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JUGEMテーマ:戯言 闇だ。星も月も街明かりもない。だから綺麗な闇だった。でもどこかに光があるのだ。だって微かに波打つ水面が、そのゆるやかな蠢きが見えたから。それが増幅する風のわだかまりを感じることが出来たから。どこに光はあるのだろう。遙かな上空だろうか。宇宙の領域にある気まぐれな光子が、テレポーテーションして一瞬だけ私たちの周りに現れるのだろうか。その得体の知れない光が、闇を綺麗に整えているのだ。そういう感じを噛みしめると、世界って無垢なのかもしれないと思えたりする。 「イ...
pale asymmetry | 2022.01.19 Wed 21:02
JUGEMテーマ:戯言 温い液体に包まれて、私は震える。これは寒さか。いやそうではないようだ。どこまでもどこまでもその液体が広がっているからだ。それが私の覚醒を拡散させ、私の核を隠そうとする。でも考えてみれば本当に核は必要だろうか。それは確かに私の中心にあるけれど、なくなることによって本当に私が失われたりするだろうか。もちろんそれを確かめることなどできない。核が秘されることによって私が失われてしまったら、そこから先の考察もあり得ないから。 冷たい風に吹かれる。透明な翼は凍り付...
pale asymmetry | 2022.01.13 Thu 20:33
JUGEMテーマ:戯言 必要のないものを、そう思われるものを捨てる。捨てようとすれば、毒が出る。捨てようとしている何かから出るわけではない。捨てようとしている私の方に出るのだ。私の内部で毒が生産されるのだ。もちろんそれは私を痛めつける。それで捨てるのを止めようかと迷ってしまったりするのだった。 何もかもを抱えて暮らしていくことなどできない。 暮らすということは、トレードオフを繰り返すことに違いないのだから。 それで痛みを抑えるために、私は私自身を染める。痛みの色に。あ...
pale asymmetry | 2022.01.11 Tue 21:53
JUGEMテーマ:戯言 目を閉じてもそこには何もない。闇があるはずだとあなたは言うかもしれないけど、闇というのはあるとかないとか論じるような対象ではないだろう。闇とはあるそのものに宿り、またないそのものにも宿るような事象なのだから。その上で閉じた瞼の裏側には何があると言えるだろうか。それは分断だと言って良いのではないだろうか。 決してそれは境界ではない。私は目を閉じることで結界を張ったわけではないし、超えがたいリミットを構築したわけでもない。ただ切り離しただけだ。外の世界と内...
pale asymmetry | 2022.01.09 Sun 21:27
JUGEMテーマ:戯言 失われたものがあるとするならば、それは去ってしまった者たちではなく、残してきた者たちだろうか。もちろん彼らは私のことなどとっくに忘れているだろう。彼らにとっては、私こそが失われてしまった者だろうし、あるいは失われたという印象さえすっかり忘れ去られているかもしれない。それならばどんなに良いだろう。 まだ私が彼らにとって失われていないのだとしたら、それは私の罪がまだ拭われていないということになるだろうか。それとも、まだ彼らに刻んだ傷が癒えていないということ...
pale asymmetry | 2022.01.07 Fri 21:25
JUGEMテーマ:戯言 左腕に力が入らないのは、獣の機嫌を損ねたからだ。けれど私だってとても不機嫌なのだ。互いの不機嫌を上手く沈めることが出来ないから、私も獣も傍若無人に振る舞うしかない。それがどんなに愚かなことであったとしても、そうせずにはいられない。だから私は獣を解き放ち、知らぬ顔でスキップする。獣は私に纏わり付きながら、それでも私とは全く違う空気を吸い込んでいるのだという顔をしている。お互いが自分の宇宙の法則にだけ従っているから、私たちは痛みを抱えるしかないのだろう。 ...
pale asymmetry | 2022.01.05 Wed 21:36
JUGEMテーマ:戯言 よく晴れたインディアンサマーの午後、僕らは傘をさして街を歩く。透明なビニールの傘。水色のマーカーで水玉模様を描いたやつ。その傘越しに空を見上げて、空は水に溢れているけど、雫が宇宙に溶け込んでいるのは恥ずかしいからだろうかと呟き合う。そういうことが許される世界だから、僕らはそれを愉しんでみる。 「本当に許されていると思うかい?」 君は傘を振り回しながら訊いてくる。 「許されていることなんて何もないと、本当は思ってる」 僕が正直に応えると、君は満足...
pale asymmetry | 2022.01.03 Mon 21:00
JUGEMテーマ:戯言 君は大きく両腕を振り回し、空気の中のスタイル因子を掻き乱す。それは宇宙から降り注いだもので、僕たちがこうもり傘を逆さにして集めたものだ。僕たちは廃棄されたベースのハンガーで、そのスタイル因子を舞わせて遊んでいたのだけど、君はその遊戯の奥深くに次の世界に繋がるドアを見つけたみたいだ。 「ロリーポップを捨てなさい。今すぐ捨てなさい」 君は凶暴に飛び跳ねながら叫ぶ。僕らは皆手にしていたロリーポップをゴミ箱に投げ捨てた。それは錆びた金属のゴミ箱で、編み目の隙...
pale asymmetry | 2021.12.30 Thu 20:42
JUGEMテーマ:戯言 「どこまで行くつもりなの?」 と少女に尋ねてしまう。 「ワンダーランドまで」 と少女は笑う。 その笑顔は緋色に陰っていて、ワンダーランドなんてないのだということを十分に理解している陰りだった。でも僕は信じていた。彼女が「ワンダーランドまで」と言うのなら、彼女は必ずワンダーランドに辿り着くだろう。この世界ではなく、次の世界か、それともさらに次の世界かも知れないけれど、きっと辿り着いて、その笑顔は紺碧に輝くだろう。そう僕は信じていた。 胸の痛み...
pale asymmetry | 2021.12.27 Mon 20:51
JUGEMテーマ:戯言 私は痛みを恐れていて、だから泣き叫ぶことが出来ない。それをしてしまえば、痛みが私を蹂躙していることを刻み込むことになってしまうから。ぼんやりと抱えても、その幻想を排出することは出来ない。私はそれに向かって突き進んでいるようにさえ思えてしまう。もちろんそんなことはなく、ただ流れが私の皮膚を撫でているだけなのだ。痛みから剥離した寂寞の流れが。 流速は速く、流麗なフォルム。 それの本性は捉えられず、その起源もその行く末も解らない。 本当に、私はどうし...
pale asymmetry | 2021.12.26 Sun 21:25
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