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JUGEMテーマ:戯言 高回転する響きは、どこか寂しそうだった。それは私が寂しさを抱えているからなのだろうか。もちろんそんな自覚はない。楽しくはないが、寂しいわけではない。ただいつもと変わらない日常を過ごしているにすぎない。それでも私が気づいていないだけで、本当は心の奥底に、あるいは細胞一つ一つの核に、どうしようもない寂しさが芽生えているのかもしれない。 たとえばまだ暗い早朝に、フクロウの声を聞きながら彷徨う。彷徨うだけならそうではないが、そこにフクロウの声が結びつくのならば...
pale asymmetry | 2022.04.08 Fri 20:59
JUGEMテーマ:戯言 身体が、不可思議に砕けている。砕けているわけではない。不可思議に砕けているのだ。ばらけていて、ばらけきってはいない。分解状態で連動しているのだ。だから、みっともないくらいギクシャクした動きになる。まるで三百歳を超えた老人のようだ。地面を踏め占めているはずなのに、その地面が漂っているので、私も漂わざるを得ない。そして漂っているはずの地面は、決して漂ってはいない。二つの事象が重なり存在している。 その重なりにずれは一切ない。ぴったりと重なっているのに噛み合...
pale asymmetry | 2022.04.05 Tue 21:33
JUGEMテーマ:戯言 オクラレルカの花が咲く。咲き誇る花たちを見ていると、あの子のことを思い出す。あれは13年前の記憶。 「ボタンを探しに行くの」 あの子はそう言って出かけていった。一枚の写真を残して。そこには瑠璃色のボタンが写っていた。ラピスラズリかもしれないと私は思った。そんな風な、銀河を内包した瑠璃色のボタンだった。 「どうして?」 問い掛ける私に、あの子はただ微笑んだ。小さく首を振った。僅かに目を伏せた。そのまま背を向けて家を出て行った。その背中を見て、どうし...
pale asymmetry | 2022.04.04 Mon 21:09
JUGEMテーマ:戯言 今日も眠い。そして痛みを抱えている。だから気分が重いのかと言えば、そんなことはない。どんな事象にも慣れてしまえるから、人間はこんなにもこの惑星中に蔓延っているのだろうと思ったりする。そして私も、その人間というものの一人だ。今日もしっかりと蔓延っている。そして蔓延られてもいる。 少し季節が後退したようだ。ジャケットを引っ張り出して、モコモコの靴下をはく。そして猫を抱き、犬に背中をくっつける。そんな天国を想像する。実際には何もない。ジャケットも、靴下も、猫も...
pale asymmetry | 2022.04.03 Sun 21:16
JUGEMテーマ:戯言 雨の日は空を見上げない。特に冷たい雨が斜めに降る日は。そういうときは傘を傾けて、その傘の内側だけを見つめて歩く。それで胎内にいるような気分になれたりはしないけれど、風が強ければ強いほど、難しい計算を連続して解いているような高揚感は得られたりするのだった。本当はスマートグラスをかけて、全ての雨粒を数式化したいところだけれど、そこまでやると移動そのものが目的になってしまい、何のために移動しているのか解らなくなってしまうから諦める。だって、目的地に向かっているの...
pale asymmetry | 2022.04.02 Sat 21:12
JUGEMテーマ:戯言 私の奥深くで、モーターは振動する。それは固定されていて、もう外すことは出来ない。バッテリーなんていらない。心臓の鼓動を動力源に、そのモーターは振動を続ける。それは意味のない振動で、それが何かに働きかけるわけでもなく、何かと連動するわけでもなく、何かを出力するわけでもない。解析もしないし分析もしないし予測もしない。それどころか、そういうことをしようとする私を妨害したりするのだ。 それでも振動は固定されていて、それはもう私の一部だ。あるいはその振動こそが最...
pale asymmetry | 2022.03.30 Wed 21:01
JUGEMテーマ:戯言 例えば眉を数ミリ動かす。あるいは首を僅かに傾ける。そういうことで伝わる事象がある。それは確かなこと。つまりそういう言語があるということ。言語的に機能する振る舞いがあるという方が正確だろうか。でもそれが言語と全く同じように機能しているのだとしたら、やはりそれは言語だろう。 そういうものは一般的に存在しているとは思わない。小さなコミューンでしか成立しない特殊な言語だと思う。でもその共同体の中ではそれによるコミュニケーションが当たり前なのだ。あるいはそれによ...
pale asymmetry | 2022.03.29 Tue 23:02
JUGEMテーマ:戯言 霧雨が、綿菓子のように降っているから傘を畳んだ。思い切り息を吸い込んでも甘くない。それを当然だと思うには、私は疲れすぎている。街角のスピーカーが私の判断を問う。大事なことだから、あなた自身で決断して下さいとがなる。そのくせ、判断材料は何一つ提示しないのだ。長々と顛末を説明するけれど、肝心なことは開示されない。私が諦めるまで、ただただインフォメーションを垂れ流すだけだ。 それなら壊れてしまえば良い。そう思う。ゆるやかに捻られるように壊れてしまえば良いのに...
pale asymmetry | 2022.03.28 Mon 21:21
JUGEMテーマ:戯言 鹿が駆けると鈴の音が響く。それは鹿に鈴が装飾されているからだろう。鹿は、装飾されやすい獣だと思う。あるいは、装飾を受け入れやすい獣だと思う。だから何者かが、鹿に鈴を飾り付けたのだろう。その何者かのことを考えてはいけない。それが何者なのかということには意味はないのだ。そこには理論もなく、だから秘密もない。あるのは、流れだけだ。自然が矛盾しないように進んでいくための流れ。局所的であっても、逆回転が起こってはならない。 鈴を装飾された鹿は、その鹿ではない。つ...
pale asymmetry | 2022.03.26 Sat 21:34
JUGEMテーマ:戯言 巨大な雪だるまが歩く。寒い国からやって来る。その雪は硬く、陽光では溶けることもない。確実に僕らの都市へと迫っている。その様子がテレヴィジョンに映し出された。隣の都市を蹂躙する雪だるま。のっぽのビルは薙ぎ倒され、原子炉は踏み潰される。放射性物質はここまで来るだろうか。すぐに逃げなければいけないのかな? 「リボンを手に取りなさい」 ママが叫ぶ。 「プレジデントがそう言っているわ」 ママが窓を開け放つ。 「ほら見てご覧、あれを」 指差す先には飛...
pale asymmetry | 2022.03.23 Wed 21:29
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