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2015年。 「船団の会」会員。第12句集。 バラの名はマチルダ君は山田さん 冬の木の何本目かはトルコ人 観音の臍出しルック春の雪 だれそれに浮沈があって夏のカバ カバのデカ死んで日本の油照り 秋の今日トロンボーンのボーである カバの目の漆黒が澄む水が澄む 軍艦とおでんとにある喫水線 大野さんになりたい日だな風光る すぐ消える林檎の蜜も決心も 十月の百済観音すっと立つ ハッサクに親指を立て父である なんきんとかぼちゃどっちが好きですか 林檎も...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.31 Mon 12:11
令和3。 「草樹」会員。第1句集。 女より舌を引きだす朧月 滝を見し者より順に声あぐる 読むうちに字の崩れゆく夏見舞 テーブルがただ大きくて夜の長し 歩くうち日の当り出す一葉忌 右向いて左を探すかたつむり のどおくに五臓ひろがる天の川 猪の腹裂く青空を一度見て 男根を携えてゆく火の祭 どの顔も見せぬまま雛流れおり 用終えて明日が祭の町を去る 濁りても透き通りても夏の川 壁という壁は本棚雪催 直角に暑し烏丸丸太町 若冲の大丸に寄る西日かな ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.26 Wed 23:15
令和2。 「未来図」同人。第2句集。 水涼ししばらく知者の貌でゐる 夏逝くやマルクス全集売り払ひ 大寒の闇が鼎のごとく座す ためらはず恋猫となる夕月夜 麦秋やかすかに妬む人の才 くちなしや曲つてみたき曲り角 梅雨の音聴きすぎし身の闇深し 時折は運命論者毛虫焼く 水羊羹ばかり馳走になる日かな ギター抱き少女驟雨の中走る 合宿のざつと重ねし夏布団 酔芙蓉書に倦みてより午後長し 肩越しに寝待月見て別れけり たましひのあはあはとゆく薄原 秋風や...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.24 Mon 22:12
2018年。 「秋草」主宰。第3句集。 金鍔の四つ角かたき薄暑かな 汗の人隣の汗を見てをりぬ 秋すだれ巻き直したる太さかな 独白のやうに蓮の破れをり なにもかも古き簾の内のこと 待つてゐる女が芒持つてゐる さからはぬ子規の妹烏瓜 立春の大きな欠伸ほどうれし さみだれをゆつくりぬけてゆくからだ まるめてはすこしふくらむ紺水着 ふりむいて蟷螂の貌かたむいて 月を待つみんな同じ顔をして 涸るる水少し乱れてより流る 氷柱より光のぬけていくところ 盆...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.16 Sun 22:32
2021年。 「出航」会員。第6句集。 サ行まだ曖昧な子の御慶かな 正の字の正しく燃えて吉書揚 抱き上げて子猫こんなに軽いとは 不等辺三角形の花筏 飛び入りのブレイクダンス花吹雪 蟻の列マーブルチョコの赤運ぶ 聖火のごとソフトクリーム掲げ来る ゆく夏の光閉ぢ込めシーグラス 木枯や薬袋の五角形 寒雷やスティック糊の屹立す 蜜柑描きクレヨンの先丸くなる 鯛焼の尾に箒目のやうな筋 冴ゆる夜や三角錐の予約札 白猫のまばたきのごと梅ひらく 滑り台経由...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.13 Thu 21:44
2019年。 「椎」主宰。第4句集。 触れてみて落蝉に怒られてゐる 花の下空の深さに打たれけり 蝉時雨五體共鳴して止まず 鶏頭は鶏頭のまま立つてゐる 流鏑馬の少年に天高かりき 鴨は鴨鷗は鷗暮れてゆく 平らなる海従へて飾舟 百歳の景色とはこの春の海 つばめつばめ空に漣あるごとし 御嶽も牛も貫禄見せて夏 にこにこと虎魚の鰭の話かな 長加みな空也のごとき口を開け 太刀魚の銀を飛ばして糶られけり 目高にも御慶を申しゐたりけり 雨二日二日...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.05.11 Tue 22:20
1998年。 「耕」主宰。 硝子戸の中の平穏黄落期 ゴーギャンの女等が声鮑舟 川鵜翔つ民話の渕の蒼きこと 身の中を潮が引きゆく秋の暮 轆轤挽く木地師の眉間鵙猛る 寄する波足裏に親し磯遊び いつしかに母の齢や水中花 ラケットを二つ重ねてうまごやし 天地のはざまに瀧をかけ給ふ 膝ついて泉にゆらぐ影と居る 方尺の正座くづさず牡蠣割女 一条の光の天降る野水仙 やはらかき雪にこもりし杉のむら 春雪をふふめば五体けぶるかな 朴散つて天の高さのもどりけり ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.04.25 Sun 22:59
JUGEMテーマ:俳句 第358回 坐 忘 会 開催日:令和3年4月11日(日) 場 所:本部道場 南寮 参加者:11名 投句者:5名 句 数:110句 今回特出のニュースは幽谷先生、久々のお出ましです。 お孫さんの横川八雲さんの付き添いがあって実現しました。 お元気なお姿に皆安堵し、喜び合いました。八雲さんは体格も立派な好青年で、佳句を提示して句会にも参加されました。 今回の最高得点者は常連の“のりこさん”で...
座禅修行だより | 2021.04.17 Sat 11:37
昭和60年。 日のさして今おろかなる寝釈迦かな 踊り子にトマトのこれる畑かな 死近しとげらげら梅に笑ひけり 春の鶴真白き糞を落しけり 秋の野に立つて秋野を見ざるなり みの蟲をかたちづくりぬ夕風は 机上より寒鮒釣の見えにけり 人ごみに蝶の生るる彼岸かな 父の忌にあやめの橋をわたりけり 人間のことのはにとぶ蝶々かな 降る雪に老母の衾うごきけり まつくらに暮れてしづかや寒雀 夢の世に葱を作りて寂しさよ 朝顔や百たび訪はば母死なむ 或る高さ以下を自由に黒揚羽 ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.04.12 Mon 12:15
昭和56。 「ひこばえ」同人。第1句集。 動くものわがほかになし墓洗ふ 啓蟄の玉砂利あらく踏みにけり 読みのこす「女の一生」葱きざむ 閉経す野火跡に雨けぶりゐて 天炎えて孤に徹しゐる大鳥居 石舞台炎昼の蝶ながれもす 西日中鴉あくまで一杭に 黒牛の一声ふとく風花す 水鏡いちまいひそめ草茂る 鳶・鴉たたかふを見て夏をはる 追いひつけぬもの大寒の男の歩 篁は風を離さず年ゆけり 春愁の十指組みては解ぐしては 掌に木の実一語を珠とあたためて みみ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2021.04.06 Tue 12:40
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