光る水増え梅真白 田水張つて空のおもさの加はりぬ 消えてゆく波のあかるし法師蝉 今生の光におぼれ浮寝鳥   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.08.18 Thu 22:24

第373回坐忘会 令和4年葉月句会

JUGEMテーマ:俳句    開催日:令和4年8月7日(日)  場 所:本部道場 南寮  参加者:8名  投句者:3名    今年の夏の暑さは格別。その為でもないでしょうが、最近になく参加者も投句者も少なく、句数のとても少ない句会となりました。  最高得点者は ”玄妙さん”でした。  今回の兼題は「雲の峰」「浴衣」「蝉」     ------各自の高得点句を紹介します。--------    図書館も恋のベンチも晩夏かな 幽谷先生  蝉がらは風も吹かずに落...

座禅修行だより | 2022.08.17 Wed 18:15

『橋本鶏二集(自註現代俳句シリーズ?期10)』(俳人協会)より

    昭和53。 「年輪」主宰。 ふる雪や機械しづかに鐡を切る 水馬はじきとばして水堅し 瀧風に巫女のあそべる巌かな 鳥のうちの鷹に生れし汝かな 菊の前静かにたまる落葉かな 冬濤の摑みのぼれる巌かな 秋燕の羽をたたみてながれをり 冷やかにただ一言の美しき 藁束に置きし砧の槌しづむ 若布刈海女帆綱に凭りて髪を梳く 雌狐の尾が雄狐の首を抱く 音もなく星の燃えゐる夜学かな 打たれたる雉子日輪を放れつつ 濡れてゐし雨の椿をいま憶ふ 石人の石の袂...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.08.13 Sat 22:41

『詩歌の森』にて浅川芳直さんに拙句ご紹介いただきました

JUGEMテーマ:俳句 こんばんは、なのめです。   日本現代詩歌文学館の館報『詩歌の森』第95号 俳人の浅川芳直さんがお書きになった文学館活動時評『きたかみ鬼の国・俳句フェスティバル』文中にて 下記の拙句を引いていただきました。   蜘蛛の糸引いて蜘蛛ではないもの来   時評のタイトルでもある俳句フェスティバルで 夏井いつき先生、神野紗希先生に取っていただいた入選句です。   浅川さんは動画でフェスティバルのようすを視聴なさったとのこと。 時評を読む...

なのめのめ | 2022.08.11 Thu 22:23

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