[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:戯言 泉の水は澄んでいて、でもほんの少しだけ色を纏っていた。この色を何と表現したら良いだろう。碧でもなく翠でもなく、紫でもなく藍でもない。では碧でもなく翠でもなく紫でもなく藍でもない色と言えば良いのだろうか。それは馬鹿げている。それは表現するという行為ではないだろう。表現したいのならば、それがありふれた色ではないのならば、独自の名を付けてやれば良いだろう。 私は空を見上げる。どこまでも深く、明るい宇宙色をした午後の空に向かって口を開く。そして程なく閉じる。何...
pale asymmetry | 2022.02.11 Fri 21:07
JUGEMテーマ:戯言 水色のワイングラスには空は入ってはいない。空をそこに注ぎ込むと、それは直ちにソーダ水になってしまうから。仕方がないので、私はそのグラスに一輪の花を挿す。もちろんそれは偽りの花だ。偽りの白い花だ。空色のグラスの内で瞬く間に溢れるほどの根を生やし、実際にそれはグラスから溢れても成長を止めることはなく、ついには私を巻き込んで養分にしてしまう。 私なんて不味いのに。どうしようもなく不味いのに。 雪は降り続き、止む気配は微塵もない。時間は雪にのしかかられて、...
pale asymmetry | 2022.02.09 Wed 21:47
JUGEMテーマ:戯言 黒金の鎧で全身を覆った男は、重い足取りで川に沿って歩いている。紅く濁ったこの川の流れを辿れば、いつか海に辿り着くだろうかと、ぼんやりと思考しながら。しかしながら、彼は海を目指していたのかといえばそうではない。たとえ海に行き着いたとしても、それが彼を次のステージへと高めてくれるわけではない。誰も彼を高めてはくれないし、どんな事象も彼に次のステージを見せてはくれない。彼自身だって、次のステージを求めてはいないのだから。 「もし、どちらに行かれるのですか?」 ...
pale asymmetry | 2022.02.06 Sun 21:36
JUGEMテーマ:戯言 あなたの隣にいて、あなたと肩を寄せ合っている人も、あなたと同じ物語を生きているわけではない。ましてや、あなたが主人公のあなたの物語に登場する脇役というわけでもない。誰かと寄り添うということは、あなたの物語とその誰かの物語が触れ合うということで、それが混ざり合ったりどちらかがどちらかに取り込まれたりするということではない。 もちろん、その物語たちが重なり合ってとしても、決して一つにはならない。いや、なれないのだ。 それでも、長く寄り添って暮らしている...
pale asymmetry | 2022.02.04 Fri 20:17
JUGEMテーマ:戯言 雪はチクタクと落ちていた。それは妖精のようだったけれど、妖精が隠しきれない邪さのようなものは、全く感じられなかった。清廉だと思えたのかというと、そうではない。ただ、真摯な振る舞いとして落下しているのだろうと思えたのだ。その結晶は大きく、私の掌ほどもある。だから様々な紋様がはっきりと見えた。あり得ない結晶だったわけで、私が現実にいないことは明らかだった。 落ちてきた大きな結晶が私の肩先に刺さる、と思った次の瞬間にはそれが崩れて消える。私の身体の熱が、結晶...
pale asymmetry | 2022.01.30 Sun 21:49
JUGEMテーマ:戯言 恐怖しかない。といってもその恐怖は私を傷つけない。それは流れていく恐怖で、私には触れることはできない。目に映るその風景は、形の崩れた恐怖に他ならないけれど、それが私に入力されることはないし、私からその恐怖にアクセスすることもない。では私とその恐怖には相関性は全くないのだろうか。いや、そうではないだろう。それは掌にあるデバイスのせいだ。 そこから溢れ出すインフォメーションが、私の周りに恐怖の渦を踊らせる。私はそれに巻き込まれて、同じように踊れば良いのだろ...
pale asymmetry | 2022.01.28 Fri 21:50
JUGEMテーマ:戯言 自分自身が自分自身を喪失していると思え、自分自身が世界をも喪失していると思えるのに、世界はきっと私のことを喪失していると認めてくれない。そんな気がしてならない。私の喪失感をお構いなしに、世界は私を捉え続けている。それは私から辱めを受けていると、世界が思考しているからだろうか。実際には私の方が世界から穢されているはずなのに、その辺りのところが全くのディスコミュニケーションなのだ、私との世界の間では。 そういうところにイライラとしてしまって、それが止まらず...
pale asymmetry | 2022.01.27 Thu 20:58
JUGEMテーマ:戯言 雨は降ったり降らなかったり。心ない言葉に少し傷ついたり。その心ない言葉に悪意もないから、余計に傷ついてしまったり。私だって日々誰かを傷つけているのだから、傷つけられたとしても仕方がないのだと思いつつ、それでも痛みが和らぐわけでもなく、さりとてそれは倒れてしまうほどの深い傷、強い痛みでもなく、だから抱えて地面を見つめるしかないのかな。 雨を頬に感じて、陽光を背中に感じる。それで私は境界上にいるのだと気づく。それに気づいたからといって何かが変化するわけではな...
pale asymmetry | 2022.01.24 Mon 21:24
JUGEMテーマ:戯言 強い月光が、私の影を路面に固定している。やわらかく固定している。やわらかいけれど、優しくはない。それは月光だから仕方がない。月光が優しさを持ってしまえば、きっと世界は崩れてしまうのだ。世界がその摂理を正確に精密に保っているからこそ、浮遊都市が静かに私の頭上を通過する。 ゆっくりと通過する。 歩く速度で通過する。 その都市は逆さの都市だ。林立するビルディングが、地上に向かって伸びている。月光はその都市よりも上方にあるから、その都市の人々は月光に影...
pale asymmetry | 2022.01.22 Sat 21:46
JUGEMテーマ:戯言 自堕落な日々を過ごしている。当分の間、こんな日々が続きそうだ。だから、少女人形を殺すことにする。どうやって殺そうか。やっぱり首を絞めるのが良いだろうか。それともナイフで切り裂くのが良いだろうか。あるいは、バスタブに浸して溺死させようか。それが良い。水面下で時間が固定される感じが良い。どうせ少女人形は呼吸をしていないのだから、溺死によって美しさが失われることもない。ただ死という概念を纏うだけだ。それを纏うのは私の方かもしれないけれど。 棺には少女人形の他...
pale asymmetry | 2022.01.21 Fri 21:31
全1000件中 571 - 580 件表示 (58/100 ページ)