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1998年。 五月雨やけふも上野を見てくらす 絶えず人いこふ夏野の石一つ 我が袖に来てはね返る螽かな 六月を奇麗な風の吹くことよ 行く我にとゞまる汝に秋二つ 漱石が来て虚子が来て大三十日 夏嵐机上の白紙飛び尽す いくたびも雪の深さを尋ねけり 元日や朝からものゝ不平なる 御仏に供へあまりの柿十五 三千の俳句を閲し柿二つ 柿喰ヒの俳...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.10.10 Mon 22:55
2000年。 「泉」同人。第2句集。 死にかけてをるといふ田を起しけり 形代に大中小のなかりけり 生れたる仔馬勾玉坐りして いま渡りくる白鳥のけむりいろ 苗札のまだ雨知らぬひとならび 風鈴にためらひがちに寄る風ぞ 担ぎ女の高荷の通る木槿かな 湯屋のれんたくしあげあるまつりかな 一と枝をあまさずわたり青大将 鎌先で寄せ草刈の蔓のもの 川づらを昏むる凧の五十帖 赤ン坊の大いに泣ける凧戦さ 身ぐるみを剥いで背負子や鮑海女 がたぴしと引きて露けき大戸か...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.10.09 Sun 23:36
平成20。 「きりん」会員。 鮟鱇鍋眼鏡かけたりはづしたり 草を刈る背中合せとなりにけり 白菜を手掴みにして鍋奉行 朝立ちは律儀な儀式葱坊主 さくらんぼ妻にもつまむもののあり 湯豆腐やちよんの間のある隠れ宿 熱燗やまだ負けぬ気でをるつもり 毛皮着て人のやうなる女来る 行く春や耳をあづけし膝まろし 水羊羹喰べて色恋ぬきの仲 JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.29 Thu 21:25
2009年。 「運河」同人。「晨」同人。第4句集。 雷と名を持つ滝の飛沫かな ちよろくさきことは言ふまじ瀧氷柱 大旦昨日の山河なるがよし 向きを替へこゑを変へては囀れり 雑念の絶ゆることなし草を刈る 岩頭に立ち輝ける裸の子 自然薯を掘りたる穴を見て褒むる 継ぐ子息あり宇陀紙の天日干し 若水は渓より汲むを慣ひとす 椅子提げて漁港に来たる夕涼み めでたくも岩戸を抛る神楽かな とんとんと釘を打つ音年の暮 亡骸の妻と二タ夜の寒さかな 寒の土用の黄泉平...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.26 Mon 23:34
昭和51。 「青」同人。第1句集。 讀み始め讀み終りたる夜長かな 緑蔭の蝶飛ぶほどの廣さかな 秋晴の土運ばれて来て匂ふ フィヒテ全集鐡片のごと曝しけり 春暁やひつきりなきは赤子の香 赤んぼの溺れる乳房夜の牡丹 扁額へ一氣に朝日鴨の聲 蒼天に國を分ちて氷る山 湖國晴れ寺の中まで大根干す 雨長しむらさきもある山紅葉 狐火や宿の廊下の大撓み 満月に落葉を終る欅あり JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.25 Sun 21:07
2009年。 「運河」同人。第2句集。 梟の仏眼にして居眠れり サングラス横顔なれば目玉見ゆ 天も地も正岡子規の忌なりけり 間違つて肩たたかれし春の暮 プールに入る聖母のごとく子を抱き 暮石の忌瓶を剥がれてラベル泛く 踊りけりをんなのものを身にまとひ 餓鬼を吐くごときに咳きてゐたりけり 放蕩の詩を選びたる試筆かな 涅槃古図縮小されて釈迦その他 とびおりて影やはらかき雀の子 帰るべく腋やはらかく泳ぐなり 敷き氷手で平しては河豚を置く J...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.20 Tue 21:02
2022年。 俳人協会幹事。第1句集。 寒灯や高麗仏の胴細し 竹林を這ひくるにほひ雨水かな 白玉や店の奥より水の音 婆たちの余興となりし田植唄 朝涼や杉の丸太の晒されて 冬立つやセーラー服の二本線 見覚えのある冬帽子こゑかけず 寒晴や背中合はせのストレッチ 鳥帰るけふ閉園の観覧車 入学す立て看板に囲まれて のどけしやボンタンアメの箱の色 遠足のしんがりを行く拡声器 学校に慣れて来し頃柿若葉 ゆつくりとミシン踏む母茄子の花 涼しさの奥へ奥へと...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.19 Mon 22:16
平成8。 「狩」「達矢」同人。 薄氷を踏みしだきつつ測量士 流れ寄るもの増やしつつ水温む 日も風も弾き返して花辛夷 穭田に突き立てられし売地札 遠山に日の退きて田草取 まだ恋を知らぬ指さき桜餅 白木蓮や鉄扉を閉ざす修道院 住職の背筋正して毛虫焼く 雲の影どつかと坐り山眠る 竹皮を脱ぐに器用と不器用と 飛ばされて鳥にはなれぬ夏帽子 丹念に読み返しつつ文曝す 密ならず粗ならず土手の花芒 指さきに覚えなき傷そぞろ寒 着ぶくれや骨折の腕吊...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.16 Fri 23:06
平成19。 無所属。第3句集。 櫻蕊掃いて新任教師かな 教師立ちあがりみな立つ花野かな 寒紅のひとりひとりに鏡あり おでん屋のおやぢなかなか學ありて 亂すまじいま翡翠の水なれば 神官を涼しくしたる袴かな 防人を立たせし磯に遊びけり 鳥威いま風のほかなにもなく 目の見えぬ人黄落の音のなか 子を濱にのこして海女の霞みけり 老鶯に近づいて海遠ざかる 仕事なき日はたゞ歩く源五郎 かたちよき石に日傘のまゝ坐る 黄の帶の岩波文庫夜の秋 首あげて風に...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.09.10 Sat 00:21
開催日:令和4年9月4日(日) 場 所:本堂 居士寮 参加者:11名 投句者:5名 急に秋の近づきを感じる朝夕となりました。前回少なかった参加者も今回はいつもの人数となり、秀句の多い会でした。 最高得点者はダントツ ”のりこさん”でした。 今回の兼題は「稲妻」「名月」「女郎花」 ------各自の高得点句を紹介します。-------- ※飯盒のめしよく炊けて女郎花 幽谷先生 古希迎え逝くも帰るも秋の風 霞山老師・ ...
座禅修行だより | 2022.09.05 Mon 14:47
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