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点滴を連れて見送る春の雨 桃雲|四季折々(2)

JUGEMテーマ:俳句    点滴を連れて見送る春の雨  木村桃雲   点滴は時間もかかり、煩わしいものだ。 そこで、車のついた点滴スタンドを押して病棟の中を歩く。 作者は、これをまるで鎖をつけた小犬を連れるかのようにして、 あちこちを歩いて気晴らししているのだ。 病室ではカーテンに遮られていた外の風景だが、 廊下から眺めると、降っていた春雨がそろそろ止む気配だ。 重くなり勝ちな入院生活を、軽いタッチで表現。 (「俳林」13号より)   飯田幽水(中央支部)...

坐忘会だより | 2020.03.11 Wed 08:41

梶原抱芽『句集 巷』(近藤書店)より

    昭和33。 「雪解」同人。「懸巣」主宰。 第2句集。 卒業のきのふの校舎よそよそし 子が泣いて蚊柱の蚊の殺到す 遠足をあすのたたみに夏みかん キャベツだき主婦らはろじの家々へ 手相見へ梅雨の傘より手を出だす としよりが坐つてをりぬ秋の風 ひたひたと運動会のはだし鳴る 立ち話ついにのみ屋へ啄木忌 草じらみまみれにもどり又喧嘩 諸方より酒いましむる賀状くる 庖丁のうもれて水菜きざまるる 即興の句を卒業の子にサイン われも食う腹にいつぱい子供の日 ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.03.10 Tue 23:00

小林榮子『句集 花すだれ』(玉梓発行所)より

    令和2。 「玉梓」同人。 九十歳励まし合へる御慶かな 柊を挿しをり母のせしやうに 悲しみは越えねばならず冴え返る 雪混じりなる洛北の春時雨 水かけてやる墓碑にゐる青蛙 切口の鏡のやうな水羊羹 鉾町の町家町家の宵明り 山の日の京穏やかに暮れゆけり 心太何でも姉の言ふ通り 万緑や雨脚強くして太し 生きてゐるかぎりの務め盆用意 今日の花たたみ終へたる木槿かな 一人立つ色なき風の菩提寺に 仏壇は閉ざさずにおく月今宵 鳥に覚め虫に暮れゆく一日かな ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.03.10 Tue 22:39

猫 俳句

ちまちま俳句は続けていたんですが、ブログは止まってました。   最近は写真にご執心。iPhoneですがね笑   猫や風景を撮って楽しんでます。 JUGEMテーマ:俳句           うちの猫です。(美人でしょ?) 被写体がいいのでへっぽこ腕でも大丈夫。 あ、スマホもいい。   一眼レフデビューしようかなあなんて考えてます。   過去に撮った囲まれた時のやつ。駅にて。 15匹くらいいた。また行きたいなあ笑   ...

音の葉の色は | 2020.02.24 Mon 13:54

『現代俳句文庫6 茨木和生句集』(ふらんす堂)より

    1992年。「運河」主宰。 屋根の雪掻きて地上に雪増やす オーバーの胸雪まみれ逢ひに行く 一湾を揉めり冬浪押し寄せて 村十戸雪被て厚くつながれり 傷舐めて母は全能桃の花 教室にプールの水の匂ひ来る 峯行者雲の峰への第一歩 夕刊のなき信州の大夕焼 戻り来て真水を浴ぶる海女のこゑ 山桜活く玄関の板屏風 拝みたる位置退きて瀧仰ぐ 肌寒や肉紅くせる肉屋の燈 脱糞の快熊食うて猪食うて 玄関の白障子まで石畳 きらきらと吉野の寒さ木に空に ミス卑弥呼準...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.02.22 Sat 23:08

桂信子『句集 草樹』(角川書店)より

    昭和61。 第7句集。 秋風を来て鼻筋の通る馬 傘立に傘がまつすぐ立つて秋 傘さしてまつすぐ通るきのこ山 山々や花咲くまでの遠景色 からうじて鶯餅のかたちせる 花のなか太き一樹は山ざくら 腕立ての遂に伏したる夏畳 昼顔にうしろを見せて男帯 秋風やももいろの牛横たはり 大寒や起きぬけに見る山と牛 雛の眸に微塵をふらす庭の樹々 鉄鉢や施米にまじるさくら蘂 何となく山の容を霧のなか 雪はらふ人影ひとり書道塾 開帳や泥のつきたるままの靴 まつさ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.02.12 Wed 12:14

中田恒子『句集 木守』(ふらんす堂)より

    囀りに弥陀は合掌もて応へ 老鶯や明治生れの語尾たしか 寒紅を刷きて病む身の隠されず 行く雁のまなうらにあり眠られず 立待の月上るまで厨ごと ひらくよりはや旅ごころ春日傘 をりからの蝶も祓はれ地鎮祭 古きもの仕立て直して十三夜 ふるさとの青きをおもひ青き踏む ひと打ちもなほざりにせず鉦叩 飛びたがるスカーフ押さへ野に遊ぶ さみどりを山と盛りあげ月見豆 鉄瓶のたぎりしづめて炉辺話 妙齢のごとくまぶかに麦藁帽 窓越しの海のひろがり卒業期 泣き...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.01.28 Tue 13:03

堀口星眠註『脚註名句シリーズ1−10 相馬遷子集』(俳人協会)

    昭和59。 「馬酔木」同人。 冬を待つ河原の石のひとつひとつ 風邪の身を夜の往診に引きおこす 百日紅学問日々に遠ざかる 華やかに風花降らすどの雲ぞ 窓開けて湖は見えねど夜の辛夷 北窓をけふ開きたり友を待つ 顔痩せて青田の中に農夫立つ 燕去るや山々そびえ川たぎち 夕づつに牧夫の酔歌牧びらき いさかひを楽しむ子等か暑き夜も ストーブや患者につづる非常の語 五月来ぬ水田黒土光噴き 病む人に銀河を残し山を去る 産室の牛がものいふ秋の暮 頭を振れ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.01.20 Mon 23:30

『大島民郎集(自註現代俳句シリーズ?期7)』(俳人協会)より

    昭和57。 馬酔木副会長。 山の萩見て来て庭の萩待たる スケートのきほへば飛雪また飛雪 噴煙のたふれ雪渓よごれたり 子へ贈る本が箪笥に聖夜待つ 晩餐を待てば猟銃森に鳴る 御物展南京櫨のいろづけば 王朝もかくや青葉の渡廊 嵐山ねむりそめしと画家来たる 柿の芽や名窯継ぎて十余代 豪商の庭は見えねど松の花 神にして三輪山ねむることもなし 薬師寺も永き日のわが散歩圏 冬菊やいつも気丈に母の文 北山の杉映りゐしプール干す 森暮れてプールにうかぶ一...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.01.14 Tue 21:00

『皆吉爽雨集(自註現代俳句シリーズ1期3)』(俳人協会)より

  昭和51。 ホトトギス同人。「雪解」主宰。 幹に手をかけゐて花のちりやまず 春愁のいとまなければ無きごとし 啄木鳥のこぼせるものの落ちもこず 頬燃えて自画像出来ぬ卒業す をちこちのをちの良夜の森に靄 葉をたたむしぐさも桜餅の宵 落葉ふむ音はうしろへ残るもの 冬耕の田のま中より打ちはじむ 遠ざかるものに病みし日秋扇 夜学師の一たかぶりのチョーク折れ 寒の水飲みてつらぬくもののあり 汗引いて山河やうやく故里ぞ あがるよと落つるよとのみ初雲雀 はるかなる光り...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2020.01.08 Wed 12:02

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