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JUGEMテーマ:戯言 大切な物語が失われたのは、私が怠惰なせいだ。けれどその物語は風だったのかもしれない。水だったのかもしれない。熱だったのかもしれない。つまりそもそも定着する事象ではなかったのかも。いや、これは言い訳だろうか。多分そうだろう。怠惰な私が、その本質を変えることを拒んでいるのだ。まあ、拒まなかったとしても本質を変えることなど出来ないけれど。 それでも一瞬の混乱のあとに、再びのんびりと漂泊したりしているのは、やっぱり定着しない事象たちを無理矢理に閉じ込めてはいけ...
pale asymmetry | 2022.06.28 Tue 21:48
JUGEMテーマ:戯言 渦を巻いて吸い込まれていく水を眺めている。これが湖だったら面白いのにな、とか考えながら。どこかから紛れ込んできた銀色の猫が、私の右の踝に何度も纏わり付いて、最終的に右足の甲を床に釘づけるように丸まった。いや、丸まったのだからそれは釘ではなく螺子なのかもしれない。 すべての水が流れてしまったら、栓をしてまた水を溜める。溜まったら栓を抜き、また渦を眺める。それを繰り返し、旅をしている気分になる。水がどこに流れていくのかを私は知っている。水は最後には海に行き...
pale asymmetry | 2022.06.19 Sun 21:36
JUGEMテーマ:戯言 「菱は四角ではなく三角なんだ」 そうあの人は教えてくれた。濡れそぼった南風が強く吹いていた午後だったはず。私もすっかり濡れそぼっていた。私の髪も、私の耳たぶも、私のこめかみも、私の鎖骨も、私の臍も、そして私の芯も、すべて溺れかけていた。 「菱の果実のトゲは、結界を破るためにあるんだよ」 あの人はそう言いながら、私の耳たぶを噛んだ。あの人の息が私のうなじで跳ね、小さな旋風が私を火照らせた。太陽は鋭利な嘲笑を私に向けていて、それがはっきりと解ったから、...
pale asymmetry | 2022.06.14 Tue 22:11
JUGEMテーマ:戯言 倒れてしまえるほどの暇がない。病んでしまえるほどの暇がない。沈んでしまえるほどの暇もない。さりとて全力で駆けているのかと問われれば、もちろんそんなことはない。私はのろのろと重い身体を引き摺りながら歩いているのだ。傘をさせば雨に濡れる。うつむく地面から月光を浴びる。言葉を吐こうと口を開けば、中からは花が溢れ出す。息苦しくて花を吐く。 跪こうと力を抜けども、前へ前へと両脚が勝手に回転していく。いや、それは私の身体の意思なのだ。でも私の心は遅れている。時間が...
pale asymmetry | 2022.06.07 Tue 22:04
JUGEMテーマ:戯言 雨は好きだ。ただし、真っ直ぐに落ちてくる雨に限定される。無風か、ごく微かな風の日の雨で、どちらかというと大粒の感じ、それが真っ直ぐに降る雨は、私の気持ちを癒やしてくれる。だからそういう雨が好きだ。でも風が強い日、その風が北西または南西だったりするような日の雨は、意地悪く斜めに降る。それは突き刺さるように降る。だから嫌いだ。 冬の北西雨は、硬質で鋭利だから嫌いだ。夏の南西雨は気味悪くねちっこいから嫌いだ。斜めに降る雨は、本来の雨が持つ気品を失っていると思...
pale asymmetry | 2022.05.31 Tue 21:57
JUGEMテーマ:戯言 目を閉じても雨が降っている。そういう色が闇の中に混じり滲んでいる。本当の雨はとても細かな粒子で、傘を叩く音も、その表層を撫でる音も聞こえはしない。ごく微かな気配を感じるだけだ。でも私の闇には雨の色が織り込まれている。それは痛みを伴わない流血のように、私から重要な事象を奪っているような気がする。でも痛みがないから、どこから何が奪われているのか私には解らない。 風がないので、雨は舞い踊ることもない。それなのに微かな質量しか有しないから、その雫は不可思議な落...
pale asymmetry | 2022.05.24 Tue 21:52
JUGEMテーマ:戯言 足下に注釈を飾り付けることを躊躇する。数日の雨の後、今日は綺麗な青空が広がっているから。ゆるやかな風は、軽快にハミング。私の皮膚を微かに撫でて去って行く。あるいは、私の皮膚から数ミリだけ離れたところを吹き抜けていく。だから、撫でられたと感じたのは錯覚だ。こういう錯覚は歓迎すべき事象だと思える。 一度飾り始めたら、途中で投げ出すことは出来ない。だからどうしても躊躇してしまう。頭の中ではプロトコルがぐるぐると転がり弾けて煌めいているのに、転がり弾けて煌めき...
pale asymmetry | 2022.05.22 Sun 21:01
JUGEMテーマ:戯言 1メートル先に猫がいる。街路樹の根元。雨を避けているのだろう。粒の大きな雨だけど、風がないから街路樹の枝と葉が傘になってくれる。小さなな猫だ。一見黒猫に見えるけれど、よく見るとキジトラかもしれないと思える。夕刻が近づいていて、しかも天気が悪いからはっきりとは解らない。もちろん悪いのは天気ではなく私の目なのだけど。あるいは私の認知能力の方かもしれないな。 50センチまで近づいてみる。猫が顔を上げて私を見つめる。どのくらいこの場所にいたのか、全身の毛が濡れそ...
pale asymmetry | 2022.05.20 Fri 21:17
JUGEMテーマ:戯言 一日中、雨を見つめていた。透明な雨を。その音を聞いていた。いや、嘘だ。私だってちゃんと仕事をしていたし、ランチだって食べた。ずっと雨だけを見つめて過ごしていたわけではない。けれど、今日私は一体何をしただろうと振り返ると、それは雨を見つめていたとなる。一日中見つめていたとなる。 ただ雨を見つめていたわけではない。その雨に私は包まれていた。抱きしめられていたのかもしれない。口づけされていたのかもしれない。それ以上のことをされていたのかもしれない。そういえば...
pale asymmetry | 2022.05.16 Mon 20:45
JUGEMテーマ:戯言 ただ石として世界に居座るわけにはいかないらしく、日々のルーティンをこなしていく。呼吸数を落として、何も考えず。思考を伴わない行動だけを繋いでいく。そうしなければ、痛みに倒れてしまいそう。蹲って、そのまま眠ってしまいたくなる。そうしていれば随分と楽になる。夢だって見られる。あるいは夢さえも沈めて眠ることだって出来る。 ただ痛みと手を繋いで、その時間だけを抱きしめていたいのに、世界がそれを許してくれない。どうしたって私は追い立てられるのだ。奇妙に綺麗な笑顔...
pale asymmetry | 2022.05.15 Sun 21:15
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