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平成3。 「霜林」同人。第2句集。 Tシャツの胸の横文字知らず着る 宿直の一人のための虫しぐれ 露天湯に女入るたび月融ける 皮むいて梨の球形掌にのこる コスモスへ跳び込みし犬呼んでゐる 日本海より風が来て日本晴 伐る話ある大榎小鳥来る ジーンズの何と窮屈松手入 露といふ白一色も動きをり 浮子動かざれば秋色水に在り 本物の月曽根崎に近松忌 海時雨女坐りの駱駝立つ 百僧の経一僧の咳まじる 唇をひらくはなびら餅のため 黒よりも硬き白髪寒の極 ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.28 Thu 00:41
昭和44。 「雲母」主宰。第4句集。 風吹いて月よみがへる梅雨の町 バイブルは常に重き書夜の秋 秋の蝉まつはる入日解きがたし 落葉踏む足音いづこにもあらず 遺書父になし母になし冬日向 亡き母の草履いちにち秋の風 大根を抱き碧空を見てゆけり 冬の灯の消されてきえる児童の絵 山々のはればれねむる深雪かな どの子にも涼しく風の吹く日かな 秋風に病躯うしろを見せてゐる いづこにも冬日いちにち来給はず 左手より冷たき右手の月明り 絶壁に蒼空切られすみ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.17 Sun 23:58
平成16。 第2句集。 冬波に向へばあつきわがめがしら 鶴渡る大地の阿呆日の阿呆 蝶ひかりひかりわたしは昏くなる 炎天の巨きトカゲとなりし河 鱗雲 流れ弾きて流れたり 蒼天のキンキンと鳴る釘をうつ 一輪のきらりと花が光る突撃 枯原の風が電車になつてくる JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.17 Sun 00:12
昭和42年。 第2句集。 一本の鞭にて野火をただすなり 炭小屋に汚れて事を忘れる母 子の下宿さはれば物の強き凍 舟を漕ぐのけぞる方に花万朶 白障子までひとすぢに畝起す 花野より天に四足を駈けし犬 なき母の声あかぎれの割目から 少年の鞄ぎつしり雪の遅刻 裏で悴み曲馬団湯茶をのむ 抽斗を引けばかすかな涼気たつ 汗かきて大阪の母甘酸つぱ 一塔婆一死に増えてきりぎりす 遠吠や銀河に小窓一つあく JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.10 Sun 23:36
1955年。 「寒雷」主宰。第2句集。 沈黙の金、玉蟲と夕焼と 唖蝉や鳴かざるものは暑くるし 黄金蟲灯に酔ひ兜蟲は攀づ 黴の中言葉となればもう古し 石の蝶金色すべく没日まつ しぐれをきし額をもつて熱診られ 落葉何かに辿りつかんと光るなり しづかなる力満ちゆき螇蚸とぶ 胸の書が音してひらく秋の風 雪は雫に夜は妻の手あたたかし JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.08 Fri 00:22
昭和55。 「かつらぎ」主宰。第2句集。 お遍路の合掌ながく且つかたく 雲海に指の穴ほど日本海 彼処焼け此処のこる街卒業す 解夏の門斯くも大きく開かれし 北窓を開け父の顔母の顔 風花の我より君に逃ぐるあり 足音が固まつて来る寝釈迦かな のびちぢみしてのびてゆく浪涼し 生身魂きざす涙を笑ひ草 夜学の師一語吃りて又一語 そぞろ行くここらが月の瓶原 しぐれつつ路傍の石も成仏す 投げし音耳に反りし慈善鍋 高き画架低き画架組むさくらんぼ 手に細り...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.07.02 Sat 21:50
昭和46。第3句集。 桃の花こぼれし死後の長廊下 太宰忌の支線岐れて郷に入る としよりの後手恐き稲雀 看護婦は春蚊捕へて血を見せず 母達や数珠繰るごとく栗を選る 天蓋に八面玲瓏大ざくら 前足の手をつきあはれ雪を這ふ 笛吹きて嫁どり知らす稗の秋 ダムのぞく霧の中より顔出して 花屑に手をやる髪に知らされて たたへたる白息出して心吐く 露けくて蚊を合掌の音に打つ 花吹雪わが急診の先走る 多佳子忌や峯雲小突き合ひながら 草の花羊は蹴らず躓かず ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.06.26 Sun 00:20
昭和53。 「風」同人。第6句集。 白鳥はおほかた眠る白鳥湖 白鳥に到る暮色を見届けし 梅を見て空の汚れのなきをほむ 牡丹に雨の荒れざまのこりたり 奈良大路洗ひ流せし大夕立 雲の峰一言主の森に生れ 雲ふるるばかりの花野志賀の奥 深山蝶この楽園の外知らず 野分あとひとり歩きに日あまねし 神事すみぬすびと萩の道帰る 老い桜落花は己が身に降りて 冬の梅林すだれの如く日ざし来て JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.06.24 Fri 19:51
JUGEMテーマ:俳句 開催日:令和4年6月12日(日) 場 所:本部道場 南寮 参加者:11名 投句者:5名 朝夕は梅雨寒を感じる日、総裁、光舟さんは欠席でしたが、いつものメンバーが集いました。妙珠さんが高得点を上げ賞品をお持ち帰りになりました。 最高得点者はまた”のりこさん”でした。 今回の兼題は「梅雨」「紫陽花」「鮎」 ------各自の高得点句を紹介します。-------- 人去って紫陽花の色動きけり 幽谷先生 ...
座禅修行だより | 2022.06.20 Mon 18:01
昭和52。 「氷海」主宰。第4句集。遺句集。 禁書冴ゆ赤鉛筆の削り粉も 一面の霜種牛が床を蹴る 殺されて流れきし蛇長すぎる 七夕や履いて石噛む妻の下駄 瀬を跳んで青年櫛を落す夏 頁繰る音も別れに似て冴ゆる 狂院のどこもちがはぬ鍵の冬 投げあげて旅の空透く虚栗 菊の胸葬火に消えてしまひけり 海しぼる双眼鏡の西東忌 蜜柑盗みに山猿がくる雨がくる 盲目の声はねかへす霜の崖 木の実踏む庵をめぐりて四十歩 墨すつて昼暗くせり雪催 闇汁やはさみて鼻...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.06.14 Tue 23:18
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