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第9話 王子の想い 私たちは海を渡り、太陽が一番高い位置にある頃に、エルフさんたちが住み、治めているリエダフ国についた。 ルークさんが、王都に向かって情報収集をしようと提案してくれて、私たちは王都に向かうことになった。 リエダフ国の大地は、ルークさんの住んでいたオルディアル王国より自然が多く、大きな木や綺麗な花がたくさんのびのびと咲いていた。 見たこともない植物に、私は一人驚いていたら、ルークさんに「はぐれるな」と、苦笑いされた。  ...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:42
男の人は、少しおかしそうに笑ってた。「えっとその……私、この世界に詳しくないというか、なんと言うか……」 ルークさんやアルキオンに、魔導の姫のことを他言するなと言われてたから、下手に話せない。 でも、この世界の住人だったら、やっぱりエルフを知っているのが普通なのかな?「はははっ。レディは、どうやら相当な箱入り娘なようだね」 男の人は、豪快に笑っていた。 どうにか、怪しまれていないみたい。「ところで、レディ? 君の名前を聞かせてもらってもいいかな?」「えっと、はづきです」「はづき? 変...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:40
第8話 エルフの男 私達は、今いるオルディアル王国から、エルフさんという種族の住む、リエダフ国に行くため、船に乗ろうとしていた。 もちろん行き先を決めたのは、言うまでもなくアルキオン。 異世界の別の国ってなると、異世界のそのまた異世界に行くみたいで少し怖い気もするけど、美しいと聞いたエルフさんに会うのも少し楽しみな気もする。 ブロロォー! 船の大きな汽笛の音が聞こえてきた。「そろそろ出発だ、乗り込むぞ」 ルークさんに連れられ、私とアネモネちゃん...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:38
私たちは、まだ少し蜘蛛の焼け焦げた気持ちの悪い匂いの漂う森を後にした……。 教会に戻ると、シスターたちは泣きながら、アネモネ様の帰りを喜んだ。 その後、私とルークさんがアネモネ様を助けたことと、私が魔導の姫と聞いたシスターたちは、神様の使いと拝み始め、大変だった。 その日は、シスターたちの進めもあり、私達は教会に泊めてもらうことになった。 ――次の朝。 私とルークさんがシスターたちの挨拶をすませ、教会を後にしようとしていると、アネモ...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:37
「じゃあ、どうするの!?」 私は、ルークさんを助けなきゃと、必死であれこれ考えたけど、アルキオンに無理だと言われ、絶望しそうになった――その時だった!「ま……どう……の姫」 誰かが、私の袖を掴んだ。 振り返ると、アネモネ様が私に何か訴えようとしていた。「こ……これを……」 アネモネ様は、私に指輪渡してきた。「それは!? 姫、その指輪をしてください!」「うっうん」 私は戸惑いながらも、その不思議な模様の入った指輪をゆっくりとはめた。「っ!?」 すると、私の体がふわりと浮き上がる感じがして、血がめぐる...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:35
森の中は、太い糸のようなモノが木々のあちこちに引っ付き、森を暗くしていた。「この糸のようなモノは一体……」 ルークさんは、木々に引っ付いている糸を足元に落ちていた枝で取って確かめた。それは、ねばねばとした糸で枝についた糸が、糸を引いていた。 ルークさんは枝を捨てると、「先へ急ごう」と、森の奥へと進んだ。 私たちが奥に進むにつれて、どんどん太陽の光が届かないように太い糸が張りめぐらされ、辺りが暗くなっていく。「うわぁー!!」 突然、森の奥の方から誰かの叫び声...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:35
第7話 森の魔物 私達は、晴れ渡る空の下、川沿いを歩き、ブリズの村の次にある街との間にある、大教会を目指していた。 ブリズの村を出発する前、急にアルキオンが、今向かっている教会の方向から魔導具の力を感じると言い出して、私達は大教会に向かうことになった。 「何かあったのか?」 大教会が目視できる距離まで来た私達の耳に、教会の人たちの慌てているような、叫び声のような声が聞こえてきた。 私とルークさんは、教会まで走った。「シスタ...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:32
「俺はあの時、はづきに何かあったら奴らを殺していたかもしれない……。そして俺も、自分を今以上に許せなかっただろう」 ルークさんが、きつく手を握り、俯いた。「ルークさん……」 私を助けに来た時、ルークさんが怖かった理由が分かった気がした。 ルークさんは、私を浚った盗賊に殺意すら感じるほどに怒りを覚えていたんだ。そして同時に、ルークさんは自分自身に一番怒っていたんだ……。 でも、そんな自分を責めちゃう人だからこそ、私が「気にしないで」と言っても、自分を許せないだろう。 ……だったら!「ルークさ...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:30
――その後、ルークさんは盗賊たちを縛りあげ、村の人が呼んできた兵士さんに引渡し、私たちはキレイな夕日を見ながら、無事村へと帰った。 盗賊を退治してくれたことに、村長さんがすごく感謝してくれて、今日は村長さんの家に泊まることになった。 でも……、帰ってくる途中から今まで、ルークさんは一言も私に話しをしてくれない。確かに、そんなにおしゃべりな方ではないけど、何かがおかしい気がした。 私はその日の夜、思い切ってルークさんの泊まっている部屋に行くことにした。「緊張する……」 何故か...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:29
あれから、どのぐらい時間がたったのだろう? 時計という物がないこの世界で時間の感覚を図るのは、太陽と月の光だけだった。それなのに、こんな暗い場所にずっと閉じ込められてたら、より時間の感覚がなくなっていく。 アルキオンは、部屋にあって今ここにはなくて、ルークさんもいない……誰も助けてくれる人がいないこの状況。 私は不安で心細かった。 そんなことを思って時だった。 遠くの方から、人の話声と足音が聞こえてきた。 私は、ルークさんが助けに来てくれたと...
イルシオン | 2013.05.26 Sun 20:28
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