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JUGEMテーマ:戯言 顔色を窺う少年たちが可愛かった。顔色を窺われている大人たちも可愛かった。それぞれのぎこちなさが、錆びた金属製の玩具のようで可笑しかった。私もそんな大人の一人。どうしたって上手くいかないときはある。跳ね飛ばしたって良いし、打ちのめされたって良い。知らんぷりをしたって良いし、撫で撫でしたって良いのだ。そういう時間を少年たちと共有しても良かったけれど、私はそれをしなかった。彼らとはベースの部分に大きな違いがあって、歩み寄りたくはなかったし、歩み寄って欲しくもなか...
pale asymmetry | 2024.01.28 Sun 18:19
JUGEMテーマ:戯言 小さな生命が私を刺す。「お前に勇気はあるのかい?」と問い掛けるように。勇気なんてない。好奇心があるだけだ。探究心と言えるほど大きなものでもない。隙間を覗き見て、その色を感じたいだけなのだ。上昇する透明な生命に、私は目を向ける。どうしたってその生命は私より偉大だ。それに打ちのめされながら、それでも追いかけずにはいられない。何かを得ようとしているわけではない。何かを見習おうとしているわけでもない。その上昇するエネルギーをただ感じたいだけなのだ。自分を省みること...
pale asymmetry | 2024.01.27 Sat 20:59
JUGEMテーマ:戯言 寒さが連れてくる切なさに、身を任せてみる。どんよりと沈んだ空は、憂鬱な怪物だ。でもそこに狂気はなく、怪物は牧歌的な時間に浸っているように感じられる。私はそれに寄り添うことは出来ない。痛みを伴うくらいの寒さを振り払うために疾走しなければいけなかったから。あの人は遠い場所で顔を顰めている。そういう内容の手紙が届いた。世界にはトラブルが一定の頻度で発生していて、どんなに避けようとしてもある確率で捕らわれてしまうのものだ。それから逃れることなんてできないんだ。そん...
pale asymmetry | 2024.01.24 Wed 18:03
JUGEMテーマ:戯言 夜が明ける前に目を覚ます。外は冷たい雨。北風は強く、雫が窓硝子を叩く。まるで救助を求める信号のよう。私は行かなければいけないのかもしれない。手を差し出さないといけないのかもしれない。それが無理ならば、声をかけることだけでもしなければいけないのかも。でも何も出来ず、ホットミルクを飲む。ゆっくりと時間を掛けて飲み、歯を磨いて再び眠る。夜が明けるまで、あるいはその後も眠り続けたい。そう思って毛布に包まるけれど、眠りは何処からも飛来しない。仕方がないので身体を起こ...
pale asymmetry | 2024.01.23 Tue 18:29
JUGEMテーマ:戯言 あの頃私は、暴君の庭に立っていたのだった。展開機関という奇妙なエンジンのための宝石の螺子を磨いていたのだった。あの庭は無敵だった。そのエンジンを永久機関だと信じて疑わなかった。今も疑ってはいない。けれど信じてもいない。疑わずにいられるくらい私はまだ若い。そして信じられるくらいにもう若くはない。何もかもが変わってしまったわけではないけれど、見回す情景はあの頃と似ても似つかない。それはあの頃描いていた情景だろうか。今となってはもう思い出せない。少しばかり長く停...
pale asymmetry | 2024.01.20 Sat 19:15
JUGEMテーマ:戯言 傾きを上手くコントロールできないまま空を見上げてみる。軽い目眩を弄び、口中に苦味を感じる。いや、これは血の味だ。だから私は生きている。生命として青空の下に立っている。正確には立ち尽くしている。どこかに椅子はないものかと見回してみるけれど、そんなものは存在しない。まあ、世界はそんなに甘くはないということなのだろうと納得したふりをして歯を磨く。正午までまだ少しあるから歯を磨いておきたかったのだ。群れ飛ぶ雲は、アラベスク。そこには某かの暗号が隠されているようだ。...
pale asymmetry | 2024.01.19 Fri 20:45
JUGEMテーマ:戯言 踊ることに意味なんてあるのかな。いやもちろんあるだろう。けれどそれは誰かと共有できるものじゃない。私が踊ることには、私だけの意味がある。彼が踊ることには彼だけの意味がある。誰かが踊ることには、その誰かだけの意味があるのだ。自分が踊ることの意味を探求することは大切なことだろう。けれど彼が踊ることの意味、あるいは誰かが踊ることの意味は、私にとってさほど大切なことではない。その意味によって、私の踊りが、私の舞いが、変化することはなからだ。私は私の踊りにだけ目を向...
pale asymmetry | 2024.01.18 Thu 18:58
JUGEMテーマ:戯言 彼らが語らないのは、彼らが声を持たないからではない。気持ちを押し殺しているわけでもない。言の葉を持っていないのだ。生まれながらにそうであったわけではないだろう。この世界に生まれ出たその瞬間から、彼らは言の葉の洪水に飲み込まれたはずだ。それがこの世界の歓迎だから。誰もがその歓迎を受けて、言の葉を自身に織り込みながら暮らしを重ねているはずだから。では彼らは今なぜ言の葉を持たないのか。語るべき事を語らずに暮らすことを、どこで覚えたのか。あるいはそれは自然と身につ...
pale asymmetry | 2024.01.16 Tue 20:44
JUGEMテーマ:戯言 風は盲目かもしれないけれど、とても良い耳を持っているだろう。私がこの場所で足踏みする、その靴音を聴きとっているだろう。海辺のパーキングは晴れときどき曇。今のところ風は辿りつていない。海面はだから煌めきを纏うことなく、のんべんだらりんと横たわっているように見える。砂利運搬船のジェネレーター音が低く聞こえる。平和を乱す音だ。けど私には何が平和なのか、実のところよく解らない。誰かに直接銃口を向けられているわけでもないし、どこかから爆発音が響いているわけでもない。...
pale asymmetry | 2024.01.15 Mon 19:28
JUGEMテーマ:戯言 呪文を唱えられるのは一度だけなのだから、どこでそれを唱えるのかは慎重に考えなければいけない。でも彼らは簡単に唱えてしまう。本当にしっかりと吟味したのだろうか。私からすると、そんなシーンで唱えてしまうのかと思ってしまう。もっと使うべきシーンがあるのではないかと思えてしまうのだ。だって一度きりなのだ。二度目はない。そう思うと私はどうしても唱えることが出来ない。そして永遠に唱えないのだろうか。そう考えると、取り敢えず唱えてしまった方が良いのかもしれない。つまり彼...
pale asymmetry | 2024.01.14 Sun 21:11
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