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飯島晴子『句集 朱田』(永田書房)より

    昭和51。 「鷹」同人。第2句集。 韮一本われの眼を扇ぐなり 泊船に真近く夏の唇とほる 夏蜜柑別のひかりに人坐る 子を産んで射干の朱を見て居りぬ 冬の枝はなれて熱き赤子擁く 紅梅のなかに入つてゆく眼光   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.19 Thu 12:55

木田千女『句集 お閻魔』(角川書店)より

    平成20。 「天塚」主宰。「狩」同人。第5句集。 兜太派も狩行派もゐて初句会 行き過ぎかいや生き足らぬ雑煮餅 酒きらひ男もきらひ白浴衣 粥すすり涙もすすり十夜婆 矢一本持つ神将や冬はじめ 奥祖谷の目も鼻もなき土雛 月光のくびれし腰をお身拭 久女のごと家捨てられず瓜刻む 袋角熱しや八十路とて女身 お閻魔へいまさら許してなど言へず 新米と貼りて一膳飯屋かな ちんちろりんたうとう鳴かぬ夜がくる 風の日はひとかたまりの浮寝鳥 牡丹鍋大志も恋もなく...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.16 Mon 23:10

楠橋かずえ『句集 星今宵』(狩俳句会)より

    平成11。 「狩」同人。第1句集。 若者に付かず離れず山登る けが人の笑ふ訓練震災忌 ポットの湯捨てて退院年の暮 何をしに二階に来しや花火の夜 種を採る大向日葵の首抱へ 階下より鍋ごと届く夜食かな 磯遊び何かにつけて母を呼び 傷口は皺にまぎれて終戦日 こだはらぬふりして独り厄詣 凩や書誌にひしめく虎の巻 近江蕪まぶしきまでに洗ひ上げ 目つむれば山河見えくる作り滝 煮凝の目玉こぼれてゐたりけり 剪定の頭に低空のヘリコプター 冴返る夜の天井...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.15 Sun 00:15

柳瀬旬『句集 旅びと』(狩俳句会)より

    平成11。 「狩」同人。第1句集。 寒紅をさしてをさなきことを言ふ ちぎり絵の糊のはみ出し春隣 もてなしの冷房強くうちとけず 皓き歯のいよいよ皓しサングラス 底履きの厚きゴム底小鳥来る 背凭れのなき民具椅子春愁ひ 豊かならざる胸に挿し愛の羽根 焼芋の灯へ自転車の灯がとまる 寒戻りちりとも鳴らぬ猫の鈴 片方の手の芝に触れ籐寝椅子 数へ日や買ひ足すものに電池二個 ラケットの柄を沈ませてうまごやし 喪の家やかたちばかりの日除して 耳打ちの白息こ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.08 Sun 23:18

木田千女『句集 白炎』(本阿弥書店)より

    1998年。 「天塚」主宰。「狩」同人。第6句集。 ペン先で人めつた切りペン始 ひなあられ十粒添へられ患者食 夏場所や化粧まはしに星条旗 出目金を買うて龍宮城も買ふ 少年の獄舎に高き鯉のぼり 敬老といふ一番にいやな日よ また逢ふを約してくれず蛙の夜 なにひとつ持たずに鶴の帰りけり 鳥曇この世あの世も絵そらごと 皿のものふるへどほしや川床涼み 鳥渡る恋の一句もなき子規よ しぐるるやいもぼうの灯のほうと点く 善人の顔して挿しぬ赤い羽根 師に叛き父...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.04 Wed 21:50

浅井陽子『句集 狐火』(北溟社)より

    平成14。 「運河」「晨」同人。第1句集。 膝揃へ直して子より御慶受く 金亀虫飛び映画ロケ撮り直す 岩を動かして半裂見せくれし 遭難の追悼といふ登山かな 石鯛の魚拓とりゐて墨足らず どぶろくの瓶レッテルを貼りをらず 女正月家にひとりにして貰ふ 鳥巣箱岩に片足かけて掛く 田楽の味噌温めてゆるめけり 玉虫の色薄翅に及びゐず ごり汁の上澄みに浮く目玉かな 剃髪の前夜の髪を洗ひけり 雪催鷲ヶ峰から鷹ヶ峰 人間に疲れ花には疲れざる 月祀る春日曼陀...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.05.01 Sun 22:40

藤田柊車『句集 中州』(狩俳句会)より

    昭和62。 「狩」同人。第1句集。 初鏡座して鏡の奥も拭く いわし雲佐渡と越後をつなぐもの 筆の穂を正して経を写し初め 磨崖仏見上げ遍路の息正す 祖父の墓洗ふ一升瓶の水 国宝の鐘の撞木に蝸牛 髪の冷え己が髪とも思はれず 草いきれ牧場つづきの屠殺場 流燈会母に遅れて父流れ 漉紙を売るにも正座紙漉女 騎馬戦の戦はずして総くづれ 白息が触れ白楽の朱唇仏 夜の桜昼の桜と見て飽かず ごきぶりの知りつくしたる逃げつぷり 流氷の位置定まらず昼も夜も ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.04.29 Fri 23:09

田口紅子『句集 水橋』(本阿弥書店)より

    1991年。 「狩」同人。第1句集。 どの牛も眼の濡れてゐる涅槃西風 まつすぐに白れんに来る闇と思ふ 遠足の両膝卓にして昼餉 牛蛙鳴いて野の星山の星 盛大に鍋をよごしてキャンプ果つ 頭を過ぐる山靴の音明易し 地に置きて盆提灯の地を照らす 自転車に鍬をくくりて涼新た 人の死に順序のあらず花八手 囀りへ向けて郵便箱の口 恋ボートしばらく櫂の息あはず 蝉採りの去りたるあとの蝉しぐれ 火を放ち枯野の風のかたち見ゆ 石よりも風につまづき芝焼く火 真四...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.04.21 Thu 12:45

第369回坐忘会 令和4年卯月句会

JUGEMテーマ:俳句    開催日:令和4年4月10日(日)  場 所:本部道場 南寮  参加者:12名  投句者:3名    春がいっきに過ぎるかのかと思えるほどの気温となった日、最近では最多の参加者があって、賑やかな句会となりました。    最高得点者は”蕉山さん、義幸さん、竜穏さん”     今回の兼題は「陽炎」「桜貝」「辛夷」     ------各自の高得点句を紹介します。--------   ※薄味に馴れし味噌汁春や逝く  幽谷先生  掌におさま...

座禅修行だより | 2022.04.19 Tue 20:54

山口超心鬼『句集 誓子星』(角川書店)より

    平成8。 「鉾」主宰。第3句集。 明日は明日浮浪者今を日向ぼこ 葬を待つ河鹿の声に耳すまし 蜂を追ふ日頃使はぬ箒にて 墓に挿す供華に直ちに蜂が来る 眼に留めし福娘より笹を受く 花の灯が消えて一山真つ暗に ちちろ鳴く城塁のどの隙間にて 天高し磴千段を上りつめ 那智を去る瞼に滝の落ちつづけ 真白の睡蓮ひらく爆心地 ベビーカー待たせて置きて墓洗ふ 天高し穂高連峰丈競べ 凍筒に供華を捻じこむ三鬼の墓 とぐろ巻く庭のホースが雪を被て 春星のいづれ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2022.04.14 Thu 00:30

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