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本田俊子『句集 光のうつは』(文學の森)より

    平成25。 「塊」同人。第2句集。 ゆきずりに櫨のもみぢのひとひらを たんぽぽや臍ぽかぽかとしてきたり 秋蛍闇の柱をのぼりゆく 鶴帰る空を貫く道のあり いちじくを割れば胎蔵曼荼羅図 虚子の忌や晩年にして見ゆるもの 三伏や砂流れゆく砂の上 天空に浮かぶ地球や春炬燵 青年のもの食ふ速さ雲の峰 さつまいも戦無き夜をとこしへに   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.03.15 Wed 00:21

第380回坐忘会 令和5年弥生句会

JUGEMテーマ:俳句    開催日:令和5年3月12日(日)  場 所:本部道場禅堂 南寮会議室  参加者:8名  投句者:7名    いっきに春の訪れを思わせる気候となりましたが、開催時間の変更などもあり参加者が少なくなりました。その分、選評にも十分に時間を掛けることができ、充実した会となりました。  最高得点者は”のりこさん”でした。  今回の兼題は「朧月」「夕霞」「蒲公英」   ------各自の高得点句を紹介します。--------    たんぽぽの...

座禅修行だより | 2023.03.14 Tue 09:39

じゅんさい池公園あれこれ

JUGEMテーマ:俳句   道場近くのじゅんさい池公園は皆様お馴染みかと思いますが、句会(坐忘会)で「国分沼」と呼んだところ、多くの人々がご存じなかったので、少しあれこれご紹介しようと思います。   公園は東の中国分の台地と西の国府台の間の谷間に位置し、周囲約1キロ半、大きさは東京ドーム1.7倍の約8.5ヘクタールの緑地です。中央には南北に細長い池があります。安政5年(1858)発行の『成田参詣記』の絵図には、「国分沼」と記され、南側(つまりバス通り側)に土手、東側に「ジュンサイを出す」...

座禅ブログ | 2023.03.09 Thu 17:18

森節子『句集 稲の花』(東京四季出版)より

    平成21。 「きりん」会員。第一句集。 夜なべする母の背中にもたれけり 花冷や賽銭箱と募金箱 グランドに熱砂残して試合果つ 熱の児に小さき氷片含ませて 囀やヒットの続く草野球 遠き日の足裏で探る蜆取り 秋まつり町会長は大名に 鉛筆の下絵の残る年賀状 白桔梗焼き印深き宿の下駄 残業の小さき窓の良夜かな 冬の虹拍手で終る草野球 高窓の小さき蔵や柿落葉 風邪の児に父の手作り紙芝居 去年今年小児病棟千羽鶴 葉牡丹の渦にのこりし今朝の雨 父の日...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.03.06 Mon 22:47

福田千代子『句集 表裏一体』(文學の森)より

    令和5。 「築港」「玉梓」同人。第1句集。 青春の坩堝となりしキャンプ場 塩鮭の口より塩のこぼれをり 植木市土の匂ひを買ひにけり 木下闇並ぶ木曽塚巴塚 秋桜女らしさは死語となり 凍滝のどこかに水の音したる 一湾の落暉に染まる牡蠣筏 懸想文目でもの言うて売られをり 残り火のなかなか消えず大文字 音を消し色を消したる雪の余呉 見て触れて日毎確かむ吊し柿 扇風機こきこきこきと半世紀 炎天にぶつかり回る観覧車 太陽がいつぱいヨット乱反射 参道に...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.03.03 Fri 23:59

第379回坐忘会 令和5年如月句会

JUGEMテーマ:俳句    開催日:令和5年2月12日(日)  場 所:本部道場 南寮会議室  参加者:12名  投句者:6名    道場の梅も咲き始めました。総裁が巡錫で不参加でしたが、今回も出席者多数で賑やかな句会でした。  幽谷先生のご容態、好転に向かわず、欠席でした。  最高得点者は ”桃雲” でした。    今回の兼題は「梅見」「余寒」「河豚」    ------各自の高得点句を紹介します。--------    梅白し女は無駄な笑いもつ   ...

座禅修行だより | 2023.02.27 Mon 15:40

矢野典子『句集 八朔』(角川書店)より

    平成12。 「運河」「晨」同人。 雪嶺の落日待てるカメラマン 猪の垣筍山へ延長す 松落葉踏めば舟虫どつと出て 陶匠も出て来て見上ぐ時雨空 寒満月右に左にして帰る 水取の冷えを値打といひ合へり ライトバン拠点に散れる蕨狩 鮎釣の長靴二つ折りに持つ 二等船室は午睡の静けさに 耳朶に出し振舞の菊の酒 籾袋落してゆきし車追ふ 膝頭ダルマストーヴにて熱し 喉仏寒九の水によろこべり 涅槃図の穴を見つけてしまひけり 針金の二本が仕猪陥し 黒ホース一...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.02.27 Mon 13:21

岸田稚魚『句集 花盗人』(立風書房)より

  昭和61。 「琅玕」主宰。第6句集。 初雲雀なりやと腰を浮かしたる 母の日の母きよの名のまたはるか 雹跳ねてをりその他の音のなし 終戦日といふ一日を人のみな 陽炎の中にわがをり城消えて 居酒屋の扉が開いてゐて春の月 烏瓜三つほどが見えあとは暮れ 師走選挙投票所杖倒れたる 大寒や巌に雪の食ひ込んで 雪の夜や一灯あれば夫婦寄り 転倒す雪の教会前にして 笑ひごゑ消えしあたりに春茸(はるご)かな 風の出て浮きあがりたるさくらかな 夕鶴の風に対ひて高あるき ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.02.20 Mon 22:44

成井侃『句集 素戔嗚』(角川学芸部出版)より

    2014年。 「対岸」同人。第2句集。 風よりも軽くかまきり生まれけり 反転のあとの攻勢稲雀 ゆつくりと全体移動鰯雲 冬瓜に大愚の相のありにけり 栄螺籠栄螺満たして隙だらけ 荒神輿去りて酒の香ただよへり 退屈な金魚すくひの金魚かな まつすぐに葱抜く力加減かな 枯草の狐色とはぬくき色 初鴉ときに赤子の声発す 野に下る思ひ白梅咲きにけり 朝寝して出雲の鰐の如く居り 鴎外旧居頭の大き蟻走る 藻の花や空気のうまき橋の上 破芭蕉破れしところより枯るる ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.02.16 Thu 23:04

伊藤多恵子『句集 二言』(本阿弥書店)より

    2012年。 「泉」同人。第2句集。 先頭に嬰抱いてくる賀客かな 笹鳴へ夫は眼鏡をはづしけり 捨てたしと思ふ雛の恐ろしき 鱏の来て秋扇はたと止みにけり 溝蕎麦の動かぬ水の流れけり 粧ふ山眠れる山を帰りけり 夜空青くて花片の舞ひにけり 階段のパンジー黄色にて終る 立つも声坐るも声や石蕗の花 きさらぎの一枚岩が川底に リュック一つ置かるる雀隠れかな それぞれの椅子に無言や昼の虫 板の間の夫のごろ寝や終戦日 夜の稲妻障子破れてをりにけり こ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.02.09 Thu 13:32

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