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JUGEMテーマ:戯言 目が覚めたら雨だった。世界は雨で始まり雨で終わる。昔呼んだ物語の中で誰かが言っていた。あれは誰だっただろう。騎士だったか、名探偵だったか、それとも孤独な少女だったか。もし少女だったとしたら、私はその少女に自分を預けただろう。そしてその少女と一緒に、世界を蹂躙していたかもしれない。もう少女ではないから、今は世界に蹂躙されている。でも少女ではないから、蹂躙されることで快楽を感じたりしている。年を取ればこんなにも歪むんだなと改めて思う。ベッドを離れられず、毛布に...
pale asymmetry | 2023.12.04 Mon 17:53
JUGEMテーマ:戯言 小さな部屋は余った空間に支配されている。こんなに小さな部屋なのに、余白が私を圧迫する。エアーコンディショナーは百年前から稼働していて、きっとこの先も百年以上稼働するだろう。だからとっくの昔に狂っていて、部屋を冷蔵庫にしている。それでも私はその部屋に籠もらなければいけない。外との繋がりを一時的に絶って、くだらない作業に集中しなければいけないからだ。その作業がくだらないのは、我楽多しか生み出さないからだ。システムが出鱈目だからそうなのではない。我楽多を、完璧な...
pale asymmetry | 2023.12.03 Sun 21:00
JUGEMテーマ:戯言 ある日ポストに大きな封筒が入っていて、それを破くと中の書類に『あなたの世界が半分になります』と書かれていたら、あなたはどう思いますか。何かを思う前に、あなたは『世界が半分になる』とはどういうことなのかを考えるかもしれません。それは例えば、あなたの日常的な行動範囲が半分に制限されてしまうということでしょうか。それともあなたがこの先見聞することの出来るはずだった世界の姿が半分削られてしまうのでしょうか。それともあなたが今までに経験してきた世界の記憶の半分が、失...
pale asymmetry | 2023.12.01 Fri 17:54
JUGEMテーマ:戯言 目が覚めたら、足下で二匹の猫が丸まっていた。毛布はベッドの脇に落ちていて、肌寒かった。白と黒の二匹の猫は、二つ巴に丸まって互いの股間を舐め合っている。白と黒が精密に噛み合うその姿は、タオだった。完璧な世界を内包しているように思えて、私は這い寄る。私もその世界に加えて貰いたかったのだ。けれど私が寄り添おうとすると、二匹は示し合わせたように身を起こす。気怠げな足取りで枕の方に移動して、そこでまた二つ巴に丸まる。何だか虐げられた気分になる。半覚醒のまま、猫たちに...
pale asymmetry | 2023.11.30 Thu 15:48
JUGEMテーマ:戯言 斑の空からは、斑の陽光が射している。その熱はやわらかく、私に行く先を指し示しているように感じた。おかしな感覚だと思う。熱が指し示す? 何を? 何処を? 不可思議さを噛みしめながら、それでもそうとしか感じられなかった。雲は無邪気な紋様を奔放に描いている。奔放すぎて、その紋様からは何も連想できなかった。普段ならどんな事象にもコードが秘されていることを疑ってしまう私だけど、あの雲はただ愛でることが出来た。あそこにはコードはない。だから何も読み解く必要はない。そし...
pale asymmetry | 2023.11.27 Mon 21:37
JUGEMテーマ:戯言 あなたは遠からず誰かを殺してしまうでしょう。そいう言葉を飲み込む。選択肢は限られているけれど、最適解は必ずある。熟考を繰り返せば、いずれそれに到達できるはずなのだ。それなのに安易なアイデアに飛びつき、世界を歪めるような致命的なエラーを引き起こす。そしてそれに気づいてさえいないのだ。でも私は何も言わなかった。密かに長い溜息を吐き出しただけだった。鋭い言葉は相手に鋭い記銘を入力するかもしれないけれど、それだけだ。つまり相手に記述されるのは鋭い入力が起こったとい...
pale asymmetry | 2023.11.26 Sun 20:23
JUGEMテーマ:戯言 このペンシルはウイルス性だ。と最初に私は告げる。私は嘘つきだ。と次に私は告げる。あなたはペンシルはウイルス性ではないと考えるだろうか。それとも私は嘘つきではないと考えるだろうか。あるいはウイルス性のペンシルなど存在しないと考えるだろうか。だから私は嘘つきだと考えるだろうか。世界は限りのない間違い探しだ。けれど二つ並んだイラストの両方が間違いかもしれない。もちろん両方とも正解かもしれない。どちらかが間違いだとしても、どちらが間違いであっても支障はない。それを...
pale asymmetry | 2023.11.25 Sat 21:39
JUGEMテーマ:戯言 怒りに我を忘れた人は、本当は嘆かなければいけなかったのではないだろうか。そんな風に私が考えてしまうのは、私がその人に対して客観的な視点を持っていないからだろうか。つまり私は偏った視線でその人を見つめているのかもしれない。だからその人の怒りの正当性を疑いながらも受け入れてしまうのかもしれない。それでもやはりあの人は嘆くべきなのだ。大地は水を吸い、空はさらにその水を要求する。循環は当たり前のようにここにあるけれど、それを当たり前と感じていない者たちが多すぎるか...
pale asymmetry | 2023.11.24 Fri 20:43
JUGEMテーマ:戯言 波打つ雲の狭間から、半月が覗く。いやそれは逆だったかもしれない。半月が現れたから、波打つ雲が照らされたのだ。君は車から飛び出して、今日一日の出来事を僕に捲し立てた。「私、本当に良く喋るよね?」って途中何度も確認しながら、それでも話すことを止めない。君の今日という一日のディティールが、その全部が僕に入力される。それが心地良かった。あまりにも心地良くてそれに浸っていると、君は僕のリアクションの薄さに気づいて、「ちゃんと聞いてる?」って唇を尖らせた。もちろんちゃ...
pale asymmetry | 2023.11.21 Tue 21:17
JUGEMテーマ:戯言 魔法なんてないんだと知るために、私は暮らしているわけじゃない。魔法なんてないんだということは、もうとうに解っているのだから。進みたければ一歩一歩足を前に出すしかない。触れたければ両手を思い切り伸ばすしかない。繋がりたければ言葉を発しなければいけないし、寄り添いたければ気持ちを傾けなければいけないのだろう。でもそういうものが全部上手くいかなければ、どうすれば良いのだろう。何もかもから目をそらせば良いのだろうか。風の行方を見つめて、その方向に気持ちを棚引かせれ...
pale asymmetry | 2023.11.20 Mon 21:05
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