[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:戯言 私は簡素な椅子に腰掛けている。すぐ向かいには同じ簡素な椅子があり、そこには千人の見知らぬ誰かが腰掛けている。その人たちは目まぐるしく千の姿に変容していて、もちろんその本性も変化している。旅をしているのだろうと私は思った。旅をしているから千の変容を抱えることになったのだ。私は腰掛ける人々のことを言っているのではない。簡素な椅子のことを話しているのだ。ここまで旅を続けてきたこの二脚の椅子は、様々な誰かと触れ合ってきたのだろう。ときには弾き飛ばしたかもしれない。...
pale asymmetry | 2023.12.27 Wed 20:51
JUGEMテーマ:戯言 青空を眺めていたら、いつの間にか正午になっていた。私の午前中は青空にばらばらに千切られてしまったらしい。粉々になったそれは、青空から吹き降りる青い風に掠われて、今頃は海を渡っているだろう。いやそれどころか遠い大陸の砂漠で、キャラバンの男たちに拾い集められているかもしれない。彼らはそれを異国の珍品だと重宝してくれるだろうか。次の商売で上物の商品として扱ってくれるだろうか。まあ、それは望めないだろう。私の午前中は、どれだけ砕かれ煌めいていたとしても、結局は意味...
pale asymmetry | 2023.12.26 Tue 19:05
JUGEMテーマ:戯言 あなたの鎖骨を執拗に舐めて午後を過ごそうと思っていたのに、あなたは急な呼び出しで出かけてしまった。それが生命に関わる事象でなかったら、私は思いきり我が儘をこじらせてあなたをがんじがらめにしたけれど、あなたを必要としている生命があるのなら、目を伏せて送り出すしかない。私は意気地なしだ。そんな生命なんて踏みにじれば良いのに、そういうことが出来たためしがない。こんなに身勝手なのに、どうして出来ないのだろう。ありもしない良心の幻想に踊らされているのだろうか。それと...
pale asymmetry | 2023.12.25 Mon 19:01
JUGEMテーマ:戯言 こんなに寒い日なのだから、出かけなければ良いのに。そんなことを思う私を置き去りに、あなたは仕事に出かけてしまった。そんなに勤勉である必要などないのにと考えてしまう私は、本当に怠け者なのだろう。あなたがいなくなった部屋の温度は、たぶん数度は下がってしまっただろうと思える。私は慌てて服を着込む。過剰なほどに重ねて着込む。その上で温かなスープをたっぷりと作り、ほんの少しだけ体内に流し込む。カボチャのスープ。鍋いっぱいのスープ。あなたが帰って来るまでじっくりと煮込...
pale asymmetry | 2023.12.22 Fri 17:49
JUGEMテーマ:戯言 タイムリミットなんて、あってないようなもの。だから私は守護されている。世界は冷たく澄み渡っている。チョコレートは変わらず甘い。それがミントたっぷりでもね。もし時間が停滞しているとしても、それが明日を押しとどめたりはしない。必ず来る事象は歪められたりはしないものだから、私はそれを守護しなければ。いいえ、守護したいのだ。私にはそれが出来ると信じているし、実際に幾度もそうやって過ごしてきたのだから。そういう記憶はすぐに曖昧になったり現実感を薄めてしまうけれど、そ...
pale asymmetry | 2023.12.21 Thu 19:20
JUGEMテーマ:戯言 遠い日の雨のことを思い返す。あの日腰掛けていた椅子はソファーではなかった。汗ばむほどの空調にうんざりとしていた。静まりかえった空間に、得体の知れない怖れを感じていた。そのときはまだ端末は巨大で、容易に持ち運べるものではなかった。だから私は小さなメモノートをポケットに忍ばせていたのだった。あの頃の私はどんな風に時間を巻き取っていただろうか。透明で質量もない時間に触れて、握って、絡め取っていたはずだ。染色体のように巻き取って纏め、それを自身の芯まで浸透させていた...
pale asymmetry | 2023.12.20 Wed 20:03
JUGEMテーマ:戯言 染み広がるそのコードを否定したいわけじゃない。そのコードも、染み広がるという状態も。それによって埋められる面積が、合理的な範囲なのか、非合理的なレベルなのか、それを決めるのは私ではない。それは十分に解っているけれど、首を傾げずにはいられない。染み広がるコードが関わる者のリスクを増大させていることが、確実だったから。私はその事象に直接的に関わっているわけではないから、気に病む必要はないのかもしれない。風に舞い飛ぶビニールシートを見送るように、何の感情も抱く必...
pale asymmetry | 2023.12.18 Mon 21:07
JUGEMテーマ:戯言 それは幼子だ。私の心の奥底で行水する幼子。かつて私がそれだったはずなのに、今やかけ離れてしまった存在。こんな季節でさえも水を怖れない子。その冷たさも、その鋭利さも、その仄暗さも怖れない子。何故ならそれら全てを有している子だから。水に溶けてしまっても、それは本来の姿と変わらないのだ。変容していないどころか、より本性を鮮明化しているに過ぎない。だから怖れるはずなどない。そんな子だったはずなのに、どの時点で違う道へと進んでしまったのだろうか。どの時点で、私はその...
pale asymmetry | 2023.12.17 Sun 20:43
JUGEMテーマ:戯言 今にも雨が擦りそうな空は、けれど雨を放ちはしない。強い北風がどこかから湿りを運んできているのに、それは通り過ぎていくだけ。手にしている傘は開かれることはなく、たぶん無意味な夢を見ているだろうから投げ捨ててしまおうか。路上で跳ねた傘は悲鳴を上げるだろうか。悲鳴を上げてのたうつだろうか。私の代わりに。ネズミの怪物が群れを成して空を行く。牙も爪も体内に隠しているけれど、いずれしかるべき時にそれらは振るわれるだろう。強烈で凶暴な毒を有した牙と爪が、世界を蹂躙して終...
pale asymmetry | 2023.12.16 Sat 18:49
JUGEMテーマ:戯言 組み替えが可能なものは、全て組み替えてしまえば良い。私の声に私自身が耳を傾ける。組み替えが不可能なものは、噛み砕いて吐き捨ててしまえば良い。私の奥底で私が叫んでいる。いや、叫んでなどいない。冷静に囁いているのだ。あるいは誘惑しているのかもしれない。誤った場所へと私を誘おうとしているのかもしれない。でも誘っているのは私で、誘われているのも私なのだから、どちらの私にも抗う術はない。それを客観的に捉え、読み解こうとする私にも抗う術などない。南からの風はひんやりと...
pale asymmetry | 2023.12.15 Fri 19:03
全1000件中 231 - 240 件表示 (24/100 ページ)