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2003年。 幹太き松を抜け来て春の海 雪卸せざりし蔵の雪雫 その上に水の乗り来し薄氷 睦事はこのごろとんと桜餅 春障子鯉が跳ねしと開けにけり 自句自解させられてをる春炬燵 麦踏の手をどうするか見てゐたる 意を曲げぬらし耕牛の水を飲む 田の神を呼ぶかりそめに田を打てり 籾浸すさま一学級見学す 水音は耳に障らず春眠す 歩けば軋む木造校舎新任す 万愚節岩がするりと波脱いで いかに嘆く涅槃に貝の来てをれば 恋などはまつぴらと猫太りけり 田蛙の声...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.11.16 Mon 22:50
2003年復刊。 「ホトトギス」名誉主宰。第1句集。 今日何も彼もなにもかも春らしく 牧場はすなはち雨のクローバー この辺の景色となつてゆく芒 景変りつゝ菜の花のつづきけり 湖に出て見るだけの避暑二日 かくれ部屋あり春昼の顔なほす バターよく伸び煖房の食堂車 スリッパのまま芍薬の芽まで来し この辺の家のたつきの酢茎桶 庭芝の枯れ行く色の定まりて 母を見て又子の昼寝つゞきけり どこよりもここより見ゆる紅葉山 ふとよぎる春愁のかげ見逃さず 雨降...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.29 Thu 23:17
2003年。 「燎」主宰。第1句集。 うかと出て春宵の街まだ寒き 車窓より飛び散る紙片夏来たる 夕端居語り部のごと語りをり ひとことに思ひめぐらし鉄線花 万緑や父の一徹衰へず 白地着て父飄々と入院す 食いまだ叶はぬ父へ団扇風 酒瓶を枕代りに祭果つ 泣き虫の又泣き出しぬ天瓜粉 熱き茶を膝に旅立つ冬の駅 病窓は梢の高さ小鳥来る 黙々と明日の米磨ぐ湯ざめかな 田を植うる朱き鳥居の間際まで 町内に在はすちちはは星月夜 組み替へて夜寒の膝となりにけり ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.25 Sun 23:45
平成23。 「谺」主宰。第4句集。 蚊の声の辺りを二つ三つ叩く 扇風機止つてをりし羽根が透け さりげなく揺れて蓑虫日和かな 焼藷の屋台と歩調合うてをり 降る雪の中なる雪を掻きにけり ラムネ抜いて何か忘れてしまひけり 天の川仰ぎ見るときみな若し マネキンの首をそのまま鳥威 剥かれある林檎に年の改まる 孤立してゐる手袋の中の指 燗熱うせよ先生の命日ぞ 蝌蚪に脚出て鯨にはもうなれぬ 蟻を見てをれば大きな靴通る 浴衣着て手足の頼りなかりけり 眠...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.21 Wed 21:08
2008年。 「青海波」同人。第1句集。 大漁旗祭太鼓の破れぬか 水平に年移り行く去年今年 うぐひすの音の度ごとに杖を置く これからは小市民なり卒業す 秒針の音の広がる小正月 屋久杉の木目細かき大西日 御宸筆たちまち汗の引きにけり よく笑ふ分校の子等鳳仙花 シスターの背筋真ぐ十二月 雨蛙豊葦原を席巻す 青嶺踏みきし山門の大わらぢ 黒潮へ海亀の子の百二百 彼岸花咲くころ帰る母の家 千年の森千年の苔清水 坑道に頭打ちつつ岩清水 海中の城(ぐす...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.19 Mon 21:44
2015年。 「雉」主宰。第3句集。 雪撥ぬる笹や先生癒え給へ 山羊繋ぎ一番草を取りゐたる 読始湯川博士の天才論 寄り添つて地に影ひとつ寒雀 バイオリン大ひまはりへ弾く子かな あふ向きに死にゆく蝉へ蝉時雨 新藁の匂ふ夜明を逝かれしか あたたかな息が近づく雪女 一ところ雪の窪みて雀の死 初蝶の白に徹してまぎれざる みどり子の目が開き泰山木の花 ある僧の水割呷る晩夏かな 冬深む古書舗の奥へ蟹歩き くるぶしを蟻強く咬む爆心地 白日傘平和公園出て開...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.15 Thu 23:21
JUGEMテーマ:俳句 第353回 坐 忘 会 開催日:令和2年10月11日(日) 場 所:本部道場南寮 参加者:9名 投句者:6名 投句数:106句 夏が秋を跳び越えて冬になったような日でした。それでも、窓、戸を解放し、コロナ対策を施して白熱した会になりました。 幽谷先生から皆さんに、棟方志功の版画のプレゼントがあり、義幸さんからは自ら上梓の芭蕉論「門敲かばや」の贈呈を受けました。 今回の最高得点者が、ダントツで則子...
座禅修行だより | 2020.10.13 Tue 15:52
2004年。 「南風」主宰。第7句集。 寒月のいつのぼりゐし高さかな 声出さぬひと日の果の大嚏 満面に青葉の照りをゆるしけり 青梅雨の大き一枚ガラスかな 机ひろく拭きそれよりの涼夜かな 落椿いまだこの世と見ひらける 葬ひの一部始終を蟇 聞き洩らす一言秋の風過ぎぬ 大き虹あらはれて年行かむとす 底なしの谷へ落花の狂ひかな 西行の齢越えたり春の雁 東風にあげたる後継ぎの男眉 鯉の背のうねり大きく立夏かな ややおいて初蝉なりき耳すます 白雲のかな...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.12 Mon 23:07
平成8。 「燕巣」主宰。第2句集。 鍛冶町に鍛冶の亡びし鳳仙花 空返事して妻とをり弥生尽 リラ咲くや石壁厚き洋酒蔵 人好しの顔も親似や花南瓜 ひやかして過ぎし夜店へまた返す 剃刀の替刃さがすや桂郎忌 鴨の位置かはりし午後の比良荒るる 夜の雁や病む子へ急ぐ当直医 村の子の知る近道や蓼の花 出稼の荷を抱き眠る暖房車 野良猫の爪研いでをる立夏かな 初螢弥陀拝みたる手に掬ふ 車椅子の子がしかと持つ菖蒲太刀 産近き牛に灯を吊る青葉木菟 秋霖や集魚...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.09 Fri 22:39
平成12年。 「燕巣」主宰。第3句集。 紅葉冷え鐘冷え神変大菩薩 一尊に供へて婆の亥の子餅 右顧嫌ひ左眄さらなし蟇 入峰足袋替へて未明の霧へ発つ 搾乳の牛のめつむる豆の花 少年の口笛が行く月夜茸 大姉名の子を凩に呼ぶ遍路 蛇捕が点かぬ煙草をひねり捨つ 落雷死告ぐ朝刊の端めくれ 妣の夜着足しはらからの喪の雑魚寝 商館のネオン消えたる安息日 長梅雨や女みだれし終電車 灰均す火箸の環鳴る夜の雪 夏痩せの声を嗄らしてキムチ売 JUGEMテー...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.10.06 Tue 23:41
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