[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]

JUGEMテーマ:戯言 透明な壁が邪魔をする。流れは静かに沈んでいるだけなのに、透明な壁が震えることは決してないのだ。 「どうすれば良いの?」 声は泡と消え、その言語は壁に弾かれる。透明であるのに強固な壁は、あらゆる言語を弾き、それをナイフに変えて私に突き刺すのだ。その先端は錆び付いていて鋭利でもないのに、いやだからこそ私の身体を穢らわしく抉り、流れ出す血を際限なく濁らせるのだろう。 「どうすれば良いの?」 透明な壁の向こう側で、少女が血の涙を流している。身に纏ってい...
pale asymmetry | 2023.10.21 Sat 21:15
JUGEMテーマ:戯言 空白の時間はその長短を自在に変化させる。まるで相対性理論の実際を私に教授しているかのように。確かにその感覚はとても不可思議で、それを私自身の意思によって制御することはできなかった。そういう時間は私に寄り添う事象たちの優先順位を混乱させ、過剰にインフォメーションを噛み砕いたり、不用意に失ったり、それを繰り返して取り戻したり、闇の底に散りばめてしまったり。しかもそこに費やした時間が、私には正確に読み取れないのだった。 多くは不十分な意思疎通に原因があるよう...
pale asymmetry | 2023.10.18 Wed 21:48
JUGEMテーマ:戯言 人形の手を洗う。私の手が汚れているから。私の汚れた手で、人形の手を洗う。人形の手は綺麗だ。滑らかなその手には穢れの欠片もない。それでも私は人形の手を洗う。世界がその行為を私に促しているからだ。まだ起こってはいない未来の記憶が、私の奥底に痛みを発生させるから、だから人形の手を洗わなければいけない。人形の手を洗いなさい。それで全てが癒される。そう世界が私に告げているのだ。その声が私には確かに聞こえているのだ。 私は気の病に取り憑かれているわけではない。世界...
pale asymmetry | 2023.10.15 Sun 21:21
JUGEMテーマ:戯言 正確に四角い部屋を描けるのならば、その部屋には千切られたページが散乱しているはずだろう。いや、散乱していなければならないだろう。それはまるで陰惨な殺人現場のように部屋を埋め尽くしているのだ。ばらばら殺人というやつだ。しかも死体は一人分ではない。幾人もの肉体のパーツが、重なり噛み合っている。四角い部屋と噛み合っている。それを見つめる私と噛み合いたいと思っている。全部のパーツが。 ページの話に戻ろう。少し正気を取り戻さなければ。ついつい妄想的睡魔に負けそう...
pale asymmetry | 2023.10.13 Fri 21:29
JUGEMテーマ:戯言 全ては密かに沈んでいく。叫んでみたところで、声は泡となって消える。私は選択しなければいけない。空気を求めて光に向かうか。それとも真理を求めて闇に向かうか。悩んでいる時間はそんなにはないだろう。何もかもが許されているわけではないのだから。それでも私はオーダーのグレーゾーンをつくように僅かでも猶予を稼がなければ。 厳密さを追求されて糾弾されたとしても、私は沈黙を守るしかない。結局の所密やかに潜降するしかないのだから。どんなに苦しくとも、私が求めているものは...
pale asymmetry | 2023.10.12 Thu 20:31
JUGEMテーマ:戯言 砂が降る。強固な館であったはずなのに。でも私という館は砂でできていたんだ。ビーチで子供らが作るお城のように。さらさらと崩れていく。いずれ形を失い、風に流されるかもしれない。そうして私という館は、その姿を揺らぎの内側に沈めてしまうのだろう。私は逆らえないだろう。私は住人に過ぎない。この館を建てたわけではない。この私という館はいつの間にか建っていたのだ。私を取り囲み、私と世界との間の緩衝材として。 雨は降らない。だから世界は終わらない。あるいはまだ始まって...
pale asymmetry | 2023.10.10 Tue 19:43
JUGEMテーマ:戯言 小さな渦を制御できない自分に少し戸惑う。心が傾いたり、沈んだり、痛んだりするわけではないから、戸惑いはほんの少し。それでも上手に笑えていないことに気づく。微かに歪んでいるはずだ、私の笑顔は。それが周囲に見破られないかとどきどきしてしまう。見破られたからと言って、とくにどうということはないのに。恥ずかしいわけでもなく、苛立つわけでもなく、もちろん争いになるわけでもないのに。 それでも小さな渦はぐるぐると蠢きながら、私の血流に便乗して全身を駆け回ったりして...
pale asymmetry | 2023.10.06 Fri 20:38
JUGEMテーマ:戯言 甘い水に沈む花は夢を見ていない。その水は夢を見るには甘すぎるのだ。だから物語は何処にもない。それは棚引いたりしないし、舞い踊ったりもしない。私は何も見ていない。両目を閉じていたから、私の目は綺麗な闇だけを受け入れていたのだ。光は痛みでしかなく、それに触れることは今は困難だった。私自身は沈んでいるわけではないのに、言語の音節が奇妙に裏返ってしまって、あらゆるものがゲシュタルト崩壊するような気持ち悪さ。吐き戻せれば良いのかもしれない。でもそれも出来ない。今の私...
pale asymmetry | 2023.10.03 Tue 19:03
JUGEMテーマ:戯言 扉を開けば風が止まる。扉を開くから風が止まるんだ。だから扉を閉じる。すると扉の向こう側で風が吹く音が響いているのが聞こえる。けれどその風は私の頬を撫でてはくれない。私の髪を弄んではくれない。堪えきれなくて扉をまた開く。そして風のない世界を見つめて心が重くなる。 薬を飲めば気分が変わるかも。私と世界はもっと上手に繋がれるかも。私の方にも世界の方にも、きっと至らない部分があるんだ。そう思って薬を飲んで吐き戻して、墜落する心を見失う。私は取り残されて、風を求...
pale asymmetry | 2023.09.30 Sat 19:00
JUGEMテーマ:戯言 仕事から自宅に戻り玄関のドアを開けると、そこは一匹の猫で塞がれていた。つまり扉いっぱいの巨大な猫が立ち塞がっていたのだ。三毛猫だった。片方の腕を顔の横に掲げている。いわゆる招き猫のポーズでそこにいた。三毛猫だから雌なのだろうかと考えていると、その猫が野太い声を響かせた。 「月はどっちかね?」 それは、はっきりと人語だった。 「望月は、どっちかね?」 人間ならば恰幅の良い中年男性を連想させる声だった。顔には満面の笑みを浮かべている。猫の表情に詳し...
pale asymmetry | 2023.09.29 Fri 20:51
全1000件中 511 - 520 件表示 (52/100 ページ)