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JUGEMテーマ:戯言 ショウビンの声が聞こえる早朝に、あなたのことを思い出す。立秋が過ぎて、少し冷ややかになった早朝に。別にあなたとの間にショウビンに纏わる何かのエピソードがあるわけではない。それなのにふと思い出してしまった。きっと油断していたのだ。しっかりと蓋を閉じていたはずなのに、ショウビンの綺麗な囀りがその蓋を弛めてしまったのかもしれない。 跪くあなたを思い出す。跪いて私の脚を抱きしめるあなたを思い出す。あなたは私の膝頭に頬を寄せ、そこから微かに響き出す暗号を聴きとろ...
pale asymmetry | 2023.08.10 Thu 21:23
JUGEMテーマ:戯言 雨は宝石のように降っていた。宝石のような雨が降っていたわけではない。それは確かに宝石のように降っていたのだった。どんな様子で降っていたのか、それは解らない。私は目隠しをしていて、世界を見失っていたからだ。そしてただ先触れを待っていた。暗転した舞台に再び照明が灯るような先触れを。 「午後からは晴れるそうよ」 女帝はそう言って、ワインを口に運ぶ。それは切なすぎる匂いのするワインだった。女帝は私の手にもワインを握らせる。グラスに口を付けると、怠惰な味がした...
pale asymmetry | 2023.08.09 Wed 20:45
JUGEMテーマ:戯言 立ち止まる。立ち止まるしかないから。振り返る。恐れを静めるためには振り返ることが必要だと思えたから。意味もなくあくびをする。私はまだ眠気を纏えるのだと訴えるため。それは私自身に対してではなく、私に無理矢理付随しようとする厄介ごとに対して訴えるためだ。そういう厄介ごとを振り払いたいわけではない。厄介ごとだというラベリングを確認したいだけ。 傾く身体を立て直す。壁際に隠れてバランスを確認する。空は暗雲に埋め尽くされているけれど、私の大地はまだ私のものだ。た...
pale asymmetry | 2023.08.06 Sun 21:07
JUGEMテーマ:戯言 「急げ、急げ」 誰かの急かす声に抗う。何度も何度も掬い上げた言葉を、飽きたらず掬い上げて装飾しなおす。どこまでも出鱈目に。どこまでも支離滅裂に。 雨が世界を終わらせようとしている。そんな日が続いているのに、終わってしまわないのはどうしてなのだろう。世界が、雨以上に獣の魂を抱えているからだろうか。私の魂はすでに半分昇天している。過剰に覚醒しているはそのせいだろうか。 「たるを知れ」 誰かの声に頷く。旋律の殻に安堵して、風の鉤爪を受け流す。傷つけら...
pale asymmetry | 2023.08.05 Sat 11:10
JUGEMテーマ:戯言 取り急ぎ、甲虫を捕まえる。それは透明な甲虫だ。目に見えない上に質量がない。それに触れることも出来ない。それでもその甲虫を捕まえることは可能だ。目を閉じて、息を止め、自身の鼓動に沈み込む。体内で跳ね回る自身の鼓動を抱きしめるイメージで、さらにそのイメージを外側から抱きしめるイメージで、さらにさらにそのイメージを外側から抱きしめるイメージで。そういうことを繰り返しているうちに、自身の鼓動に沈み込むことが出来るのだ。 鼓動の深海は光の闇に満ちているだろう。目...
pale asymmetry | 2023.08.04 Fri 17:26
JUGEMテーマ:戯言 その旗がはためいていることを確かめるためには、窓を開け放って顔を出さなければいけない。そうすれば私は無数の礫を受け、血を流すことになるだろう。それでも私は確かめなければいけないのだろうか。確かめたいのだろうか。本当のところはよく解らないけれど、たぶん窓を開くのだろう、私は。 許された時間は短いかもしれない。世界はしばらくの間不安定だろうから。尊いものは何なのかを噛みしめて、地獄の花見を愉しむしかないのだろう。それでも最悪の渦は離れつつある。再びの不安を...
pale asymmetry | 2023.08.02 Wed 19:13
JUGEMテーマ:戯言 じわじわと、心が締め付けられる。眩しい闇に苛まれている。病んでいるわけではなく、むしろ過剰な健全さに落胆している。星に手を伸ばしても届かないことは自明のことなのに、手を伸ばすことに意味があるような妄想に囚われているのだ。そしてそんな自分を愛おしく思ってしまうが故に、ともすれば世界の方を呪いそうになってしまう。 そういう危うさを抱えながらそれでも罪を犯さないのは、私が怠け者だからだ。つまり私はどうしようもない怠け者なのだろう。けれど今はそのことが私を安堵...
pale asymmetry | 2023.08.01 Tue 18:43
JUGEMテーマ:戯言 花が揺れる。この時期には珍しく、ひんやりとした風が吹いている。その風の素性はよく解らないけれど、渇いていて、素っ気なく、少し傷ついているように感じる。そう感じてしまうのは、私の内側がそんな感じだからだろうか。身体は怠く、眠気が拭えない。眠ってしまえば良いのに、そうすれば多くの事象を失ってしまいそうで、怖くて眠れない。 花が揺れる。空は澄んだライトブルー。陽光は鋭いけれど、風とのバランスであどけなく感じる。決して薄められているわけではないけれど、濃密な熱...
pale asymmetry | 2023.07.31 Mon 21:29
JUGEMテーマ:戯言 強い風に煽られて、蝶が空に消える。きっと蝶は空に喰われてしまったのだろう。あるいは空のマテリアルである純粋な青に喰われてしまったのかもしれない。どこかに綻びがあるかもしれないと空を見回す。眩しすぎて目眩がした。これは綺麗な目眩だ。私の芯を揺さぶる目眩だから。どうしたって汚れていく私の芯を、細かく震わせて祓ってくれる目眩だと思えるから。 この空のように蝶をはめば、どんな味がするだろうか。ひたすらに甘い渦巻き星雲の味がするだろうか。どうしようもなく苦い太陽...
pale asymmetry | 2023.07.30 Sun 21:27
JUGEMテーマ:戯言 小さなうねりが気になるのは、私の悪いところだと思う。周囲は幸せで満ちているのに、その端っこにある微かなひびが気になってしまう。そこからあるとき致命的な決壊が起こるのではないかとか想像してしまうのだ。そんなことを考えても無駄で、ただ時間を浪費しているだけなのに、それを解っていても止められない。 久しぶりにスッキリと晴れた午後に、フクギ並木のトンネルを歩く。木々が遮る陽光は、散けたパズルのピースのように地面に浮かんでいる。いくつかを避け、いくつかを踏み潰す...
pale asymmetry | 2023.07.29 Sat 19:51
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