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JUGEMテーマ:戯言 飛び散った破片は、鮮やかな色を秘めている。けれどその破片は微笑で、その色はあたかも失われてしまったかのようだ。色が失われれば熱情も失われてしまう。私は蹲り、蝶のように自身を抱きしめるしかない。「立ち上がりなさい」と誰かの声が聞こえる。愛する人の声だろうか。愛してくれる人の声でもあるだろう。帰属し帰属されるあなたの声。どこまでも風は流れていく。透明なのに陰った風。その風を遡ってあなたの声が伝わってくる。蹲っても良いし、自身を抱きしめても良い。それでも熱量を失...
pale asymmetry | 2023.12.12 Tue 16:20
JUGEMテーマ:戯言 藍色のスカーフが南風に舞っている。大きなスカーフはのたうち回るように空間を掻き混ぜている。相当に大きく見えるから、あれは象のスカーフかもしれない。賢い象なら、スカーフぐらい巻くだろう。では今その象はスカーフをなくして悲しんでいるだろうか。それともすでに新しいスカーフを見つけているかもしれない。それは目の冴える紅色で、だからもう象はあの藍色のことを忘れているだろう。いや、象は強固な記憶力を有しているから、藍色を忘れたりはしないだろう。私のようにすれ違う色彩の...
pale asymmetry | 2023.12.11 Mon 18:42
JUGEMテーマ:戯言 エアコンディショナーの設定温度を十九度にして毛布に包まる。ベッドではなくソファーの上。部屋のカーテンは全て閉じて、この部屋と私をスタンドアローンに装飾する。実際にはもちろんそれは成立していない。だって世界に繋がっていない状態なんてあり得ないから。そんな状態は死んだ後にだってあり得ない。だからきっと生まれる前にだってあり得なかったはずだ。私たちはいつだって世界の奴隷で、世界と並び立ってなどいない。いつだって背後から羽交い締めにされ、油断すると首を絞められるの...
pale asymmetry | 2023.12.10 Sun 19:12
JUGEMテーマ:戯言 雲のない空にはラピスラズリはない。だから空は加速していない。乾いた歩道にはターコイズは見当たらない。だから歩道も加速していない。でも街路樹にはガーネットが織り込まれている。街路樹は加速しているはずだ。私は立ち止まり、その街路樹と向かい合う。話しかけることは憚られる。街路樹がそれを望んでいないことは明らかだったから。私にははっきりとそれが解ったし、その感覚が間違っていないことも鮮明に解った。私にできることは、息を止めてその加速を読み取ること。それは厳重に秘さ...
pale asymmetry | 2023.12.09 Sat 18:40
JUGEMテーマ:戯言 君は空を飛ぶ。二秒ほど。だから宙を飛んだと言うべきか。いや、大空を飛んだんだ。そんな顔をしていたから。「天使みたいでしょう?」と着地した君は叫ぶように僕に尋ねる。僕はただ首を捻るしかない。だって天使がどのような感じなのか、僕は正確なところを知らないから。僕が何も答えないので、君は頬を膨らます。「天使も知らないなんて、カッコ悪いわね」と歌うように言う。その表情がとてもキュートだったから、僕は思わず笑ってしまう。すると君は僕を指差して「猫に変えてしまうわよ」と...
pale asymmetry | 2023.12.08 Fri 22:00
JUGEMテーマ:戯言 精密さにこだわりすぎて精密さを失っていることに彼らは気づいていない。それとも彼らは、本当は精密さを求めてなどいないのだろうか。精密さを求めるふりをしているだけなのかもしれない。あるいは自分たちが精密さを求めるふりをしていることにも気づいていない可能性もある。つまり彼らはマニュアル通りに振る舞っているだけで、その意味を知らないのかもしれない。でもそのマニュアルは彼らによって歪められたもので、本来の精密さは彼らには伝わっていないのだ。細かな手順を機械的に積み上...
pale asymmetry | 2023.12.06 Wed 19:07
JUGEMテーマ:戯言 目が覚めたら雨だった。世界は雨で始まり雨で終わる。昔呼んだ物語の中で誰かが言っていた。あれは誰だっただろう。騎士だったか、名探偵だったか、それとも孤独な少女だったか。もし少女だったとしたら、私はその少女に自分を預けただろう。そしてその少女と一緒に、世界を蹂躙していたかもしれない。もう少女ではないから、今は世界に蹂躙されている。でも少女ではないから、蹂躙されることで快楽を感じたりしている。年を取ればこんなにも歪むんだなと改めて思う。ベッドを離れられず、毛布に...
pale asymmetry | 2023.12.04 Mon 17:53
JUGEMテーマ:戯言 小さな部屋は余った空間に支配されている。こんなに小さな部屋なのに、余白が私を圧迫する。エアーコンディショナーは百年前から稼働していて、きっとこの先も百年以上稼働するだろう。だからとっくの昔に狂っていて、部屋を冷蔵庫にしている。それでも私はその部屋に籠もらなければいけない。外との繋がりを一時的に絶って、くだらない作業に集中しなければいけないからだ。その作業がくだらないのは、我楽多しか生み出さないからだ。システムが出鱈目だからそうなのではない。我楽多を、完璧な...
pale asymmetry | 2023.12.03 Sun 21:00
JUGEMテーマ:戯言 ある日ポストに大きな封筒が入っていて、それを破くと中の書類に『あなたの世界が半分になります』と書かれていたら、あなたはどう思いますか。何かを思う前に、あなたは『世界が半分になる』とはどういうことなのかを考えるかもしれません。それは例えば、あなたの日常的な行動範囲が半分に制限されてしまうということでしょうか。それともあなたがこの先見聞することの出来るはずだった世界の姿が半分削られてしまうのでしょうか。それともあなたが今までに経験してきた世界の記憶の半分が、失...
pale asymmetry | 2023.12.01 Fri 17:54
JUGEMテーマ:戯言 目が覚めたら、足下で二匹の猫が丸まっていた。毛布はベッドの脇に落ちていて、肌寒かった。白と黒の二匹の猫は、二つ巴に丸まって互いの股間を舐め合っている。白と黒が精密に噛み合うその姿は、タオだった。完璧な世界を内包しているように思えて、私は這い寄る。私もその世界に加えて貰いたかったのだ。けれど私が寄り添おうとすると、二匹は示し合わせたように身を起こす。気怠げな足取りで枕の方に移動して、そこでまた二つ巴に丸まる。何だか虐げられた気分になる。半覚醒のまま、猫たちに...
pale asymmetry | 2023.11.30 Thu 15:48
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