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JUGEMテーマ:戯言 気忙しい犬のように、私は透明な壁を這う。それは垂直にそそり立っているけれど、私は奔放に這い回る。世界は重力に支配されていて、私もその支配からはみ出しているわけではないけれど、それでも一時的にならそのルールの解釈を曲げることが出来るんだ。それが私の特技。誰かに歪められないようにこっそりと発動する。 気忙しい犬ならば、私のことを許してくれるだろう。どんなに世界が荒廃していても、駆け回ることを止められない犬だから、同じように留まることの出来ない私を敵視したり...
pale asymmetry | 2023.09.28 Thu 18:48
JUGEMテーマ:戯言 日傘で作る陰は濃く、北から吹く風の涼は完全に無効化されている。私はペットボトルを頬につけ、額に乗せ、それから口をつけて透明な液体を流し込む。私の身体は淀んでいて、そのくらいの流れでは清浄さを取り戻すことはないけれど、それでもギクシャクしていた心が少なからず滑らかになったような気がした。 私たちはベンチに腰掛けている。それは国道沿いの広い歩道に設置されている。その歩道は国道と海の境界を形作っている。それは結界のようにも思えたし、繕い目のようにも思えた。隣...
pale asymmetry | 2023.09.26 Tue 20:42
JUGEMテーマ:戯言 「八番診察室の前でお待ちください」 そう看護師に告げられて診察室のプレートを確認する。三つ並ぶ診察室のプレートには『7』、『11』、『13』の数字。『8』という数字はどこにも見当たらない。辺りをキョロキョロしても、その三つ以外に診察室はない。よく解らなかったけれど、取り敢えず三つの部屋の前のベンチシートに腰を下ろす。そのシートは過剰に冷たくて、過剰に湿っているように思えた。 「番号札3をお持ちの方どうぞ」 それは僕のことだ。その声は『7』の診察室と『11』の...
pale asymmetry | 2023.09.25 Mon 21:30
JUGEMテーマ:戯言 躓いたわけでもないに、足先に痛みが走る。風が吹き抜けただけなのに、切り傷から血が滴る。それは嘘ではないはずなのに、真実を見失う。お日様に願いたいだけなのに、私はこんがらがっている。河を渡れば全てを知ることが出来るのか。それ以前に私は全てを知りたいのか。どちらも解らないから、踝を血で濡らす。 どこかから雨滴が運ばれてくる。空を隅々まで見回しても黒雲はない。ではこの雫は別の世界から来たのだろうか。それは河の向こう側だろうか。それならこの雨に濡れることで、私...
pale asymmetry | 2023.09.24 Sun 20:58
JUGEMテーマ:戯言 意味もなく意味を求める。ジレンマが私の後頭葉を掻きむしる。無意味という意味を弄んで何かを手にしたような気分に浸り、その実態のなさにがっかりして意味を無意味に放棄する。ガラクタという意味を貼り付けて安心しようとしても、そのガラクタという意味の無意味さに苛立ちを感じて、それさえも出来ない。世界から意味なんて消え去れば良いのにと思う。 それでも周囲の現象の一々に意味を求めてしまうのは、それを足ががかりにして壁をよじ登ろうとしているからだ。それは不確かな事象で...
pale asymmetry | 2023.09.22 Fri 18:36
JUGEMテーマ:戯言 「道なんてないよ」 前を歩く少年が嘆く。彼の吐き出した息はエメラルド色に濁り、その粒子は歪に散けて地面に沈む。 「星を目印にすれば良いじゃない」 私は少年の背中に声をかける。空に星は無限に瞬いていて、それは確かに私たちを誘っている。楽園に誘っているのか、地獄に誘っているのかは解らなかったけれど。 「あんな何千年も前に死んだ光なんて、興味ないよ」 少年は立ち止まり、その顔を夜に傾ける。私には叡智に溢れた夜だけど、彼にとってはそれは遺物に過ぎない...
pale asymmetry | 2023.09.16 Sat 18:57
JUGEMテーマ:戯言 回収しなかった欠片は、たぶん重要なパーツなのだろう。いいや、それは確かに重要なパーツなのだ。けれど私は回収しなかった。回収することは出来たけれど、私はそれをしなかったのだ。どうしてなのか、自分でもよく解らない。私の奥底の私が、触れてはいけないと囁いたような気がしたのだ。 そのパーツがなくても支障はないと奥底の私が判断したのだろうか。表層の私にはそうは思えないけれど、私が持っていないインフォメーションを奥底の私はすでに有しているのかもしれない。あるいは表...
pale asymmetry | 2023.09.15 Fri 17:53
JUGEMテーマ:戯言 これは夢だ。明晰夢だと感じながら、私は落ちていく。光から光へと落ちていく。暗黒の力を感じることは出来ない。私は自由ではない。それでも自由へと向かっていると、何故か思えてしまう。私は愚か者なのだろうか。それとも単純に楽天家なのか。刹那を抱きしめて、永遠を手にしようとしているのか。でも刹那を重ねなければ、永遠は構築できない。そして刹那を重ねただけでは、永遠なんて構築できない。 落ちていく私が叫ぶ。それは言葉ではない。何かが破壊される音だ。世界かも知れない。...
pale asymmetry | 2023.09.13 Wed 18:51
JUGEMテーマ:戯言 世界に果てなんてないことは、周知の通り。どこまで手を伸ばしても、それに触れることなんてできない。いやそれ以前にそこまで私の腕は長くはない。もちろんこれは実際の身体の話ではなく、私のイメージ的腕の話。そうであったたとしても、どこまでも無限に伸びてはくれない。私のイメージなんてとても貧弱なのだ。 誰もが私のことを忘れてしまえば良いと思う。世界中の人が私を無視して、私に関わらなければ良いのにと思う。そして私は世界を失うのだ。身体は透明になり、衣食住は必要なく...
pale asymmetry | 2023.09.12 Tue 17:44
JUGEMテーマ:戯言 回転している限り、独楽は倒れない。けれど永遠に回転し続けることなんてできない。回転の速度を速め、綺麗に立ち居振る舞ったとしても、いつかは倒れることになるのだ。徐々に速度を失い、バランスが危うくなり、やがては回転がほどけてしまう。倒れた地面の冷たさを心地よく感じるだろうか。それともその硬さによる理不尽さの方だけを感じるだろうか。 倒れた私は何を見るだろう。汚れた地面のざらつきだろうか。それとも空か。パステルブルーの今日のような空か。その青を横切る鳥を見る...
pale asymmetry | 2023.09.11 Mon 20:49
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